墨絵イラストレーション展覧会
『上田みゆき 代官山でつかまえて』
(2013.03.11)
なんとなく、あっさりした和食が食べたいという気分で
はじめた墨絵イラストレーション。
墨絵のイラストレーションを描き続けてきましたが、このたび3月15日(金)~27日(水) まで作品展『上田みゆき 代官山でつかまえて』を開催します。場所は『ギャラリー スピーク フォー(GALLERY SPEAK FOR)』です。
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私が墨絵をはじめたのは30年前の出来事です。なりゆきで六本木にある遊び人が集まるお店のオーナー松山勲さんに出会いました。『君はなにがやりたいの?』って聞かれ『イラストレーターで有名に!』(笑)と答えると『じゃあ、ウチの『ミントバー』のパーティ案内ポスターかいてよ』ということではじめて墨絵を描いたのが、今のイラストレーター生活のはじまりです。
松山さんのお店のひとつ『レッドシューズ』の店内は、当時としては早めのジャポネスクで、壁画は俵屋宗達の風神雷神の模写でした。何となくその影響はあったのだろうと思われます。
実際、墨絵は、その頃のグラフイックシーンでは皆無でした。当時のイメージでは墨絵というと古いものというイメージがあったと思いますが、上京して10ヶ月ほどだった私は「東京ポップ」なものに疲弊してきた頃でありました。なんとなく、鮮やかなポップイラストレーションとフレンチトーストな朝食に胃もたれしていて、あっさりした和食が食べたいという気分……。神仙思想や、荘子、タオイズムへの憧れもあり、実家の父が好きだった仙涯和尚(禅僧)の絵などを墨で描く、タオの世界観へと移行していったのだと思います。
はじめは自分が描く墨の絵を伝統的と思った事はありませんでした。ただ、新しい! 新鮮なものとしてスゴークコーフンしてハジメタ! 覚えがあるのです。どこかで習ったわけでもないので、はじめは筆ペン、白い和紙、ホルベインのインクで書いていました。今見るとおぼつかない青春の線でありました。それが私の墨絵のはじまりです。
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現在では千石にある『紙舗直』さん製の染紙和紙、韓紙、ネパール紙、泉貨紙など、傘判サイズのものに筆、墨で描いています。
そんな風に墨絵を続けてきましたが、このたび個展を開催します。お部屋にさりげにあって、にんまりや、ほんわか、しんみりとかして欲しくて、カジュアルな額装画を13点描きおろしました。ライブパフォーマンスで描いたものを上田本人が軸装や巻物に仕立て上げた作品も。そのほかオリジナルの立体作品 ニンマリな未完成50音積み木やスカーフやTシャツもありますので、お気軽に代官山散歩がてらに遊びにきてくださいね。
(イラストレーター 上田みゆき)
●上田みゆき プロフィール
イラストレーター。1960年、福井県生まれ、京都育ち。美術学校で版画を学んで卒業後、東京を拠点に墨絵を主体としたイ ラストレーションの制作を開始。JTB、サントリー、花王などの広告やパッケージ類、雑誌、絵本、ウィンドウディスプレイなどを手がけている。『週刊朝 日』『VOCE』『日経ビジネス』『サライ』などで挿画を連載した。共著書に『そばの絵本』『ベニバナの絵本』(いずれ農山漁村文化協会 刊)などがある。扇子、陶器など絵をあしらった 商品も多彩に展開されている。
http://miyuki-ueda.com/
『上田みゆき 代官山でつかまえて』
会期 : 2013年3月15日(金)〜 3月27日(水)
会場:ギャラリー スピーク フォー(GALLERY SPEAK FOR)
東京都渋谷区猿楽町28-2 SPEAK FOR B1F
電話:03-5459-6385
開館時間 : 11:00 〜 19:00、 最終日のみ〜18:00
木曜休廊
ギャラリートーク : 2013 年 3 月 15 日(金)18:30 〜 19:00 上田みゆきによる作品解説があります。聞き手はコピーライターの森 一起。