女性のための、元気になれる俳句41 選・如月美樹 ふだん着でふだんの心桃の花 細見綾子

(2009.03.09)
 

 飾らぬ普段着で普段の心。当たり前のようだが、よく胸に手を当てて考えてみる。果たしてそうなのか?
 私たちは、外面を装うことだけを身につけてはこなかったか。その実、心に違う感情を飼い続けてきたのではなかったか。それに気づかぬふりをしているうちに、自分のことにすら鈍感になってきたのではなかったか。
 普段の心、を意識できる人は、内なる感情とも正面から向き合って来た「強い人」である。すべてを受け入れたとき、人は初めて優しくなれる、と誰かが言った。他人に対しても、自分に対しても。この心境に至るまでの道のりを、静かに思う。掲句初出『桃は八重』(1942)。