アートニュース Fromミュージアムカフェ – 22 - 歴史の教科書以来の再会? 『ジョルジュ・ビゴー展  碧眼の浮世絵師が斬る明治』東京都写真美術館で開催中

(2009.07.23)

東京都写真美術館で8月23日(日)まで開催中の展覧会『ジョルジュ・ビゴー展  碧眼の浮世絵師が斬る明治』は、この夏とっても注目の展覧会です。

ビゴー? 聞いたことないなぁ~というみなさんも、この絵ならきっと観たことがあるのではないでしょうか?

この「釣りの勝負」は当時の日本を取り巻く世界情勢を皮肉たっぷりに描いた風刺画。この絵を描いた人こそが、フランス人画家のジョルジュ・ビゴーなんです。

ジョルジュ・ビゴー 「釣りの勝負」 『トバエ』 第2次第1号より 1887年 横浜開港資料館 ブルーム・コレクション蔵

文明開化の真っ只中の時代に日本にやってきたビゴー。彼の視点から生み出される日本とは、ちょっと斜に構えてみえるかもしれません。しかしそれは彼が日本のことをさげすんでいるのではなく、古き良き日本を愛し、欧米の真似事をしている目の前の変化に対して、「本当に日本はそれでいいのか」というメッセージだったのです。

今回の展示数は約340点という膨大な数におよびます。渡日前にビゴーが描いた新聞や雑誌への挿絵から、日本で出版した画集、そしてこれまであまり紹介されることのなかった帰国後の作品などを網羅しています。さらには近年発見された『クロッキー・ジャポネ』のオリジナル銅版の展示のほか、この原版数点からプリントした作品までも展示。

ビゴーを知っている人も知らなかった人も、きっと楽しめる展覧会。さらには明治という日本を切り取った歴史的な意味合いも深いので、夏休みにお子さんと一緒に勉強しにくるなんていうのもオススメです。

そうそう、よく例えに出てくる欧米からみた日本人描写のステレオタイプともいえる、「眼鏡をかけて出っ歯」という格好は、このビゴーが広めたという説もあるそうです。

会期がちょっと短いので、見逃さないようにチェックしてください!

 

『ジョルジュ・ビゴー展 ―碧眼の浮世絵師が斬る明治―』

期日:2009年7月11日(土)~8月23日(日)
会場:東京・東京都写真美術館
料金:800円(一般)ほか
問い合わせ:東京都写真美術館 Tel. 03-3280-0099

http://www.syabi.com/

ジョルジュ・ビゴー 『クロッキー・ジャポネ』 表紙 1886年 及川茂コレクション蔵
ピエナール版画「仏様」 及川茂コレクション蔵
「日英同盟の結果 日本の風呂」 『ランディスクレ』(『軽口』)第8号(1902年3月12日号)より 及川茂コレクション蔵