『Liebesträume (リーベストロイメ)~愛のオブジェ~』 横町慶子、復帰第3弾は、ダンサー
白井剛との共演。音楽は細野晴臣。 

(2014.08.21)
『Liebesträume(リーベストロイメ)~愛のオブジェ~』 Art Direction & Photo 信藤三雄
『Liebesträume(リーベストロイメ)~愛のオブジェ~』 Art Direction & Photo 信藤三雄
女優/振付家として活躍してきた横町慶子さんは、2010年、脳梗塞を発症し、活動を休止していました。その後、地道なリハビリを経て、2013年9月に、3年ぶりのソロ公演「生命の泉は汝とともにあり」で舞台復帰を果たしました。この9月、新作を発表する横町慶子さんに、お伺いしました。

横町:脳梗塞で倒れてから、左半身が全く動かなくなりました。3年間、日々リハビリを続けて、なんとか歩けるまでに回復しました。多くの失望や迷いや希望を抱く中、昨年は、たくさんの人たちの助けと励ましに後押しされ、ずっと願っていたソロ公演を行うことができました。大きな一歩だったと思います。

ー日常生活を送るのにも、支障がある中、舞台を離れようとは思わなかったんですね。


横町:
私にはやはり舞台しかない、と気づいたのが一番大きかったですね。昨年来、新宿・紀伊國屋ホールや西麻布・新世界などの舞台に出演してきましたが、前回の公演を経て、左片麻痺という、以前とは違う身体の制限に、積極的に向き合うようになりました。「舞台に立ちたい、創作を続けたい」という強い意志で、表現活動に取り組んでいます。

2013年のソロ公演『生命の泉は汝とともにあり』© yOU(yuko kawasaki)
2013年のソロ公演『生命の泉は汝とともにあり』より。 
 © yOU(yuko kawasaki)

2013年のソロ公演『生命の泉は汝と共にあり』© yOU(yuko kawasaki)
2013年のソロ公演『生命の泉は汝とともにあり』より。 
 © yOU(yuko kawasaki)

2013年のソロ公演『生命の泉は汝と共にあり』© yOU(yuko kawasaki)
2013年のソロ公演『生命の泉は汝とともにあり』より。
 © yOU(yuko kawasaki)
 

ー今回は、白井剛さんとのコラボレーションです。

横町:白井さんは、「バニョレ国際振付賞」、「トヨタ コレオグラフィーアワード最高賞(次代を担う振付家賞)」、「日本ダンスフォーラム賞」など数々の賞を受賞し、海外からも高い評価を得ている方です。昨年白井さんの舞台を拝見して、「この方と一緒に作品を創りたい」と思いました。白井氏は、身体表現はもちろん卓越していますが、それだけでなく、美術や映像、音楽、テキストなどを鮮やかに採り入れ、独創的な手法で、自己の内面世界を深く掘り下げています。繊細で、強靭な白井さんと出会うことで、新たな世界の扉を開くことができました。

©Ab sT
共演のダンサー、白井剛さん。 ©AbsT
 

『Liebesträume(リーベストロイメ)~愛のオブジェ~』の稽古風景。
『Liebesträume(リーベストロイメ)~愛のオブジェ~』の稽古風景。

『Liebesträume(リーベストロイメ)~愛のオブジェ~』の稽古風景。
『Liebesträume(リーベストロイメ)~愛のオブジェ~』の稽古風景。

ー表現の可能性が広がったということですね。

横町:具体的に、動かない半身を支えてもらうということでも、違うパフォーマンスが見せられます。それ以上に、二人でエネルギーをぶつけあって、舞台を作り上げていく行為そのものが、生命力につながる気がします。観てくださる皆さんとも、そのエネルギーの交感ができたらと思います。

ータイトルは、リストの曲ですね。

横町:私にとってこの曲は、心から離れない愛する曲のひとつなんです。昨年の作品『生命の泉は汝とともにあり』の中でも登場させました。『Liebesträume(リーベストロイメ)』は、リストの『愛の夢』第3番で、とても甘美な曲です。ここからイメージされる幾つかのシーンを創り、構成しようと思っています。今回は、今まで描いたことのない男女の愛の形を、「愛」「夢」「祈り」「生命」というテーマを軸に、言葉/音楽/声/身体を通して、探っていきます。愛に溢れた作品を目指します。肉体を使った愛のドラマです。

ーさらに音楽は細野晴臣さんが担当します。

横町:はい。 「なんでも協力するよ」と引き受けてくださいました。『愛の夢』のアレンジの他に、細野さんの曲でも踊ります。歌のギター伴奏も快く引き受けて下さいました。夢のような贅沢ですね。細野さんの音楽で、作品全体の世界観が、更に魅惑的に強度を持つと信じています。テキストは、島田雅彦さんが、提供してくださいました。いい舞台を観て頂けるよう、白井さんと日々稽古に励んでいます。どうぞ楽しみにしていてください。

 
『Liebesträume (リーベストロイメ)~愛のオブジェ~』

会期:2014年9月26日(金)~28日(日)
9月26日(金)20:00、27日(土)15:00 / 19:00、28日(日)14:00 / 18:00
※開場は開演の30分前になります。
会場: black A 
東京都墨田区千歳1-3-4 TEL.03-6659-3939
JR両国駅徒歩8分、都営新宿線 森下駅徒歩10分

作:横町慶子                  
演出・振付・出演:白井剛・横町慶子
音楽:細野晴臣  
テキスト協力:島田雅彦
音響:SKANK/スカンク
照明:岡野昌代(Picoler) 
映像:高橋啓祐(ニブロール)

チケット取扱:
オンライン予約    
ブラックエー TEL 03-6659-3939     
       
料金:前売 3300円、当日3500円(整理番号付き自由席、ドリンク代別)
問い合わせ:keikoyokomachi.office@gmail.com
横町慶子フェイスブックページで最新情報を紹介しています。
https://www.facebook.com/yokomachi.keiko

 

■横町慶子(よこまち・けいこ)プロフィール    
         

女優/振付家。4歳よりひばり児童合唱団に在籍。カーペンターズの日本コンサート、イタリア歌劇場プラシド・ドミンゴ主演『道化師』『カヴァレリア・ルスティカーナ」などに出演。坂本龍一や矢野顕子のアルバムやコンサートに参加。1990年からロマンチカ、ナイロン100℃などの演劇・ダンス公演にメイン出演、振付も担当。手塚眞監督、藪内省吾監督、SABU監督、オリヴィエ・アサヤス監督、園子温監督などの映画やTVドラマ、CMに出演。野宮真貴のリサイタルの振付等も担当。2009年田口トモロヲ、菊地成孔氏らとラフォーレ原宿の「HARAJUKU PERFORMANCE」に参加し、一人芝居『かわうそ』を上演。翌年脳梗塞による左片麻痺で活動休止するも、2013年9月ソロ公演『生命の泉は汝とともにあり』で舞台復帰。10月ファスビンダー作『ゴミ、都市そして死』(新宿・紀伊國屋ホール)に出演。2014年2月~3月に新世界presents Live Performance『アシンメトリア』を、山川冬樹氏とのコラボレーション公演として上演。

横町慶子
 Photo イリア・イオネスコ