土屋孝元のお洒落奇譚。画材についての考察 いろいろな画材を使ってみて。

(2014.07.23)
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水彩絵の具。チューブタイプと固形タイプがあります、お好みでどちらでも。© Takayoshi Tsuchiya
 
仕上がりを予想して、
画材選び。

今までいろいろな画材を使ってきました。イラストレーションと絵画により画材は微妙に違うので仕上がりを自分なりに予想してから そのための画材を選びます。あくまでも個人的な使用法や技法などですから、一般的とは言えないので、そこはご理解ください。

一般的な区分けでは、水彩絵の具にはウィンザー&ニュートンのアーティストカラーシリーズ、チューブとハーフパンがありどちらも使います とくにウィンザーレッド、オーレオリン、など このウィンザー&ニュートンのものが自分には合っていると感じます。この水彩絵の具を使うにはファブリアーノやアルシュ、ブレダンなどの水彩紙や、作品により300Kgを超える耳付きのファブリアーノなど、わざと滲みを活かしたい時には、鳩居堂特漉き仮名用半紙を使います。これも自分なりの技法なのですが、水彩絵の具の溜まりを効果的に使いたい時には、ケント紙を使っています、こうすることで部分的に溜まりができ独特の効果が出るのです。

水彩と色鉛筆で。© Takayoshi Tsuchiya
水彩と色鉛筆で。© Takayoshi Tsuchiya
水彩とダーマトグラフ、色鉛筆で。© Takayoshi Tsuchiya
水彩とダーマトグラフ、色鉛筆で。© Takayoshi Tsuchiya

オイルスティックという油絵の具をクレヨン状にした画材があり、これも自分なりに使っています、一時期生産が中止になりましたが、最近はまた揃うようになりました、水彩と同じくウィンザー&ニュートン、ホルベイン、クサカベ、などです。このオイルスティックを使用するのはケントボード、ケント紙、キャンバスが多いですね、画面上の絵の具を滑らせて使用して効果をいかします。混色には固まる前にメディウムのスティックで描き、そこへ違う色のスティックで描き足します、こうすると油彩と同じような感じで描けるのです。

またはオイルスティックで描いたところに水彩絵の具で加筆するとオイルが水彩絵の具をはじいてこれ また独特の雰囲気になるのです。やり過ぎてもやらな過ぎてもいけないのですが、自分なりに丁度良いところで止めるようにいつも考えています。

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オイル・ステック。ウィンザー&ニュートン社のオイルステックは発色がよく滑らかで使いやすいのですが冬は乾燥してしまうとカッターで先を削り使います。© Takayoshi Tsuchiya
 

色の発色の間違いない顔彩
しかしRGB化するには難しい。

ほかに よく使う画材は墨と顔彩ですね、古墨と言えるかどうか、亡くなった父が使っていたものですが、購入した時に何年か経っていたので もう4、50年以上は経っています、後は鳩居堂の硝煙墨、この墨には鳩居堂の裁花(いまもあるかわかりません)という筆を使って描きます。顔彩とは日本画用の絵の具のことで鉱物または輝石を砕いて粉にして膠を加えたものです、色によりピンキリの値段になります、例えば群青は宝石のラピスラズリを砕いたものですから、それなりの値段です。色の発色は間違いないのですが、スキャナーでRGBデータ化するには色の再現性が難しい時もあります。

顔彩の時には胡粉を加えて描くと彩度を下げずに明度を上げて描けて重宝しています、色鉛筆はファーバーカステルのシリーズ、色鉛筆とは違う味を出したい時にはダーマトグラフ? 正式な商品名を知りません。これを使って塗り残しをわざと作ります。

金泥も時々使います、これも先ほどのケント紙に水彩絵の具で描いたところに垂らしこみ 溜まりの部分に金泥の色をつけるのです、この効果もやり過ぎてはいけません。

個人的な技法なのですが、下地には シナベニヤの木製パネルを使い。ジェッソと胡粉を混ぜ合わせたものを全体に塗り伸ばして、そこへ描いていきます。こうすると多少ですがジェッソの効果で下地材となります、一般的な日本画では顔彩( 岩絵の具)で描く前に、ドウサ(膠にミョウバン水溶液を混ぜ合わせた滲みどめ)を絹や紙に塗り滲みどめをつくりますが、僕の技法の場合は絵の具や墨が板の目に沿って微妙に流れ出てしまうのです、かなりの緊張感を感じながら描いていきます。

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マーカー。このマーカーは和紙に描くと滲み、それが独特の表現になり気に入っています。© Takayoshi Tsuchiya
 
使えるコピックペン。
スキャンでもきれいに発色。

細い線描には、コッピックペンの0.1mm、0.3mmを多用しています、前述の鳩居堂特漉き仮名用半紙にコッピックペンで線描を描き、同じくコッピックマーカーで彩色することもあります、このマーカーは耐水性で溶剤分が乾く前に混色もできて便利で、かなりの色数が揃っているのでRGBデータでスキャンするには彩度を落とさず綺麗な発色になり、彩度の高いデータ原稿制作にはこの方法をとっています。

他には、手作りのカラーペーパー(ガッシュや水彩で色をつけたモノ)やパントーン、金箔も部分的に使ったりしています、金箔は本金箔を使わないと経年変化で黒く錆びていきます、この黒く錆びた感じも捨てがたい魅力があるのですが、絵の狙いに合わせて上手く使わないと効果的には見えませんね。

線描だけで仕上げる場合は、ガラスペン、万年筆(パーカーディオフォールド)などを使い用紙はオニオンペーパーなど薄口の紙に描いています。

画材とは使われる目的により何を選ぶかが決まります、RGBデータにするのか、CMYKデータにするのか、原画なのか、拡大、縮小するのか、凸版にするのか、自分で想像する以上の効果や変化が起きることを楽しみにしているのですが、なかなか上手くいきません。

土屋さんの御用達画材店リンク

新宿『世界堂』:ここのシナベニヤパネルはお得です、写真用なのでサイズがデザイン、洋画サイズではないのですが、画材や紙もかなりの種類が揃うので便利です。

『銀座伊東屋』:水彩絵の具や水彩筆、色鉛筆、オイルスティック、コピックマーカー、耳付きのファブリアーノなど洋紙類を。

『銀座鳩居堂』:和紙や墨、筆など。

銀座『月光荘画材店』:オリジナルのスケッチブック、色鉛筆など。

『東急ハンズ 銀座店 』:コピックペンやコピックマーカーなど。

渋谷『ウエマツ画材店 』:顔彩、金箔など日本画用品を。

『無印良品 有楽町』:写真用アルバム 、白表紙の平綴じノートブックをスケッチ用に、あとはコラージュ用の折り紙を購入しています。