ちょっきんきりえ展 vol.4 ABECEDA26 アルファベットから考えたコトバやモチーフによる新作展。

(2009.09.24)
DMの絵「E=エレファント」。

どうして切り絵をはじめたのですか?

展示のときにいつもたくさんの人から聞かれます。ひとことで言えば「自分の手によりシンプルであたたかい絵をつくる」ためでしょうか。

シンプルにつくること。ぼくの作品は、伝統的な和風の切り絵のように台紙を切り抜いて行く絵ではなく、モチーフなどを貼りつけてできあがります。だから和風の切り絵の「細かく切りぬいて余白を埋めて行く」というものではなく、「どれだけシンプルに絵を構成するか」という逆の発想をもっています。決して手を加えすぎず、必要最小限の線で表現しながら、でも物足りなくはないというギリギリのライン。そのさじ加減を自在に調整できる切り絵という方法は、ぼくにとって都合がよかったようです。

手仕事のあたたかさ。定規をあててカッターで直線を切ったり、ハサミで自由なラインをわざとザクザク切ったり。紙をカットすることで出せるさまざまな自分だけのライン。機械で切ったみたいに滑らかなラインだったら何も面白くないですから。

2007年、そんな風にできた作品を発表する展覧会の名前をあれこれ考えました。英語を使った名前なども考えたけれどしっくりいかず、妻とあれこれ話すうち、日本人なのだから日本語で!そして誰にでもわかりやすく。しかも何の展示かイメージできる名前……、そう考えるうち「ちょっきん」+「きりえ」を組み合わせるかたちとなりました。子どもから若者、年配の方まで理解できる「なんだか楽しくなるイラストレーション」。「ちょっきんきりえ展」は、そんな絵を目指すキャッチフレーズでもあり、ぼくの活動を表す名前なのかもしれません。ほかでは一度も目にしたことがないこのコトバ。この名前にして良かったと思います。

「A=エアライン」。 「I=アイスクリーム」。 「G=グロウ」。

などと思いながら迎える「ちょっきんきりえ展vol.4 ABECEDA24」。今回はアルファベット(チェコ語でアベツェダ)から考えたコトバやモチーフによる26枚の新作展です。絵本のようなざっくりあたたかいタッチの絵から、グラフィックデザインといえるものまで、自分でも本当に楽しんでつくったさまざまなテイストの作品がそろいました。作品をみていて、どんなモチーフでどんな色を使って描いても、結局自分のテイストになるのだと思い、なんだか笑ってしまいました。人の手って、面白い。ぜひとも、新作を観てにっこりしていただけましたら。

会場の音楽選曲はおなじみ、友人の吉本 宏さん。さらに天童木工PLYの家具を加えてできあがる「ちょっきんきりえの部屋」へご来場をお待ちしております。

作品のパーツたち。 会場となる『天童木工PLY』。

ちょっきんきりえ展vol.4|ABECEDA26

会期:2009年10月1日(木)〜13日(火) ※会期中無休
会場:天童木工PLY併設展示室
住所:世田谷区深沢4-35-7深沢ビル2F
TEL:03-5758-7111
アクセス:東急田園都市線「駒沢大学」より徒歩15分または東急バス「深沢不動」よりすぐ
音楽選曲:吉本 宏(Sweet Surprise)

●下記の日は会場にいます。
10月3日(土)・4日(日)・9日(金)・10日(土)・12日(月・祝)
また増えましたらお知らせします。

『天童木工PLY』サイト内での告知

筆者プロフィール

YUYA(ユウヤ)

きりえアーティスト。武蔵野美術大学建築科卒業。2005年より独学で〈きりえ〉グラフィック作品の制作を開始する。以後、各地で個展を開催し、多くの来場者から好評を得ている。そのほかフリーペーパーへの作品掲載、詩集の挿画、公演のチラシ、ポストカード、ウェルカムボードなどのオーダーメイドなど幅広く手がける。
駒沢給水塔が見えるマンションで暮らし〈人がにっこりする絵〉をテーマに、ブラジル音楽やJAZZなど大好きな音楽を聴きながら、日々作品を制作している。
□ 2007年10月「ちょっきんきりえ展」桜新町Oru.ギャラリー
□ 2008年05月「ちょっきんきりえ展vol.2 絵+音楽+インテリア」天童木工PLY
□ 2008年12月「ちょっきんきりえ展vol.3 おいしいコンポジション」天童木工PLY
□ 2009年01月「ちょっきんきりえ展(巡回展)」新潟 APARTMENT Design Store
□ 2009年02月「ちょっきんきりえ展(巡回展)」長野 Haluta
□ 2009年07月「ちょっきんきりえ展(巡回展)」表参道YHIギャラリー
□ 2009年09月「ちょっきんきりえ展(巡回展)」群馬 フライハイト

◎オフィシャルブログ
YUYA|ちょっきんきりえの部屋