青山ブックセンター六本木店 週間ベストセラーランキング 2008年9月24日〜30日

(2008.10.09)
順位 タイトル / 著者 出版社
1 現代アートビジネス / 小山登美夫 アスキー新書
2 現代アートバブル / 吉井仁実 光文社新書
3 聖家族 / 古川日出男 集英社
4 容疑者Xの献身 / 東野圭吾 文春文庫
5 魔王 / 伊坂幸太郎 講談社文庫
6 シンセサイザークロニクル / (大人の科学) 学習研究社
7 明日の広告 / 佐々木尚之 アスキー新書
8 闇の子供たち / 梁石日 幻冬舎文庫
9 セーヌの川辺 / 池澤夏樹 集英社
10 黒の狩人 (上)(下) / 大沢在昌 幻冬舎

ランキングの傾向

芸術の秋! アートや音楽など、当店お得意のものがいつもより多く、しかも上位にランクインしています。傾向としては、値段が手ごろな新書や、自分で組み立てる簡易なシンセサイザーなど、芸術を畏れ入ってながめるのではなく、身近な生活に取り入れ、気軽に楽しむものが人気です。

当店のお客様は時間帯でかなり違うんです。昼間は界隈に住む御高齢のお客様が散歩がてらに寄られ、なごみの雰囲気。夕方から深夜のお客様はいわゆるカタカナ業界の方が多く、夜中に仕事にいき詰まった時に、いわば駆け込み寺的に利用されてます。写真集や画集、ビジュアル本を眺めながら息抜きをする、または仕事のヒントやアイディアがわいてくるのをじっと待つ。そんな、静かな中に暑い雰囲気のある時間帯ですね。今回のランキングはそんな当店の特徴をよりコアに体現したランキングと言えるかもしれません。

(1)と(7)は、なんと当店の名前が入った帯が、いま出回っております。
取材を受けることの多いわたくしどもですが、『一個人』(KKベストセラーズ刊)という雑誌から依頼があり、おすすめヒット新書として、この(1)と(7)をあげたところ、出版社の方がそれを見て感激し、9月中旬より<青山ブックセンターでNO.1の売れ!>という帯をつけて出庫することに!
メディアがメディアを呼んだ、いい例だと思っております。今後とも、こういうアクティブな書店であり続けたいです。

book_081008_ph1

おすすめの本

『現代アートビジネス』
小山登美夫著 (アスキー新書) 780円(税込)

なぜあの絵が2億円!?
アート市場を動かしているのは、いまや選ばれたお金持ちでなく一般のコレクター。
とくに海外のマニアは、なぜNARAやMURAKAMIに信じられないほどの金額を出すのか。一方、いまだに日本には、まとまって現代美術を常設している美術館がひとつもない、というこの温度差……。
世界に切り込むギャラリスト・小山さんが、ときスリリングに(「村上隆さんとアート論で熱くなりすぎ、六本木の路上で殴り合いの喧嘩に発展しそうに」、というエピソードなど、「ここまで明かすか?!」のお話がもりだくさん)、ときにシビアに(美術で投資を考えている人たちへの真摯なメッセージには、誰もが襟を正したくなるでしょう)、縦横無尽に語るアートの世界。
読後に「日本とは、日本人とは」という大きな思いがせり上がってくるのもこの本ならでは。

(青山ブックセンター 六本木店 文芸・新書担当 間室 道子)