Shibuya Tourbillon ~21~ 石川竜一 写真展 『zkop』
「絶景のポリフォニー」

(2014.11.22)

石川竜一 写真展 『zkop』
「絶景のポリフォニー」「okinawan portraits 2010-2012」

新人が渋谷・新宿・銀座で個展、本2冊。
石川竜一 ZKOP

石川竜一 ZKOP 。「絶景オピー!」と読むのか、「絶景沖縄ポートレート」の略か、読む人それぞれ読んでくれという事らしい。沖縄出身30歳の写真家が初めて東京で展覧会をする。それも渋谷『アツコバルー』、新宿『プレイスエム』銀座『ニコンサロン』と都心3拠点で個展。写真集は赤々舎から同時に2冊発行。という本気さである。

発端は2013年、勇崎哲史に紹介を受けた石川が大竹昭子を訪ねて東京にきた所から始まる、大竹はポートフォリオを見るや、赤々舎の姫野とアツコ・バルーに紹介する。それからの進展は急激で2014年の2月に出版と展覧会が決まって今になった。

何故、星の数ほどある写真家の中で石川にこれだけ一気にドアが開かれるという異例な事が起きたのか。当事者の一人である私から説明をしないといけない。

石川竜一 写真展 『zkop』
「絶景のポリフォニー」「okinawan portraits 2010-2012」
開催中〜 2014年11月24日(月)
水〜土 14:00 – 21:00
日、月 11:00 – 18:00
火休
会場:アツコバルー arts drinks talk

石川竜一 写真展 『zkop』
石川竜一 写真展 『zkop』
石川竜一 写真展 『zkop』
石川竜一 写真展 『zkop』
 

ロシア帽のマジシャン。

2013年の初秋の頃だったと記憶しているが、簡単な自己紹介の電話の後、夕方に渋谷のギャラリーにやってきた石川は一風変わった風体をしていた。大荷物をリュックにしょって、ごろっとしたハッセルブラッドを首に下げ、頭には日露戦争のロシア兵がかぶっていたようなアストラカンの耳垂れがついた帽子をかぶっていた。沖縄のイントネーションでゆっくりと説明しながら、ポートフォリオを何十枚を見せてくれたのだが、まずその迫力に驚いた。次に驚いたのはポートレートを2年間で約3000人分撮ったという事だ。しかも美男美女ではなく、時には障碍者や老人、普通だったら絶対撮らせてくれないような人々が許してあげている、という事に私は驚嘆した。「こいつはマジシャンだ!」と思った。人の懐にすーっと入って魂を盗んでくる。並々ならぬ実力である。

クソッタレーのアイデンティティー

彼は命の震えを感じる風景に出会うとシャッターを切るという、そこにはだから政治的メッセージも社会性もないが「オキナワ」は言わずもがなと、レンズに映り込まれている。座り込んだホームレスの後ろをデモする革マルのヘルメット、スパイダーマンの変装をさせられて無表情に米軍のジープに乗る子供。意識しないでもレンズに映ってしまっているのだ。あるいはヤンキー達。轢き殺されたネズミの死体に喰らいつく虫たちも轢きつぶされている。「え、それでも生きているんだ?!」と言う石川の驚きがそのまま伝わってくる。驚き=未知のものに心を開き受け入れる、それまでの経験や価値を捨てていくと新しい何かが自分の中に入ってくる。捨てて捨てて残った物がクソッタレのアイデンティティーだ。と言う彼。いのち、イノチ、命、にんげん、人間、ニンゲン、すべてに宿る凶暴な力を受け入れた集成がこの展覧会にある。

赤々舎から出版の渾身の2冊の写真集も是非買い求めたい。

同時開催:
石川竜一 Ryuichi Ishikawa
okinawan portraits 2010-2012
会場:新宿 フォトギャラリー プレイス エム Photo Gallery Place M
開催中〜 2014年11月24日(月)

12月より
石川 竜一写真展
絶景のポリフォニー
会場:銀座 ニコンサロン
2014年12月3 日(水) 〜16日 (火)

 
社会との関係性を持ったアート活動。

11月16日土曜日に『サラヴァ東京』で緊急報告会「香港でいま何が起きているか?「ERIC の緊急フォト・リポート!」が開かれた。一体香港はどうなっているんだという我々の疑問に答えるべく香港出身で日本に住むフォトグラファー、エリックが撮って来た動画とスチール写真で彼が見て聞いて来た情報を共有した。

そして今、東京でいくつかの社会派アートの展覧会が開かれている。『21_21 DESIGN SIGHT』の「活動のデザイン」、『3331アーツ千代田』の「リビング・アズ・フォーム(ノマディック・バージョン)」『森美術館』「リー・ミンウエイととの関係展ー参加するアートー見る、話す、贈る、書く、食べる、そして世界とつながる」などである。社会の様々な現象に個人が関わる事をアート表現として発表している。社会に関わると言ってもそこには政治的イデオロギーやセクト、組合の色はなく、個人がそれぞれの感性で行動する、と言う特徴がある。NYの「オキュパイウォールストリート Occupy Wall Street」もその一つかもしれないし、フランスで、もう6ヶ月続く座り込みは自然保護区に建設予定の空港建設に反対する人々だ。参加者は失業者、エコロジスト、学生、主婦と様々だが、彼等も、もう徒党を組んで暴力や革命によって社会を変えようなど一昔前の考え方ではなく、単に自分の精神と行動が一致する為にやっている。皆、自分に正直になればよりよい社会が作れるかも、という個人の開花と社会が直結するところがアートである。

21_21 DESIGN SIGHT
活動のデザイン

3331アーツ千代田
リビング・アズ・フォーム(ノマディック・バージョン)

森美術館
「リー・ミンウエイととの関係展ー参加するアートー見る、話す、贈る、書く、食べる、そして世界とつながる」

アツコさんのギャラリー『アツコバルー arts drinks talk』

TEL:03-6427-8048
所在地:東京都渋谷区松濤1-29-1 クロスロードビル 5F
営業時間:イベントによって異なる。

入場料:500円(ワンドリンク付)

営業時間:水~土 14:00 ~ 21:00 、日~月 11:00 ~18:00
定休日:火