女性のための、元気になれる俳句71 選・如月美樹 短日の望遠鏡の中の恋 寺山修司

(2009.12.14)
 

めっきり日が短くなった。冬至に向かって、まだまだ短くなる。「短日」はそんなようすを表す冬の季語。「夜長」が秋の季語だということを考えると、なかなかおもしろい。昔の人は季節を理屈でなく体感でとらえたわけだ。
さて、掲句。そのものずばり、望遠鏡でのぞき見していると解釈してみたいが、どうだろうか。作者の数々の活動歴を思うと、事実をそのまま詠んだ、と考えてみたくもなる。ふとのぞき見る望遠鏡の中で繰り広げられる恋。きっとその恋愛は、めまぐるしく移り変わったことだろう。
のぞき見は都会をイメージさせ、その中にある孤独な人生を浮かび上がらせる。孤独とは状態ではなく、人の心の中にあるひとつの感情だ。掲句初出『未完初期作品1951〜55』。