女性のための、元気になれる俳句8 選・如月美樹 〜逢えぬ日の祭りの中を行き過ぎる 松本恭子〜

(2008.07.14)
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 会えないのは好きな人のことだろう。折しも、その日は祭である。たまたま通りかかることになったのか、一人でその中を歩いている女性。祭の華やかさとは対照的な、小さな孤独。
 句を読んだ瞬間、人混みがストップモーションとなって色と音をなくし、一人の女性の心がクローズアップされて見える。その感情は、誰しも覚えがあるもののはずだ。
 そして、徐々に場面に色と音が戻ってくると、いつの間にか私たちは彼女を見失い、喧噪の中に立ちつくしているのは自分だということに気づくのだ。掲句初出『檸檬の街で』(1987)。