女性のための、元気になれる俳句13 選・如月美樹 〜朝顔の咲き放題にいつも留守 石橋秀野〜

(2008.08.18)
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 夏の花というイメージのある朝顔だが、実は秋の季語である。
 今では、鉢に植えられて、花を咲かせた状態で売られている朝顔。切り分けたスイカのような形の種を植えて、地面に竹を刺し、つるを絡ませて育てる昔ながらの姿を見かけることはあまりなくなった。
 掲句、庭の朝顔が茂り放題になっているという。しかも、その家はいつも留守がち。どこか近所の家の話かもしれないし、自宅のことかもしれないが、作者の自宅だと受け取る方が私の好みだ。
 朝顔が静かに無人の家を乗っ取ってしまうような情景が想像できて、なんともおかしい。もしかしたら、作者は何か計り知れない事情を抱えて留守がちなのかもしれないけれど。掲句初出『桜濃く』(1949)。(如月美樹)