女性のための、元気になれる俳句68 選・如月美樹 かりに着る女の羽織玉子酒 高浜虚子

(2009.11.24)
 

この句を初めて見たとき、「虚子もなかなかやるじゃん」と思った。玉子酒というからには、少し風邪気味なのだろう。虚子先生ほどのお方だから自分で作ったわけではなく、家人か娘、あるいは弟子が作った玉子酒に違いない。ちょっと寒気がするので、そのあたりにあった女物の羽織を引っかけてみた。咳の一つもしたのだろうか。あるいは、自宅ではなくて愛人の家。かいがいしく玉子酒を作る女性の羽織なのかもしれない。どちらにしても、なかなかエロティック。風邪をひいて玉子酒を飲む、という日常的な行為が、「女の羽織」でとたんにドラマになった。冬の私の愛唱句のひとつである。掲句初出1926年。