【うしにまつわるMooコラム Vol. 3】美術になったうし、いろいろ。

(2009.01.01)

新春 1月2日(金)から東京国立博物館ではじまる『新春企画 博物館に初もうで 新春特別展示 豊かな実りを祈る―美術のなかの牛とひと―』は恒例の干支にちなんだ展示です。今年は、春の牛耕風景を描いた「小袖 茶綸子地四季耕作風景模様」、重要文化財「駿牛図巻断簡」、ベトナムの「五彩水牛文大皿」など、日本のほか、中国、ベトナム、インドなどの牛がモチーフの作品を通じて、五穀豊穣など、人々が牛に託したイメージを楽しめます。

たとえば重要文化財「駿牛図巻断簡」。「駿牛」とは優れた牛のことです。平安時代以降、貴族の乗り物として牛車が用いられたことに伴い、評判の牛を絵姿に描きとめることがさかんになりました。「駿牛図巻断簡」は、こうして集められた図巻の一図です。「駿牛」と呼ぶにふさわしい美しい牛の姿をみてほしいです。

そしてベトナムの「五彩水牛文大皿」は、キュビスムを思わせる自由な表現手法で、ピカソの作品を想起させます。ただの家畜としての水牛ではない、特別な思い入れを感じ取ることができます。

1月2日(金)、3日(土)は、獅子舞、和太鼓演奏が、1月2日(金)は、江戸の遊芸(江戸の売り声)、3日(土)はクラリネットコンサートのイベントも開催されます。展覧会ともども新年気分を満喫してください。
(文/東京国立博物館東洋室研究員 川村佳男)

 

『新春企画 博物館に初もうで 新春特別展示 豊かな実りを祈る―美術のなかの牛とひと―』

2009年1月2日(金)~1月25日(日)
東京国立博物館
一般600円、大学生400円
月休 (1月12日(月・祝)は開館、翌13日(火)は休館)
Tel. 03-5777-8600(ハローダイヤル)

 
重要文化財 「駿牛図巻断簡」鎌倉時代・13世紀

「五彩水牛文大皿」 ベトナム 16世紀

小袖 「茶綸子地四季耕作風景模様」 江戸時代 19世紀