土屋孝元のお洒落奇譚。『リキテンシュタイン展』をポンピドゥーで。そしてパリカフェ事情。

(2013.10.08)
フィアット550、いかにもパリ風。
前回よりひきつづき
パリのカフェ。

コーヒーやお茶、そしておいしいスイーツがいただけるところ。日本でいうところのカフェ、喫茶店のように利用できるとこがパリには多種あります。

カフェとサロンドテ、ブーランジェリー、パティスリー、ショコラティエ、と呼び名はいろいろあります、もちろん、スターバックスも……。

カフェで朝からワインやビールも飲めるので日本で言うところの喫茶店とは若干違うかもしれません。

基本カフェではパンは焼いていないので、ジャンボンサンドのバゲットやクロワッサンなどはブーランジェリーが届けます。

カフェでの特殊事情 1:ルーブル近くのカフェでのこと。トイレにはナンバーロックがかかり、お店で何かを注文して初めてレシートにPWとIDがプリントされてそれを打ち込みトイレに入れるのです。この場所が特殊なのかもしれませんね。

ブーランジェリーとは普通にパン屋さんで、バゲットやクロワッサン、パリジャン、デニッシュなど色々なパンを焼いていて、普通はテイクアウトだけなのですが、場所により、テーブル席で食べることもできます。

パティスリーはそのまま、日本と変わらず こちらも店売りがメインですが、多少席があり そこで食べることもできます。サロン・ド・テはもちろんお茶も飲める日本的な喫茶と呼ぶお店ですが、ランチなどはもう少しきちんとしたフレンチスタイルです、前菜とメイン、デザートも付いてビストロと変わらないのではと思う様なお店もありました。

僕が利用したのは、ケ・ブランリーの前 ルー・ド・ユニバシテ、ユニバシテ通りに面したサロン・ド・テ『LES DEUX ABEILLES 』このお店は前に駐車スペースがあり、車で来てすぐに止められ便利そうです。


ブーランジェリー&パティスリーの看板のあるお店。

***

カフェでの特殊事情 2:パリのマダムらしき人がグレーがかったベージュにマルーンの幌のフィアット550のOpenトップでやって来て車を店前に停め、予約していたのでしょう、オープン席に座りました、その間、1分ほどですか。

車といい、ファッションといい身のこなしといい いかにもパリを見たようでした。


ドゥマーゴのタルトタタン。
エッフェル塔の近く
ブーランジェリーカフェ。
『LES DEUX ABEILLES 』は外の通りから見ただけでは、間口が狭いので小さなお店かなと思ったら、中に入ると坪庭があり奥のテーブル席まで光が入り明るく素敵なお店です。お昼前に出かけても外のオープン席は予約で満席で ここに限らずですが、寒くてもパリではオープン席は人気ですね。

ランチもきちんとしていて前菜とメインが日替わりで5種類くらいから選べ、最後のデザートはそれだけでもお腹がいっぱいになるくらいのボリュームです、僕は珍しいので「トーフ」とメニューにあるデザートを頼みました、冷たいトーフ? フレッシュチーズにブルーベリー、ラズベリーソースがかかりピンクペッパーがアクセント、これにカフェまたはティが付いてサービス料タックス込みで20ユーロくらいです。

カフェでも看板にブーランジェリーカフェとあれば、そこでパンを焼いているので焼きたての美味しいジャンボンサンドとカフェオレが楽しめます。

街のブーランジェリーは土曜日、日曜日休みが多く、このブーランジェリーカフェと看板があるお店にバゲットを買いに早朝から人々がやって来ます。

土曜日の朝、エッフェル塔の近くのブーランジェリーカフェで朝食を食べている時にも、次々にパリジャン、パリジェンヌがやって来てバゲットを一本買って出かけて行きました。


お水とバゲットのある風景。
やっぱり人気
『ロイ・リキテンシュタイン展』

カフェでの特殊事情 3:シャネルスーツのおばあ様がフレンチブルドックを連れてバゲットを買いに来てエルメスのバーキンらしきバックにバゲット突っ込み、また、普通に歩いて行くのを見て、やはり絵になるなあと……。

カフェつながりで、ポンピドゥー・センターで開かれていた『ロイ・リキテンシュタイン展』(11月4日まで)を見に出かけ屋上のテラスカフェでのこと、このカフェは眺めよくパリを見渡せ モンマルトルの丘サクレクール寺院からデファンスの新凱旋門まで見えてオススメです。隣の席にアフリカ系の4歳くらいの男の子が座ったので、お母さんはどんな人かなと思いそれとなく見ると、まるでファッション誌の編集者のようなキャリアウーマンタイプ、ブロンド、青い目のお母さんでした、ここでは こういう親子をよく見かけます。男の子もお行儀がよく きちんとしていて、見ていても気持ちがイイものです。『リキテンシュタイン展』に話を戻し、係りの人に聞くと 入るのに、なんと、30分から1時間待ちです、と言われましたが待つことにしました。それ以上かかりそうな行列ですが……なんとか入れ どこでも人気があるのだなと改めて実感します。

その行列にいた時のこと、パリでは日曜日、デパートやお店が休みなので美術館が人気ですが、そのためか 家族での見学者も多くいて並んでいる人を観察していると、日本と変わらずにお父さんが行列に並び、奥さんと娘はカフェでお茶を飲んで待っているのです、順番が来たら携帯に連絡して、と、こんな感じでしょうか。一言ふたこと言って行ってしまいました。まるで東京の日曜 デパートの駐車待ち状態です。

『ロイ・リキテンシュタイン展』は初期の作品から僕も初見ですが晩年の広重をイメージする浮世絵風日本的な作品まで、網羅していて、それは見応え充分な展示でした。初期のリキテンシュタインがなぜ ドットにこだわるようになっていったかわかるもの、初期のインスタレーション、作品を展示した場所などもわかり、リキテンシュタインが名前を知られるようになっていった過程も自分なりに納得しました。

個人的な意見ですが、最高傑作の一つは『溺れる女』、『ブラッシュシリーズ』ではと思いますが、いかがでしょうか。 立体の展示も多数あり、迷路のような構成で不思議に思ったのはカメラOKの展示とカメラNGの展示があったことです、作品自体には見たところ変わりはなく?その差がわかりませんでした。

LES DEUX ABEILLES 89, Rue de l’Université, 75007 Paris 

ポンピドゥー・センター『ロイ・リキテンシュタイン展』