女性のための、元気になれる俳句78 選・如月美樹 チューリップ喜びだけを持つてゐる 細見綾子

(2010.02.23)
 

世間は「冴え返って」いる。空気が冷たく、風も強く、なかなか部屋が暖まらない。こんなときこそ、気持ちがあたたかくなる句を読みたい!
そこで掲句。子どものころは、花といえばチューリップだった。お絵かきの時間に花を描けば、決まって花弁の先が3つに割れたチューリップ。おけいこバッグのアップリケもそうだった。この花が子どもの純粋な心をとらえるのはなぜなんだろう? 大人がありがたがるウメやサクラなんて、子どもにはどうでもいいのだ。
中から光り輝いているようなチューリップを、喜びだけを持っている、と表現するなんて、純粋な魂を持っている人にしかできないことだ。読み手である私達も心を開いて受け止めたい。その瞬間だけでも素直になれそうな気がするから。掲句初出『桃は八重』(1942)。