11月下旬はローザス新作、2010年2月初旬は池田+プラテル+ヴォルドンク『ナイン・フィンガー』現代ダンス好きなら、さいたま芸術劇場にGO!GO!

(2009.11.19)

ローザス『ツァイトゥング』は音楽を視覚化した傑作。

ローザス『ツァイトゥング』、アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル振付

「コンテンポラリー・ダンスならベルギー」と言い切っても大げさじゃないほど、ベルギーは凄い振付家とダンサーの宝庫。百花繚乱いろんなスタイルあるけれど、共通点は洗練度の高さ&インパクトの強さ。その代表格がアンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル率いるローザス。何度も来日しているけれど、マンネリという文字はローザスの辞書にはなくってよ。毎回、新鮮な動きに魅了されて「身体のパワーは無限だわ」って叫びたいほど。
ミニマル・ミュージックの旗手スティーヴ・ライヒの打楽器のみの曲も、フォークの女王ジョーン・バエズのプロテスト・ソングも、舞踊を通して神々しいイメージで再生されたわ。アンヌの振付って緻密な幾何学性で構築されつつ、その奥深くになんとも優雅な感覚が潜んでいるの。ローザスのダンサーたちは複雑なリズムも繊細なメロディーも骨、筋、血管のすべてで吸収、それらを全身で消化してシャープに表現。知性と鍛えぬいた肉体から生まれるダンスが、観る者の身心を浄化してくれます。
今秋来日する新作『ツァイトゥング』は、男女9人のダンサーが踊るの。衣裳は各人ばらばらで普段着っぽい、足元は裸足とハイヒールが共存。そして、舞台ではアラン・フランコによるピアノの生演奏が! バッハ、シェーンベルク、ヴェーンベルン。この3人の曲が意表をつくかたちで視覚化されます。ちなみにタイトルの『ツァイトゥング』はドイツ語で、新聞の意味よ。

 

『ツァイトゥング』

日時:2009年11月27~29日、※27日の公演後、アンヌのポスト・トークあり。『ナイン・フィンガー』とのセット券がお得。
会場:彩の国さいたま芸術劇場・大ホール

http://www.saf.or.jp/arthall/event/
event_detail/2009/d1127.html

舞台ではアラン・フランコがバッハやシェーンベルクをピアノ演奏。

 
ローザスのダンサー池田扶美代によるワークショップ開催。

 
なんと経験不問よ。18歳以上の意欲あるかた、絶好のチャンス!
日時:2009年11月30日(月)13:30~16:30
会場:彩の国さいたま芸術劇場・大稽古場
http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2009/d1130.html

 

 

『ナイン・フィンガー』の衝撃は各国で感動を呼ぶ。

 
待ってました!! アヴィニョン・フェスティバルはじめ各国で評判の名作、ついに来日。アフリカの少年兵の目を通して戦争の酷さを訴える小説を基に構成された『ナイン・フィンガー』。このタイトルを英語で書けばNine Finger。しっぽのsを忘れた訳ではありません、フィンガーズじゃなくて単数形なの、元から。何かが足りない、という感覚が痛みとともに伝わってくるでしょう。根源的なものを失ってしまったような不安な印象……。この作品はダンスというジャンルを越えた創造、と呼べるパフォーマンスよ
ローザスの重鎮ダンサー池田扶美代、身体表現にも優れた俳優ベンヤミン・ヴォルドンク、レ・バレ・セードゥラベー(Les Ballets C. de la B.)の振付家アラン・プラテル。ベルギー芸術界に輝く3人の英知が、観客の心をディープに揺さぶる名作に結晶。各地で続く戦争が、人類の未来にどんな恐ろしい影を落とすか、問いかける舞台です。アランはセラピストの経験もあって、振付に際しダンサーの心の傷を取り入れることもあるの。彼自身は特定の宗教を信じていないけれど、作品には祈りに通じる気高さがあふれていてよ。

アフリカの少年兵を描いた小説を素材に、力強いパフォーマンスを展開。

今回、扶美代とベンヤミンのふたりが展開するステージは、観客にハンバない衝撃を与えるわ。現実と向き合わない限り、個人の問題も世界の課題も解決のメドさえ立ちっこないもん。安直な「癒し」を掲げたスペクタクルなんか観て何になるの?!

 

『ナイン・フィンガー』
日時;2010年2月6、7日 ※両日とも出演者のポスト・トークあり。
会場:彩の国さいたま芸術劇場・大ホール
http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2010/d0206.html

 

 

2010年1月にはドレスデン国立歌劇場バレエ団も。

 
バレエ・ガラ『ブベニチェクとドレスデン国立歌劇場バレエ団の俊英たち』と聞けば、クラシック公演の響き。でも、このバレエ団、古典からコンテンポラリーまで踊りぬいちゃう。気鋭の振付家イリ・ブベニチェク(ドレスデン国立歌劇場バレエ団プリンシパル)と双子の兄弟オットー・ブベニチェク(ハンブルク・バレエ団プリンシパル、作曲家)、そしてドレスデン国立歌劇場バレエ団の注目ダンサーが来日。イリの振付作品に加え、ウィリアム・フォーサイス振付作品も披露されます。

『彩の国バレエ・ガラ ブベニチェクとドレスデン国立歌劇場バレエ団の俊英たち』
日時:2010年1月23、24日 
会場:彩の国さいたま芸術劇場・大ホール
http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2010/d0123.html
彩の国さいたま劇場