21世紀ってこんな感じ。体感できる『メディア芸術祭』開催。

(2009.02.04)

天から地上をのぞき込み、歩いている人を指で突き飛ばす。倒されても倒されても起き上がってくる小さな人々。それをまた突き飛ばす。気分は「みこころの天にあるごとく地にも行いたまえ」る、神。

シャボン玉から音がする。全ての事象が音楽に聞こえたらしい楽聖モーツァルトはきっとこんな感覚。

東京・六本木の国立新美術館で開催中の『第12回 文化庁メディア芸術祭』では、こんな不思議な、今までにはなかった「新感覚」が体験できてしまいます。

『文化庁メディア芸術祭』は今年で12回目を迎える、アート、アニメ、映像、ゲーム、ウェブ、マンガの「メディア」芸術の祭典。今年は世界44カ国から2,146作品の応募があり、国立新美術館の会場ではその中から選ばれた受賞作を含む約170の作品を見たり、聞いたり、触ったりできます。

文化庁メディア芸術祭実行委員の篠原たかこさんによると今年はますます海外からの応募が多くなり、特にアート部門では400作品以上の応募が。アートの部門応募総数は1000作品を突破、海外からも日本のこのフェスティバルで評価されることについて注目が集まっているとのこと。

今年の傾向は大賞を受賞したマルシオ・アンブローシオの『Oups!』のようなアートとエンターテイメントのジャンルが融合が進んだ、未来を感じさせる作品が続々登場していること。

会場をぐるりと巡ってみました。刺繍のステッチのような線描が動き出してガーリィな物語が広がる荒井知恵のアニメ『DREAMS』、チャプリンがダンスする姿をわざわざ一度手描きでトレースしたものをつなげて映像に起こし、それらをインスタレーションした海老原 優の『insidrlloutsider』など、デジタル世界に優しさを求めるようにアナログ的手法をヒントにした作品に「これから」はある、
と観察しました。
(世界文化観察/バーバラ・ウンフーフー)

▼第12回文化庁メディア芸術祭
Tel.0120-45-4536
主催:文化庁メディア芸術祭実行委員会(文化庁・国立新美術館・CG-ARTS協会)
期間:2009年2月4日(水)~2月15日(日) ※2月10日(火)は休館
10:00~18:00(金は〜20:00)
会場:国立新美術館
住所:東京都港区六本木7-22-2
入場料:無料

画面上を歩く小さな人を、指でなぎ倒して遊ぶ(?)アート作品『Touch the Invisibles』 Ⓒ渡邊淳司 / 草地映介 / 安藤英由樹
シャボン玉が銅製の管にぶつかると音が出る鈴木莉紗の『風の音楽』 Ⓒ鈴木莉紗。
スクリーンに向かって立つと自分の姿に加味した何かが……。ベルギーのマルシオ・アンブロージオによる大賞作品『Oups!』 ⒸMarcio AMBROSIO