7月20日(土)~ 9月8日(日)目黒区美術館で
PAPER -紙と私の新しいかたち-展

(2013.07.08)

植原亮輔と渡邉良重 《時間の標本》 2007年

これからの紙と私たちのあり方を考えるきっかけになる展覧会に。
目黒区美術館では1990年に『PAPIER:紙物語-美しく繊細な造形』展を開催。和紙、洋紙、それぞれの特徴や文化的背景を示しながら、折る・切る・組むなど、豊かな紙の造形表現を、伝統的なものから現代美術まで広く紹介しました。それから20余年、紙を取り巻く状況の変化は、美術やデザインなどの表現領域においてどのように影響してきたのでしょうか。1990年と2013年では、何が変わり、何が変わらずにあるのか、現在(いま)の造形表現を通して見えてくるものを紹介しようと、この夏『PAPER -紙と私の新しいかたち-』展が企画されました。

まず、変わらずにある造形表現の素材としての紙の魅力が、アートやデザインの手法で、鮮やかに引き出された作品に着目。作り手は、アーティスト、建築家、デザイナーとして活躍している作家たち。美術もデザインも、それぞれの各領域が今や緩やかに関係しあっているように、同展の出品作家らもまた、ジャンルを越えて幅広い創造活動を展開している人たちです。それぞれの作家が持っている、物事に対する意識や眼差し、発想や思考を通じて、素材の特性を見極め、それに沿った使い方を模索し、あるいは目標地点を定めて素材と関わることで生み出された作品に、今の紙のあり方や紙と私たちの関係性のヒントがあるのではないでしょうか。そこには、印刷や加工という技術力が関わってくることも見逃せないポイント。

本展で紹介する作品は、造形的な美しさだけでなく、紙本来の性質をしっかり示しながらも、より親密に私たちに働きかけてくる“何か”が感じられます。その“何か”は、アートやデザインを私たちの側にぐっと近づけてくれているだけでなく、紙と私たちの新しい関わりかたを示してくれているようです。今日の私たちと紙との関係を探るひとつの試みの場になると同時に、これからの紙と私たちのあり方を考えるきっかけになる展覧会になりそうです。


左:鈴木康広 《キャベツの器》 2004 年 / photo: Amana Co.,Ltd. / created for “TAKEO PAPER SHOW 2004: HAPTIC” exhibition (2004)
右:トラフ建築設計事務所 《空気の器》 / Photo: Fuminari Yoshitsugu


左:DRILL DESIGN 《geografia 地軸23.4度 [マテリアル] 組立式地球儀》 2010年 / Photo: Ryokan Abe
右:西村優子 《 organic 》 2006 年 【参考図版】 ※実際の展示作品とは異なります。

PAPER ‐紙と私の新しいかたち‐展


寺田尚樹 《テラダモケイ 1/100建築用添景セットNo.26 カフェテリア編》 / photo: Kenji Masunaga

会 期:2013年7月20日(土)〜 9月8日(日)
会 場:東京都目黒区目黒2-4-36
TEL:03-3714-1201
時 間:10:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日:月曜日 
観覧料:一般600円、大高生・65歳以上450円、小・中学生 無料