深瀬鋭一郎のあーとdeロハス動物園でアート!
動物たちと一緒に絵を描こう。

(2011.05.02)

綺麗な花の絵を描く象のことを憶えていますか? ロシア人二人組のアーティスト・ユニット『コマールアンドメラミッド』(komar & meramid)が始めた、タイの象と象使い救済のためのプロジェクト『アジア象アート&保護プロジェクト』(AEACP、The Asian Elephant Art & Conservation Project、http://www.elephantart.com)の一環として、川村記念美術館の展覧会『コマール&メラミッドの傑作を探して』(”Desperately Seeking A Masterpiece”、2003年)のイベントで描いていた、タイから来日した象『Wanpen』のことです。当時は多くのメディアで報道されていました。

象がどのように絵を描くかというと、器用な長いハナを人間の手の代わりにして、絵筆を持って描きます。それらの絵はヤフーオークションやネットで売却され、その絵柄をあしらったTシャツは川村記念美術館のミュージアムショップで販売されて、絶滅の危機に瀕する仲間の象や象使いたちの救済に役立てられました。

筆者は深く感銘を受け、アートプロジェクト型の作品(プロジェクト全体をアート活動として表現するもの)の中でも史的傑作のひとつと考えています。そしてそれ以来、自分自身もボンヤリと、動物園とアートを結び付けた良いアートプログラムを作ることができないか、と考えてきました。

動物園では、その後も様々な取組みがあり、例えば、阿佐ヶ谷美術学校は、2007年に『井の頭自然文化園』(動物園)の地図を学生のグループワークとして制作し、園内の事務所棟で展示しました。作曲家の野村誠は、鍵盤ハーモニカで『よこはま動物園ズーラシア』園内で様々な動物と共演し、その模様を映像作家の野村幸弘がビデオ作品『ズーラシアの音楽』(2005年)にして、国際美術展『横浜
トリエンナーレ2005』で上映しました。『ヨコハマ国際映像祭2009』でも、『横浜市立野毛山動物園』の『しろくまの家』をサテライト会場にして、若手アーティストSHIMURA Bros.と泉太郎の作品を上映しました。

親子でふれあうアート広場
残念ながら、筆者自身は、動物園では未だ自信のあるプログラムは制作できていません。もっとも、今年の1月から江戸川区在住の作家たちによる『親子でふれあうアート広場』(通称『行船公園アートバザール』)を監修し、作家や区議会議員とともに、自然動物園がある江戸川区の『行船公園』で開催するよう、江戸川区や環境促進事業団、地元の専門学校、美術館などに働きかけ、つい最近、実現にこぎつけたところです。そういったタイミングなので、今回のコラムでは、このプログラムの紹介をしたいと思います。

『親子でふれあうアート広場』は、冬季を除く毎月第2土曜日の10~16時に、東京メトロ東西線西葛西駅の北徒歩10分にある『行船公園』の自然動物園入口脇で開催される予定です。あまり知られていませんが、実は行船公園は、入場無料の自然動物園のほか、回遊式の日本庭園『平成庭園』や茶室『源心庵』、子供に人気の大滑り台やピクニック広場、噴水と水浴び場に釣り池もある、大変充実した公園です。しかも、北側に隣接した東京都宇喜田公園には、多目的広場やフラワープロムナード、2カ所の駐車場も付設されており、両公園を併せて、様々な楽しみ方ができます。

江戸川区による行船公園紹介ページ
http://www.city.edogawa.tokyo.jp/shisetsuguide/bunya/koendobutsuen/gyosen/index.html

約20組の作家による作品展示、販売とワークショップ

2011年5月14日(土)に行われる、記念すべき第1回目の開催では、約20組の作家による作品展示、販売と、沢山のワークショップが行われます(雨天時は6月11日(土)に順延)。

その目玉企画のひとつ、皆で動物をスケッチする『江戸川区立自然動物園で動物のスケッチをしよう』(講師:遠山俊行)は、13~14時に自然動物園内で行われます。参加希望の方は、噴水南側の藤棚下にある遠山さんのブースに13時に集合です。自然動物園には、うさぎやひつじなど、動物たちに直接ふれながら一緒にスケッチできるコーナーもありますよ!スケッチ以外の時間帯はこのブースで遠山さんによる別のワークショップ『動物のぬりえ』が行われます。

そのほか、『オリジナルスウィーツの立体ポストカード(sachiko)、『土と遊ぼう』(渡邉愛子)、『笑顏、描きます』(近藤夏美)、『木くずを使って自由に造形、エコタワーで街づくり』と『紙工作』(カノ ヨシタカ)、『どんぐりの人形』(竹川正三郎)、『折り紙・紙コプター』(ころく会)が通日(10時~16時)行われます。『習字アートを楽しく体験しよう!』(細谷久子)は10~12時、『絵手紙ワークショップ』(白根良子)は10~15時に、『おもいでトロフ
ィー』(阿部剛士)、『tie-dye(絞り染め)』(Nona*Hachi)は毎時ちょうどから、『針金の置物製作』(中村善則)は13時から実施です。

筆者としては、開催が軌道に乗ってきたら、実行委員会や出展者、自然動物園をはじめ、江戸川区環境促進事業団のみなさんが賛同してくださった場合には、例えば、海外を含め江戸川区外の気鋭のアーティストを招いてワークショップをお願いするとか、動物のアートに関連する上演・上映会を開催するとか、園内で動物と一緒に絵を描くとか(笑)。絵を描くタイの象ほどの強烈なインパクトではないですが、従来の芸術概念の外縁を延伸していくような、斬新な企画も導入して行けるかも知れないと、可能性に期待しています。

なお、親子でふれあうアート広場実行委員会では、いつでも実行委員や出展者を募集しています。なにせ行船公園が広いので、井の頭公園アートマーケッツや、昭和記念公園アートバザールほどではないにしろ、100組は楽に出展できる空きスペースがあるからです。希望者は、以下の公式ブログをご覧になり、ぜひご応募くださいね。
 
 
 
 

『親子でふれあうアート広場』公式ブログ
http://oyakodeart.blog60.fc2.com/