女性のための、元気になれる俳句7 選・如月美樹 〜ふところに乳房ある憂さ梅雨ながき 桂 信子〜

(2008.07.08)
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 乳房は女性そのものである、といえる。ある日、それをふと、うとましく思った。自分が女性であるという事実を憂えているということか。
 ふところは、衣服、特に和服に覆われた胸のあたりをさす言葉。「ふところに乳房がある」のは、女性には当たり前のこと。が、作者は、言葉にすることで、それは自分とは関わりのない別の存在である、と思ってみたかったのかもしれない。
 しかし、紛れもなく自分自身のものである二つの乳房は、長梅雨のように、女性を物憂くさせることがある。掲句初出『女身』(1955)。