『Einmal ist Keinmal / my small fib』喜多村みか写真展

テルメギャラリー にて開催。

(2013.03.18)

都立大『テルメギャラリー 』にて開催、
同名の写真集も先行販売します。

3月20 日(水)〜3月31 日(日) 『テルメギャラリー (THERME GALLERY)』にて喜多村みか写真展『Einmal ist Keinmal / my small fib(アインマル イスト カインマル / マイ ファースト フィブ)』を開催します。またギャラリーの出版レーベル『テルメブックス(THERME BOOKS)』から同タイトルの写真集も出版します。一般発売に先立ちまして、本展にて 先行発売というかたちで販売します。

展覧会では制作の原点ともいえる二作品、“Einmal ist Keinmal”(カラー)と“my small fib”(モ ノクローム)を展示します。

“Einmal ist Keinmal”は、2000 年頃から日本、フランス、イギリス、スイス、ハンガリー、オーストリア、ベルギー、 中国で撮影してきた作品です。

タイトルの“Einmal ist Keinmal”、これは、ドイツの諺で「一度しか起こらなかったことは一度も起こらなかったようなものだ」という意味なのですが、この作品を作りはじめた頃、10年以上前になりますが読んでいた本、ミラン・クンデラの「存在の耐えられない軽さ」(千野栄一訳、集英社)の中で見つけた言葉です。

一度しか起こらないことを写真に撮って何度も眺めるという、この諺に反した行動が写真だと思うのですが、そこに何かとても不思議な説得力を持った関係があるように思いました。私たちの過ごす時間は、厳密に言えば、おなじことは2度起こらないのですが、すべてのことが一回きりだということの中にこそ、なにか意味があるのでは?、あるいはない? というような解釈です。

一見どうでもいいようなことの中にも、何か意味があるのでは? そしてその集積を眺めることで見えてくるものがあれば、という願いだったりもします。


“Einmal ist Keinmal”より。

白黒作品の”my small fib”

”my small fib”は10 年程撮影してきたモノクロ写真からセレクトした作品です。「fib」という言葉は、「ささいな嘘、罪のない嘘」というような意味です。

モノクロ写真の作品のタイトルにつけているものなのですが、カラー写真が淡々と現実を切り取るのに対して、モノクロ写真は私にとっては、どこか現実と(見たものと)少し離れたものに見えるのです。単に色彩が無くなるだけなのに、やけに感傷的に見えたり感動的に見えたり画的に見えたり、なにかしらドラマティックなものに変換する力があると思っていました。

たとえ写真にまつわるエピソード、ストーリーがなくとも、見る者が思いを巡らしやすい。そんな白黒写真の特徴にフォーカスしてまとめた作品です。

写真作品が何を表しているか、ではなく、写真にはそんな特徴がある、というメッセージもあります。今回はそんなわけで、一言だけ、写真とは無関係のテキスト(ちいさな嘘)を添えています。ただしそれが嘘に見えるかどうかの判断や、テキストがあることで見る人による解釈が変わるというのも写真の特徴だと思っています。疑って欲しいわけではなく、発見につながればいいと思っています。


”my small fib”より。

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“Einmal Ist Keinmal”と”my small fib”も撮影スタイルは、正直に言ってほぼ変わらないのですが、”my small fib”に色がないというだけで、私にとってはまったく違うものに見えました。なので両作を撮り分けている、というよりは、選び分けているという感覚です。”Einmal Ist Keinmal”がエッセイやノンフィクションだとしたら、”my small fib” は詩に近いのかなと思ったりします。

カラー作品は私の意図しないところが立ち現れてくるののが面白いのに対して、モノクロ写真は私のイメージに近づけたものと言えるかもしれません。私の意志の影響するところが、少ないもの(カラー)と多いもの(モノクロ)、という感じもしています。その点でふたつは別々の作品になりました。

ライブ・パフォーマンス、
トークセッションも。

会期中にはライブ・パフォーマンス、トークセッションも行います。

ライブは3月 24 日( 日 )15:00〜、音楽家・荒木真さん、トロンボーン奏者、ヴォーカリスト・上杉優さんが登場。「写真・音楽・ダンス」で何かできないかと、模索している仲間です。物理的にダンサーの介入が厳しかったので今回は演奏のみとなりましたが「写真展」の会場で「ライブパフォーマンス」をすることで、単純に新しい人の繋がりが生まれたらいいなとも思います。

トークセッションは3 月 30 日( 土 )1 9 : 0 0 〜。聖学院大学 視覚文化論・映像文化論 特任講師・畠山宗明さん、キュレーターの山峰潤也さん、喜多村みかで写真ということに囚われない目線で写真について話してみたいと思っています。

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『テルメギャラリー』は2008年6月より運営しているギャラリーで、松岡一哲くんという写真家が運営しています。写真だけでなく、いろいろなジャンルの作品展を行っているギャラリーで、不定期に企画展を行なっています。写真家たちにとっては自由実験場所ということもできると思います。この機会にぜひ立ち寄ってみてください。(写真家・喜多村みか)

●喜多村みか プロフィール 
1982 福岡県生まれ。2007 東京工芸大学大学院芸術学研究科メディアアート専攻写真領域修了展示 に 、『 喜多村みか展 』 ( BlueBlack東 京 / 企 画 : bambinartpromotion ) 、『 mikakitamuraphotoexhibition 』 ( 渋 谷西武プラチナサロン)、『Helsinki Biennale 2008』出品(Helsinki, Finland)『Einmal ist Keinmal』(東京・大阪ニコンサロン)、『TWO SIGHTS PAST』(Lumen Gallery,Hungary・ラムフロム東京 )、『Color of Future』(ターナー ギャラリー)など多数。2004 ニコン Juna21 入賞・2006 キャノン写真新世紀 優秀賞(渡邊有紀との共同制作)

喜多村みか写真展『Einmal ist Keinmal / my small fib”』

会期:2013 年 3月 20 日(水)~3 月 31 日(日)

時間:13:00~20:00
会場:『THERME GALLERY(テルメギャラリー )』
所在地:東京都目黒区八雲 1-8-4

電話:03-3723-6286

定休日:月曜休廊

ライブパフォーマンス 

日時 : 2013 年 3月 24 日(日 )
開 演:15 : 00
出演:荒木真(音楽家)、上杉優(トロンボーン奏者、ヴォーカリスト))
定員:25 名(要予約、1,000円)


トークセッション 

日 時 : 2013 年 3 月 3 30日(土)
開 演
:19 : 00
出演:畠山宗明(聖学院大学 視覚文化論・映像文化論 特任講師)、山峰潤也(キュレーター)、喜多村みか、定員:25 名(要予約、1,000円)
*予約はメール info@thermegalleru.comにて受付。
オープニング・パーティー
:2013 年 3 月 20 日(水)19:00 〜入場無料

*簡単な飲食をご用意しております。作家本人も出席いたしますので、ぜひお声がけ下さい。

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テルメギャラリー ホームページ