『ミラノサローネ2014』開幕。『カリモクニュースタンダード』様々なexchangeを想起する『キッチンライブラリー 02』会場より。

(2014.04.11)
karimoku_01photo / Takumi Ota
『ミラノサローネ 2014』が始まりました。木製家具メーカー『カリモク』が国内外の気鋭のデザイナーたちとともに2009年にスタートしたブランド『カリモクニュースタンダード』は市内のギャラリー『JP HOME』にて『KITCHEN LIBRARY 02』を開催。『デイリープレス』の竹形さんからその現地ルポが届きました。
『カリモクニュースタンダード』× 『アラベスキ・ディ・ラッテ』
ギャラリー『JP HOME』にて『KITCHEN LIBRARY 02』

『カリモクニュースタンダード』とは……
『カリモク』が2009年にスタートした家具ブランド。革新性に満ち、楽しく、機能的なアイテムを通して、日常の暮らしに自然に溶け込むデザインと、時代が求める普遍性を追求しています。また、森林保全や林業地域の活性化など、日本の森が抱える課題に対し、木製家具メーカーとしてできることを長く考えてきました。このブランドでは、これまで主に紙パルプ原料のチップにされ、有効活用されることがなかった国内の広葉樹(カエデ、クリ、ナラなど)を材料に用いています。

『カリモクニュースタンダード』の『KITCHEN LIBRARY 02』は 昨年に続いて、食を切り口に幅広い活動を行うイタリアのデザインユニット 『アラベスキ・ディ・ラッテ(Arabeschi di Latte)』とコラボレーション。会場はミラノ中心部、カドルナ地区のキッチンと中庭のある心地のよいギャラリー『JP HOME』です。

人は豊かな生活を営むために家具を使います。そんな日常と同じような感覚や活動の中で『カリモクニュースタンダード』の家具を体験していただきたいと、誰かの家のような、ラウンジのような空間にしています。その中で『アラベスキ・ディ・ラッテ』による食事やお茶、彼女たちが世界中で蒐集したレシピブックなどを楽しめる、体験する展示になっています。

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ロフト部分から見た1Fの様子。とてもゆったりとした時間が流れています。
karimoku_03デザイナーのBIG-GAMEとクリエイティブディレクター、デイヴィッド(一番左)。BIG-GAMEがデザインしたプロトタイプのチェアに座って。
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まるでカフェのように、お茶を飲み、話をしながら過ごす来場者。
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アラベスキたちが蒐集している世界中の食やレシピにまつわる本。日本の本もたくさんあります。
食のテーマは、「Words and Foods on loan=借りている言葉と食べもの」。

デザインユニット『アラベスキ・ディ・ラッテ』(Arabeschi di Latte)は、2001 年に フランチェスカ・サルティ Francesca Sarti によってスタートしたイタリア人の女性からなるデザインユニット。“daily sense of happiness” の創造というアイデアに基づき、「食」を切り口に新しいデザインコンセプトを生み出すことを目標にかかげ、デザイン、インテリア、建築、イベントなど多岐に渡るプロジェクトを行っています。主要メンバーは4名。食のイベント、フードケータリング、プロダクトデザイン、インテリアデザインなどプロジェクトによって、チーム編成を替えて活動しています。

『KITCHEN LIBRARY 02』の『アラベスキ・ディ・ラッテ』による食事やお茶のテーマは、「Words and Foods on loan=借りている言葉と食べもの」。アラベスキたちは日本の菓子パンや総菜パンをとても面白く思っているそう。パンは元々海外から入ってきたものですが、日本では餡やひじきなどのおかずを入れたり、カレーを入れて揚げてみたり、コロッケをはさんでみたり。パンはパンでも器用さか、旺盛な好奇心か、はたまた早く食べるための効率性からか、他の国では生まれないであろうオリジナリティあふれるパンを生み出している。またパンだけでなくカステラやコロッケ、ナポリタンスパゲティ、数え出すと切りがないほど様々な “Words and Foods on loan” が日本の食に見てとれます。今回アラベスキは、海外から伝わって独自の成長を遂げた日本食を、再び外の目線で解釈し、新たな形を生み出すという実験を行っています。

『アラベスキ・ディ・ラッテ』が会場で提案する食から、世界で起こっている exchange について、想像してみるとより楽しめます。それは食だけでなく、デザインや、プロダクトの製造、それを支える技術、さまざまな場所で起こっているのです。

karimoku_09アラベスキのメンバーのひとり、マリア・カルラさん。コーヒーとあんパンやカステラをトレーに載せて、サーブしてくれます。
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コーヒー、ゆで卵、あんパン。あんパンのフィリングはイタリアで手に入る素材でつくっています。

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昔ながらの日本の喫茶店ではサイフォンでコーヒーを入れている、ということで今回はサイフォンコーヒーをお出ししています。

karimoku_08キッチンの扉。素材や食器の名前をそれぞれ、カタカナ/アルファベットの音読み/英語で表記。

会場の『JP HOME』は、“ヨーロッパの中心から世界へ日本文化のスタイルを紹介する” をコンセプトに、今年 1 月にオープンしたショールーム&ギャラリー。オーナーであるイタリア人のフランチェスコさんと、日本とスイスハーフのアキさんがヨーロッパのバイヤーやメディアと日本のブランドの架け橋となって、日本製のデザインの独自性を現地に伝えています。『ファッション・ウィーク』や『ミラノサローネ』期間中に行われる芸術作品、パフォーマンスショー、音楽とのコラボレーションなどさまざまなイベントを通して、セールス、プロモーションを行っています。www.jphome.eu

KARIMOKU NEW STANDARD × Arabeschi di Latte
『KITCHEN LIBRARY 02』

会期:2014年4月8日(火)~13日(日)
会場:JP Home / Foro Buonaparte55 20121 Milan, Italy

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