荒川の荒川による荒川のための『UNIT』。

(2010.12.01)

11月21日金曜日の夜、代官山『UNIT』に500人もの「荒川智則」が集まった。この夜は「荒川で智則で、最高のパーティー」でした。

2010.11.12 FRI
THE☆荒川智則 at 代官山 UNIT
UNIT x Arakawa Tomonori x Maltine Records

 
LINE UP:
VJ :
荒川智則
SphinkS
 
LIVE / DJ :
Quarta330 (Hyperdub)
PET SOUNDS (露骨KIT×文字8Fresh!×DJ diyz) feat.DJ少年院
みみみ (Maltine Records)
Hercelot (Maltine Records)
nonSectRadicals
feat.夢眠ねむ,粋/sui,たなかあすか
DJ濱 (FREE SPACE / DIGIn@tion / ヲタリズム)
荒川智則ジャンクパーティズ
アシッドホワイトハウス
芳川よしの feat.カリソ (Maltine Records)
コバルト爆弾αΩ×愛☆まどんな
(INAGE / Maltine Records / DENPA)
Gassyoh (Maltine Records)
RE:NDZ a.k.a. KZ (livetune)
DJWIlDPARTY (赤線企画 / Maltine Records)
tofubeatsとオノマトペ大臣
 
SALOON (B3F) Maltine Records meets “HF”
HiBiKi MaMeShiBa (ONE WEEK RECORDS)
Y.O.K.O. (POINTER BROS. / Threepee Boys)
BLACK SEBBATH (NERDZ ERA / raid sysem)
ASH RA
tacky (Easel / ONE WEEK RECORDS)
 
http://www.unit-tokyo.com/schedule/2010/11/12/101112_maltine_records.php
http://maltinerecords.cs8.biz/
http://荒川智則.jp/

「MとPと3を持って 外へ出ようぜヒキコモリ
歩いていこう 街へ出よう スティーブジョブズの言う通り
MとPと3を持って 外へ出ようぜヒキコモリ
歩いていこう 街へ出よう スティーブジョブズの言う通り」

という出演アーティストの『荒川智則ジャンクパーティーズ』の曲の歌詞のように、この夜UNITには俗に言われるアキバ系男子たちが、マイPCを携えて集まってきた。
 

ちなみに荒川智則とは、実在のアニメーターの名前であり、もとは本人自ら、自分の存在をネット検索で簡単にヒットされないようにとの意図で、多くの人に同姓同名を名乗ってもらったのがきっかけのようである。現在、「荒川智則」はTwitterのハッシュタグでもあり、誰でも名乗ることが出来る。荒川智則として活動するコアメンバーは10数人。ネット上に無数に存在する荒川智則は確認出来るだけでも100人は存在する。荒川智則は同士では「荒川智則は何か?」ということを語り合うことはほぼないとのこと。「荒川智則は都市伝説である」という声も聞こえてきます。
あらあああ。
近頃のネットレーベルブームの火付け役であるMaltineRecordsを筆頭に、ヲタク文化をある意味で活動のバックグラウンドにおいているであろうDTMアーティストが各々の音楽感を詰め込んだプレイ(演奏)披露した。

新しいユースカルチャーが芽吹き、そして成長する場所としてのクラブカルチャーが、新世代のヲタクキッズを生み出し育てている。

クラブはMacやiphone、ipadが発する光でキラキラ輝き、目に見えない新しいミックスカルチャーの息吹のパワーの渦も相まって、とにかく異質だけどとてもエキサイティングな空間がその夜の『UNIT』には存在していた。
 

アシッドハウス、テクノ、ブレイクコア、チップチューン、そしてアニソン。あらゆるサブカルな音が鳴るこの場所は、数年後にはミックスカルチャーの聖地になっているのではないだろうか。例えるなら、「セカンドサマーオブラブは何だったのか?」のような、「荒川智則とはいったい何だったのか?」のような特集が組まれるような、「私が影響を受けたのは荒川智則です!」という世代がもしかしたら出てくるのでは!?なんて予感も感じさせてくれる夜でした。

ちなみに会場の一角には、ブルーシートが張られ、更には無線LANと電源まで完備され、インターネット世代にはとても居心地の良い場所でした。

MaltineRecordsとは
2005年に設立されたインターネット・レーベル、Maltine Records。
「ポップとクラブの間を駆け巡りながらも、インターネットからでしか生み出す事のできない音楽」を標榜して各方面で話題を巻き起こしているこのレーベルの楽曲は、無数のそのリリース作品すべてがインターネットを通じてフリーで提供されています(作品はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスによって管理されており、非営利目的であること、及び原著作者のクレジットを表示することによって自由に複製、頒布、展示、実演、二次的著作物作成が許可されている)。

弱冠21歳にしてネットとクラブという、相反したものとして捉えられがちな両者の垣根を軽々と飛び越えてみせるtomadを中心として運営されるマルチネ・レコーズの音楽は、例えばテクノが初期に持っていたが今は失われてしまった得体の知れない狂騒を今に受け継ぐものであり、またインターネットが当然のようにそこにあった世代による、とっても現実的であたりまえの表現行為を支えるもので、テクノやハウスを通過した後に残った、「日本ローカル」という視点に支えられたベース・ミュージックでもあります。そこに広がる景色はクラブも、ネットも、あるいはアキバも音楽も音楽以外もみな等価値で、それが彼らを新世代たらしめている所以でしょう。

「使えるものは何でも使え。面白そうな所には何処にでも行け。質より量を、より多くのヘッドフォンとスピーカーを駆使して」 ──以上、MaltineRecords社長のtomad氏談。

荒川智則とは
情報統合思念体であり、「荒川智則は荒川智則としか答えようがない」そうである。

あの夜UNITでインターネットに接続していた人全てが荒川智則だった。