深瀬鋭一郎のあーとdeロハスハリウッドスターも大好きなリゾート
ケイマン島 〜南の島でアート!

(2013.03.04)

日本人には馴染みが薄い?
ケイマンのアート事情。

ケイマン諸島(Cayman Islands)は、アメリカ、カナダ、メキシコ人のダイバーにとってはおなじみのダイビング・スポットです。アメリカはフロリダ州の南方にあるカリブ海の島々で、キューバの南西約30km、ジャマイカの北西約30kmにあります。グランド・ケイマン島、ケイマン・ブラック島、リトル・ケイマン島の3つのサンゴ礁からなります。有名なセブン・マイル・ビーチをテレビなどで見て、記憶に残っている方がいるかもしれませんね。観光と金融(タックスヘイブン)を主要産業とするイギリス自治領ですが、アメリカの近くにあるので、アメリカの影響も強く受けています。

アメリカ本土からみたケイマン諸島は、一番近いリゾート(ハワイよりも近い)で、日本の沖縄のような感じです。ハリウッド俳優や有名コメディアンなども別荘を構えており、アメリカ人には身近である一方、日本人にとっては遠い場所と言わざるを得ません。日本からの直行便はなく、アメリカで飛行機を1~2回乗り換えないと到着できないことから、現地で観光客などの日本人を見かけることは稀です。ケイマンについての日本語のブログ記事も極めて少ないので、今回はケイマンのアート事情について紹介することにします。

グランド・ケイマン島のセブン・マイル・ビーチには、
現代美術ギャラリーが数軒。

グランド・ケイマン島のオーエン・ロバート国際空港から首府ジョージタウン迄は歩いて25~30分、タクシーで5~10分。ジョージタウンの海岸通り沿いは、イギリスのコロニアル風の建物が並ぶ、小奇麗な街並みです。グランド・ケイマン島の外周には『OMNI BUS』という路線バスも走っていますが、本数が少ないのと観光客には分り難いので、主な交通手段はタクシーやレンタカーとなっています。ホテル代はとても高く、日本の2倍くらいのイメージです。1ケイマン・アイランド・ドル=1.25 USドルの固定レート制であり、USドルがそのまま通用するのは便利です。

主要な観光資源は、一般にはビーチやバナナ、ラム酒とラムケーキですが、アート/文化的に見れば『海賊』です! ジョージタウンでは、街のいたるところに 海賊たちの等身大フィギュアが置かれています。毎年11月半ばに10日間『パイレーツ・ウィーク』というお祭りが行われます。ロバート・ルイ ス・スティーヴンソン(1850-1894、イギリス)による名作冒険小説『宝島』も、ケイマン・ブラック島にカリブの海賊が財宝を隠したという伝説をもとに書かれていますし、ディズニーランドや映画の『カリブの海賊』もこうした海賊たちをテーマとしたものです。

ケイマン諸島は、人口が僅か52,560万人(2012年7月推計)で、『夜警国家』と揶揄されるほど社会政策が行われていない島のことですが、そうした中でも、不思議なことに、(観光名所づくりと言う趣旨もあるのでしょうか)、ジョージタウンには、ナショナル・ギャラリーや、ナショナル・ミュージアムが設けられています。セブン・マイル・ビーチには、現代美術ギャラリーも数軒あり、地元アーティストのオープン・アトリエも数軒あります。


港に停泊する海賊船。

観光客を海賊たちが酒場でお出迎え。
ケイマン諸島最大のアート施設『ナショナル・ギャラリー』

では、ケイマン諸島の4大アート施設を紹介しましょう。

ケイマン諸島最大のアート施設『ナショナル・ギャラリー』の新館は、2011年2月に旧館より移転してオープンした、白く美しい建築です。ケイマン諸島最大のショッピング・センター『カマナ・ベイ』(Camana Bay)から徒歩圏内にあり、ケイマンゆかりのアーティストを中心に数千点を収蔵しています。グランド・ケイマン島内のアート施設の情報やリーフレット、ミュージアム・ショップもあるので、ケイマンでアート施設めぐりをするなら、最初に行って情報集めをするのが良いでしょう。1階は企画展、2階は常設展の会場になっています。筆者が訪問した時には『Founded Upon the Seas』(会期2012年6月8日~10月5日)と題するケイマン諸島の生い立ちをテーマとした企画展が開催されていました。

『ナショナル・ギャラリー』
National Gallery of the Cayman Islands
Harbour Place, 103 South Church Street, George Town, Grand Cayman, Cayman Islands
Tel +1-345-945-8111
https://www.nationalgallery.org.ky/
開館:月~金10:00~17:00、土10:00~15:00(日祝休)


ナショナル・ギャラリー新館2階建て。

企画展もやはり船から始まるんですね。
『ナショナル・ミュージアム』

また、ジョージタウンの中心部の船着き場近くにある『ナショナル・ミュージアム』の2階も、ケイマン・アート・シーンの草分けたちの回顧展会場等に利用されています。ケイマン諸島で最も古い建物(19世紀建築)です。1階には、テーマパークのような設えの中でケイマン諸島の歴史ビデオを上映する情報コーナーやショップ、監獄跡の展示があり、2階には、企画展示室とキッズ・ギャラリーがあります。1990年開館であり、住民のIra Thompsonさんが1930年代から集め始めたケイマン諸島にまつわる博物品8,000点を、ケイマン政府が1979年に買い上げたのが始まりです。筆者が訪問した:00には、企画展示室では、ケイマン草分けの画家の回顧展『Mr. Ed Oliver – A Thousand Words』が開催され、隣のキッズ・ギャラリーでは、彼による絵画教室を模した展示がなされていました。

『ナショナル・ミュージアム』
Cayman Islands National Museum
Harbour Drive, George Town, Grand Cayman, Cayman Islands
Tel +1-345-949-8368
http://www.museum.ky/
開館:月~金10:00~17:00、土9:00~13:00(日曜休)


ケイマンに1969年に移住した画家Mr.Edの回顧展。

Mr.Edはアメリカン・ペインティングの画家だったようです。
『ザ・リッツ・カールトン・グランド・ケイマン』1階のギャラリー。

商業ギャラリーは何件かありますが、その中でも、2005年12月に開業した、58万平方メートルもある巨大ホテル『ザ・リッツ・カールトン・グランド・ケイマン』1階のギャラリーは、カリブ海最大級の現代美術ギャラリーで、ケイマン諸島ゆかりのアーティストの絵画、彫刻、写真作品を中心に展示・販売を行っています。ホテルのプライベート・ビーチやプールから館内に入った廊下部分をギャラリーにしているので、誰でも気軽に見に行けます。ギャラリー担当者は常駐していないので、もし気になる作品がある場合には、ホテルフロントに行って相談してみてくださいね。。

『ザ・リッツ・カールトン・グランド・ケイマン』
The Gallery, Ritz Carlton Grand Cayman
West Bay Road, Seven Mile Beach, Grand Cayman, Cayman Islands
Tel +1-345-943-9000
http://www.ritzcarlton.com/en/Properties/GrandCayman/Default.htm
開館:無休、24時間


『ザ・リッツ・カールトン・グランド・ケイマン』。『ここへ行ってくれ』というとタクシーの運転手が皆ビビリます。

内部は結構ハイソな現代美術ギャラリーです。
『ケネディ・ギャラリー』

『ケネディ・ギャラリー』は、リッツ・カールトンからも徒歩圏内にあり、ウエスト・ベイ・ロード沿いの海から反対側にあるピンク色のショッピング・プラザ『ウェスト・ショア・センター』の1階にあります。グランド・ケイマン島に自宅や別荘、マンションを持っている人を主な顧客としており、風景・抽象・イラスト風絵画、写真などを販売、額装も取扱っています。あまりコアな現代美術という感じではないですが、親しみやすい作品を扱っているためか、白人の奥方たちで賑わっています。

『ケネディ・ギャラリー』
Kennedy Gallery
West Shore Center, West Bay Road, Grand Cayman, Cayman Islands
Tel +1-345-949-8077
kgallery@candw.ky
開館:月~土10:00~17:00(日曜休)


『ケネディ・ギャラリー』入り口。顧客の車でごった返しています。

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さて、今回のコラムでは、紙幅の限りもあり、これら4施設のみの紹介にとどめざるを得ませんが、他の商業ギャラリーや、現地アーティストのオープン・アトリエも廻ってみると楽しいですよ。これだけアートが根づいている環境というのは、日本人からみると、うらやましい限りですね。あやかりたいものです。