深瀬鋭一郎のあーとdeロハスチューリヒ、バーゼル、
そして大阪 クリスマスマーケット!

(2011.12.24)

「アドベント」とは、キリストの「到来」を意味するラテン語
Adventus (アドべントゥス)から。

11月末頃からクリスマスにかけて、ドイツやスイスに出かける楽しみといえば、何といっても、「クリスマスマーケット」(ドイツ語でWeihnachtsmarkt<ヴァイナハツ・マルクト>)を訪ねることでしょう。クリスマスマーケットは、1434年にドイツのドレスデンで始まったと言われ、現在では、ドイツやスイス、オーストリアなど、いわゆるドイツ圏の都市の広場で「アドベント」 〈Advent〉の期間中に行われでいます。大都市を中心に、ほとんどの都市で開催されるイベントで、夜が長く天気の悪い冬の呼び物として定着しています。観光地では、冬の間ずっと出店が出ている所もあります。

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「アドベント」とは、(キリストの)「到来」を意味するラテン語Adventus (アドべントゥス)から来たもので、イエス・キリストの降誕を待ち望む期間のことです。日本語では「待降節(たいこうせつ)」ないし「降臨節(こうりんせつ)」と呼ばれます。11月30日の「聖アンデレの日」に最も近い日曜日(早い年で11月27日、遅い年で12月3日)からクリスマスイブまでの約4週間です。アドベントのことは知らなくても、子供たちのお楽しみ「アドベント・カレンダー」をご存じの方は多いでしょう。12月1日から24日までの日付の窓やポケットがついていて、その日の窓やポケットを開くと、イラストが現れたり、お菓子が入れてあったりします。

広場の中心にクリスマス・タワーと呼ばれる大きな仮設の塔が置かれ、これがクリスマスマーケットの中心になります。タワーの周囲では、日本の縁日のように出店が並び、ホットワインやホットチョコレート、簡単な食事や、クリスマス・プレゼントになりそうな土産物が売られています。子供が乗れるメリーゴーランドや、小さな観覧車、ミニ鉄道なども設置されます。一軒毎のお店は木造家屋のような作りで、日本の様な屋台ではなく、仮設店舗といった趣です。ドイツ圏の冬場は夜が長く天気が悪いので、華やかなライトアップで飾られます。

中でも、特に人気がある世界三大クリスマスマーケット、「世界一有名なニュルンベルク」、「世界最大のシュトゥットガルト」、「世界最古のドレスデン」は「一見の価値あり!」と言われていますが、残念ながら、まだ筆者はこれらを巡ったことがないもので、今回のコラムでは、ドイツに次いで有名なスイスのクリスマスマーケットや、今年10周年を迎えた、大阪は梅田で開催される「ドイツ・クリスマスマーケット」を紹介します。

チューリヒ中央駅クリスマスマーケット(Christkindlimarkt Zurich)

世界の金融の中心のひとつと言われる、スイス最大の都市チューリヒ(人口36万人、近郊を含むと108万人)では、チューリヒ中央駅構内(ShopVille-RailCity Zurich)で、ヨーロッパ最大の屋内マーケットが開催されます。先ほどの世界三大クリスマスマーケットに次いで有名で、毎年のべ約46万人が訪れるといわれるビックイベントです。ホットワイン「グリューヴァイン」(Gluhwein)やスイス
の伝統料理ラクレット、キャンドル、ガラス細工、手作り小物など個性的で楽しい屋台が約160軒並びます。白眉は、毎年登場するスワロフスキーのクリスタル・オーナメント5~6千個で飾られた高さ15mの巨大ツリー。スイスの国民的美術家ジャン・ティンゲリー(Jean Tinguely、1925-1991)の奥様としても知られるフランスの美術家ニキ・ド・サンファル(Niki de Saint Phalle,、1930-2002)のナナ像も天井から来客を迎えてくれます。

中央駅から、チューリヒの駅前大通りであるバーンホフ通り(Bahnhofstrasse、バーンホフシュトラッセ)に出ると、路面電車が走る街はイルミネーションで彩られており、温かな光に包まれた幻想的な街並みガ、ショップの華やかなウィンドーディスプレーと相俟って、とてもロマンティックな雰囲気です。クリスマスマーケットは、中世の街並が残る旧市街(Altstadt、アルトシュタット)や
ニーダードルフ(Niederdorf)、バーンホフ通り沿いのいくつかの広場でも開催されています。また、デパート「グローブス」(Grobus)前で聖歌隊がツリーの形に並んで歌う「シンギングツリー」、特設 アイススケートリンク「ライブ・オン・アイス」、クリスマス・イルミネーションの中を走るマラソン「ジルベスターラウフ」、リマット川にキャンドルを流す 「リヒターシュヴィメン」など、この時期は、さまざまなイベントやコンサートが開催され、普段は夜や週末に閉まる店なども特別営業しています。2011年の開催は、11月17日から12月31日まで。

バーゼル・クリスマスマーケット(Basler Weihnachtsmarkt)

バーゼル時計フェアやバーゼル・アート・フェアで有名な町バーゼル。クリスマスマーケットの中心となる旧市街のバールフュッサー広(Barfusserplat、バールフュッサープラッツ)には、さまざまなデコレーショングッズやキャンドル、手工芸品、暖かいスープやラクレットの食べ物の屋台が、約150軒集まっています。中世からの街並がイルミネーションに彩られる中、そぞろ歩きを楽しみながら、ドイツ、フランスとの国境でもあるバーゼルから、3国のクリスマスマーケットをはしごすることもできます。最近は、バールフュッサー広場の近くの教会広場(Munsterplatz、ミュンスタープラッツ)にも、サテライト会場のような形で、多くの屋台が出ています。2011年の開催は、11月24日から12月23日まで。

ドイツ・クリスマスマーケット大阪2011
(10 Jahre Deutscher Weihnachtsmarkt Osaka 2011)

大阪市北区の新梅田シティ・ワンダースクエアでは、11月18日から12月25日にかけて、日独交流150周年も祝しつつ、10周年となるドイツ・クリスマスマーケットが開催されています。会場の中心でシンボル的に輝く、毎年恒例の約27mの「世界最大級のクリスマスツリー」が、10万個のイルミネーションで華やかに雰囲気を盛り上げます。本場ドイツのデコレーションで彩られた約25の木製ヒュッテ(小屋)が建てられ、ドイツから持ってきた伝統工芸品、クリスマスオーナメント、木工芸品、装飾品等のお店のほか、グリューワインや焼きソーセージなどの飲食店が軒を連ねて、ドイツ人が販売しています。115年以上の歴史をもつアンティークのメリーゴーランドも営業しています。

イルミネーションの点灯時間 は毎日17時から22時30分まで(12月22~25日は0時30分まで)。本場ドイツのクリスマスを日本にいながら体験できる得難い機会として人気を博しており、昨年の人出は約70万人にも上ったそうです。なお、会場の様子は常時インターネットライブカメラでチェックでき、会場の雰囲気、ライブの模様、クリスマスツリー、クリスマスマーケットのでき上がっていく様子も見ることができます。とても素敵で楽しいですよ。是非いらしてみてくださいね!