女性のための、元気になれる俳句56 選・如月美樹 七夕の雨来て姉妹翼とぐ 八木三日女

(2009.08.17)
 

今年の旧暦七夕は8月26日。俳句では七夕のことを「星の恋」ともいう。この美しい季語のことを、俳句を知らない友人に話したら、「恋になるまでは星ほど遠いけれど、それが愛に到達するにはさらに遠いってことかなあ」という、おもしろい解釈をしてくれた。

天上の恋は、雨が降れば私たち地上の人間には見えなくなる。では、ひそかに翼を隠し持つ姉妹だったらどうだろうか? 高く舞い上がって天上人として迎え入れられるか、失敗して永遠に地上人となってしまうのか。女たちは、その一瞬に賭ける時が訪れることを知っている。しかし、雨が来てしまっては、どうしようもできない。彼女たちは、時を待ち、空を見上げながら、翼をとぎつづける。掲句初出『落葉期』(1974)。