女性のための、元気になれる俳句40 選・如月美樹 美しき厄を山積み雛の船 鷹羽狩行

(2009.03.02)
 

「雛の船」とは、流し雛を乗せた船。流し雛とは、3月3日、川辺から雛を流す風習のことだ。古くは、祓いに使った形代を、ケガレを移されたものとして川に流した。その様子は『源氏物語』にも書かれているほどだ。この風習がもとになり、宮中の雛遊び、そして今見られるような雛祭りへと変わっていったという。
 いっしんに厄を背負い、凛と旅立っていく雛人形たちは、美しく清らかだ。それを「美しき厄」と言ったところにこの句のおもしろさがある。豪華な雛壇や白酒とは無縁な、もうひとつの雛の物語のことを考えながら、もはや流すことのできない我が身の数々のケガレについて考えた。それも女の勲章ってことでいいかしら!? 掲句初出『十一面』(1995)。