Shibuya Tourbillon ~7~ 『コンタクト・ユニバース』
3000世代のちに届ける神話。

(2013.07.19)

ギャラリー『アツコバルー arts drinks talk』、ライブハウス『サラヴァ東京』のオーナー アツコ・バルーさんのコラムが『Shibuya Tourbillon(シブヤ・トゥルビヨン)』、渋谷つむじ風。渋谷の奥「奥渋」=オクシブから文化の旋風を巻き起こします!

100,000年後の人を思う。

まずは『アツコバルー arts drinks talk』8月2日(金)~の展示『コンタクト・ユニバース~宇宙を旅する音楽』展 について。

会場に2つのドームが設置され、現在を起点に10万年前と10万年後をあらわす空間が音と映像で広がる。

地球の新たな表記法「Notation」を考案した建築家の鳴川肇。映画音楽も手がける現代音楽家・平本正宏。第50次南極観測隊として現地に1年滞在した経験をもつ極地建築研究者・村上祐資。

それぞれユニークな方法で世界との関係を開いてきた若い才能、この3人が、「宇宙とのコンタクト」をテーマに超領域的なコラボレーション。


Apollo 14, 1971 (NASA/JPL) 参考図版

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最古の人類がアフリカ大陸を出たのは10万年前だった。だったら次のサイクル、10万年後の人類は何をしているのだろう。

生命体が存在するといわれる惑星「グリーゼ581g」に向かって20光年の距離を飛ぶには10万年かかる。「グリーゼ581g」に到着寸前の宇宙船にいる28家族に思いをはせ、時空を楽に超える唯一の移動手段、「想像力」で3000世代後の子孫に会いに行く。

アフリカで生まれた人類が南極に到達するまで10万年かかった。これからの10万年で我々はどこに行くのか?

EGO-WRAPPIN’が『10万年後の君へ』で歌うように、フィンランドでは今マジに10万年後の人類に「キケン触るな」というメッセージを送ろうとしている、夢物語ではない。10万年後まで伝わりうる神話を今作る、という作業なのである。

『アツコバルー arts drinks talk』のバーカウンターで「南極カクテル」や「グリーゼかき氷」などをすすりながら滴る汗をぬぐい、想像力のパワーを全開にして20光年先までぶっ飛んでほしい。

『コンタクト・ユニバース〜宇宙を旅する音楽』展 平本正宏+鳴川肇+村上祐資
2013年8月2日(金)~ 8月18日(日)会期中無休
月〜土:14:00〜21:00、日:12:00〜18:00
会場:アツコバルー arts drinks talk

料金:500円ワンドリンク制
8/2(金)19:00〜21:00 レセプション・パーティ 終日エントランスフリー
8/10(土)15:00 ~17:00 トーク ゲスト:小阪淳(美術家)1,000円
8/11(日)15:00 ~17:00 トーク ゲスト:伊藤剛(ASOBOT inc. 代表取締役 /GENERATION TIMES 編集長)1,000円
8/18(日)19:00 ~  スペシャル・コンサートby平本正宏 &クロージング・パーティ 1,500円(1ドリンク付)
各回とも、平本・鳴川・村上 参加。当日受付。

裸にされて歌う演劇。

『アツコバルー arts drinks talk』のある渋谷クロスロードビル。そのB1Fはライブハウス『サラヴァ東京』です。『サラヴァ東京』ラインナップからのピックアップは『鈴木勝秀(suzukatz.)-130725/VOICE vol.1』。

昨年6月から続けてきたた鈴木勝秀(suzukatz.)のリーディング公演の7回目。『VOICE』という新しいシリーズをスタートするにあたって、本人が書いたテキストを引用する。

「『サラヴァ東京』でやっている『鈴木勝秀(suzukatz.)』が一般的な意味での演劇と大きく違うところは、「覚える」「作り込む」というふたつの作業が極端に少ないことである。それによって、演者はどうしても演者本人の個性が、意識的無意識的を問わず、強烈に表出してしまう。さらに、舞台美術、照明、音響効果、衣裳などの、普段は演者を守ってくれるスタッフワークもほぼないに等しい。まさに、演者は丸裸の状態にされるのである。

そして、いろいろなところで発言してきたように、リーディングは音楽にとても近い。それも”歌”に近い。ディランやヒップホップがそうであるように、プリミティヴな歌は”語り”を始原としている。『鈴木勝秀(suzukatz.)』で模索しているのはまさにそれだ。歌うように語る── セリフが歌となり、音楽となるなら、いっそのことBGMや効果音も全部、人間の声でやるのも面白いのではないか? そこで、声(VOICE)だけで何かやってみようと企てた。そして今回のテーマは──THE BEATLES!」

ビートルマニアの演出家が企てた、5人の肉声だけで奏でる一時間半、ジャンルの垣根がないライブハウス『サラヴァ東京』にふさわしい夜となるだろう。


2012年6月1日 @サラヴァ東京、LYNX Live Dub 鈴木勝秀〈構成/演出〉vol.1 LYNX リハーサル風景より。

2012年12月13日 @サラヴァ東京 LYNX Live Dub 鈴木勝秀〈構成/演出〉vol.3 HYMNS より 中村まこと(右)山岸門人(左)

『鈴木勝秀(suzukatz.)-130725/VOICE vol.1』 


日時:2013年7月25日 (木) 開場19:00  
開演:19:30
出演:伊藤ヨタロウ / 大嶋吾郎、久保田陽子、鈴木佐江子、林麻衣子
会場:サラヴァ東京

料金:2,500円(ワンドリンク付)

予約:サラヴァ東京ホームページ予約フォーム、または 電話03-6427-8886

〜from オクシブ〜
暴走系出版社を見守る『アップリンク』
パキート・ポリノとル・デルニエ・クリ。

渋谷の喧騒をちょいと離れて、Bunkamuraを境に神山町、松濤に広がるエリアが奥渋 オクシブだ。奥渋には渋谷区の文化度平均点を上げている(?)発信地がいつくかあるが、ひときわ独立性の高い砦が浅井隆率いる『アップリンク』である。

先日来日して『Galaxy-Gingakei』で展示会ライブなどを行ったパキート・ボリノ(Pakito Bolino)。マルセイユで『ル・デルニエ・クリ(Le dernier Cri)』 というリトグラフの工房と出版社をやっている。

その彼が『アップリンク・ギャラリー』で『JUDEX BLINEAU – solo Exhibition』を開催した。アウトサイダーや暴走系作家のアートブックを自ら絵の具を塗ってリトを刷り、丁寧に多くの種類を作っている。こんな本を誰が買うのか?

『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ 』というタイトルの都築響一の本(晶文社 )を思い出した。そうだ誰かが買わなきゃいけない。彼はせっせと作った本を流通ルートにも乗っからないのでカバンに入れて行商して歩いている、実に奇特な人である。こういう人をすくい上げて展覧会をする『アップリンク』はさすが。

しかし、聞くところによると、パキートと日本の関係は発端は15年前のパリ。私の義理の息子バンジャマン・バルーとにむらじゅんこであった。2人が作っていた『ポポコロー』は世界初の日仏マンガ雑誌であったが、先端を行きすぎて、数号で沈没してしまった。その雑誌にパキートも寄稿していた。後に、にむらは『アップリンク』という船を借りてパキートを日本に紹介する。学生時代にそれを見て感激した『アップリンク』の倉持政晴は、にむらが会社を辞めた後、バトンを引き継いだ。かくして売れない本の群れは途切れずに日本に紹介されることになった。私も『ラ・ケヤキ』の宿泊施設を提供することでパキート来日に少しだけ協力した。


『アップリンク・ギャラリー』の『JUDEX BLINEAU – solo Exhibition』より。


『ル・デルニエ・クリ(Le dernier Cri)』の出版物。

★少し古いですが彼の仕事を紹介するインタビュー
http://www.webdice.jp/dice/detail/2644/
http://blog.goo.ne.jp/kuro_pipe//12ba2306b8a911b80992d98ac691aedb

『アップリンク・ギャラリー』
住所:東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1-2F
営業時間:10:00~22:00
TEL.03-6825-5503

画廊の言うことなんか聞かない
TAGAMI展好評につき7月28日まで会期延長。

現在『アツコバルー arts drinks talk』中のTAGAMI展。8年前に彼の作品に出合った時、これは、と思って、いくつかの画廊をまわった。すべて断られた。まず年齢でひっかかった。「60歳ですか? うちは新人の場合若くないとだめなんです。」

次の障害はテーマが広すぎること。彼は心の向くまま、顔を、動物を、抽象を描く。テクニックも、版画あり油絵ありコラージュなどなど。それがいけない。売るにはいつも同じテーマを同じように描いていないといけないと言う。フランスの画廊にも持って行ったが、「これはイラストです。イラストは安いから扱わない。」と。イラストと絵画の違いってなんでしょうか?  とにかくこれは絵画ではないという。悔しかった。

そういうことを言う画廊って終わってるな。と内心思ったものの、いずれも有名な現代アートの画廊だったので。私のセンスがおかしいのかな。と、心配にもなったが、今回SNSで知ったと言って多くの人が初めてTAGAMIの絵に触れて、素直に面白がってくれる。感激である。好評につき7月28日まで会期延長。


TAGAMI 展オープニングでは『サラヴァ』の秘蔵っ子、優河のライブも。photo / Yasuhiro Tani


『好きで描いてるわけじゃないけん』天才おじさん、TAGAMI 展@アツコバルー arts drinks talk photo / Yasuhiro Tani

『好きで描いてるわけじゃないけん』
天才おじさん、TAGAMI 展 第一弾

2013年6月28日(金)〜 7月28日(日)会期中無休(会期を1週間延長しました)
会期中無休

日月火水 11:00~18:00
、木金土 15:00~22:00

ワンドリンク制 500円

『アツコバルー arts drinks talk』

TEL:03-6427-8048
所在地:東京都渋谷区松濤1-29-1 渋谷クロスロードビル 5F
入場料:ワンドリンク (500円)


『アツコバルー arts drinks talk』のマスコット、あかねちゃん。