『126 POLAROID  さよならからの出会い』展 @ 横浜美術館 ART GALLERY 1

(2010.08.04)

©mariko SAKAUCHI

なんて便利なカメラなのだろう。これは初めてポラロイドを撮った時に思ったこと。
シャッターをきる、フィルムが出る、次第に浮かび上がる像。
この小さなカメラの箱一台で撮影・現像のすべてをまかなうことができてしまう。
なんて簡単で便利なの! 普段暗室にて作業している私にとってポラロイドカメラという道具はとても新鮮で古くて新しいものでした。

ポラロイドフィルムの生産停止が発表された2008年の秋、大学の片隅でこの展示はひっそりと始まりました。
独特のシャッター音、ポラロイド特有の色彩にフォーマット、多くの人がポラロイドに魅了されてきたことでしょう。そんなポラロイドにお別れをしようという萩原朔美さんの提案で、2008年から『さよならポラロイド』展として東京—大阪—京都—東京を巡回してきました。

それと同時に出品作家の数もどんどん増えて今回の展示では日本を代表する写真家・美術家・研究者・学生らと総勢126名が集まりました。
それだけ多くの人がポラロイドに対して特別な思いを寄せているからでしょう、一度は生産停止が発表されたポラロイドフィルムが復活することになりました。

実は私がポラロイドカメラを初めて触ったのはごく最近になってからで、この展示への参加がきっかけでした。

ずいぶんと大きくなってしまった展示に後から参加するのもおこがましい気もしましたが、プロの作家さんと一緒に展示ができる貴重な機会と思い昨年から展示に参加。
実はこの頃、ちょうど韓国に留学中だったもので韓国にて撮影。こんなに素敵なフィルムがなくなってしまうなんてと寂しく思っていたところにフィルム生産再会のニュースが。

さよならがこんにちはになりました。

また展示開催中の8月 13日には赤々舎より同タイトルの写真集が発売されます。
各作家2作品を原寸大で掲載された、とても魅力的な本になっています。
 

2010年8月 13日発売 定価2,980円(税込み) 赤々舎

初日8月7日の18時よりオープニングレセプションが行われます。
下記にお問い合わせの上、お越し下さい。
126polaroid@gmail.com

『126 POLAROID -さよならからの出会い 』展

横浜美術館 本館1F アートギャラリー1
2010年8月7日(土)~2010年8月29日(日) ※木曜日は休館
10:00~18:00 ※企画展開催中の金曜日は20時まで

126名の作家によるポラロイド作品の展示(各作家6枚組の124点)
横浜美術館所蔵の大判ポラロイド作品の展示(18点)
入場:無料
発起人:萩原 朔美(多摩美術大学教授)
主催:横浜美術館、サミット・グローバルジャパン株式会社、学校法人多摩美術大学
主な出展作家荒木経惟、杉本博司、港千尋、森山大道、飯沢耕太郎、石川直樹、石塚元太良、石田尚志、大木裕之、大日方欣一、かわなかのぶひろ、倉石信乃、斎木克裕、沢渡朔、島尾伸三、新津保建秀、杉戸洋、鈴木志郎康、津田直、萩原朔美、藤代冥砂、元田敬三、森北伸、屋代敏博、若木信吾
http://www.yaf.or.jp/yma/event_information/090_126_polaroid/

筆者プロフィール

坂口 真理子(さかぐち・まりこ)

東京出身。多摩美術大学映像演劇学科在学。

幼少期から真理ちゃんはお絵描きが上手ねともてはやされていたが、高校の美術選択クラスに入り早々に挫折。以降ほとんど絵は描かず、立体やダンスの方面へ。大学でダンスをやろうと思ったもののうまくいかず、適当に作った写真や映像の方が好評に。迷いに迷って写真・映像・ダンス・ポフォーマンスとジャンルにとらわれず様々な作品を制作。
韓国映画好きが高じて2009年韓国の弘益大学へ留学。
くだらないことを真剣に! をモットーに日々制作。
現在、他人の自宅に自前の風呂桶を持ち込んで入浴というお風呂プロジェクトを計画中。
写真展示として12月に『BankART』にて発表予定。
今回のポラロイド展にも出品! 運営もお手伝いしております。