女性のための、元気になれる俳句69 選・如月美樹 百年千年夢見て青き冬景色 寺井谷子

(2009.11.30)
 

リメンバー。10年前の世の中はミレニアム商戦真っ盛りだった。ミレニアムとは千年紀のことだが、まさかそれが商売になるとは、千年前の人は思いもよらなかっただろう。「ミレニアム・クリスマスをどこで誰と過ごす?」「千年に一度のミレニアム年末年始の過ごし方」なんて華やかな文句を雑誌やテレビは連日、言っていた。あの頃は、10年後にこんな不況がやってきて、「安いことに価値がある! リーズナブルファッション」「今年の冬はどこにも出かけずまったり過ごすおこもりバケーション」なんてことを、人々が言っているだろうとは誰も予想していなかった。時は悠久なり。百年、千年の単位でしか計れないものもたくさんある。目の前の小さいことに思い煩っている場合ではないと信じたい。掲句初出『街・物語』(1994)。