女性のための、元気になれる俳句26 選・如月美樹 八ツ手散る楽譜の音符散る如く 竹下しづの女

(2008.11.17)
 

 このところ、民家の軒先に八つ手の花が咲いているのをよく見かける。俳句を始めるまでは、目にもとまらなかった花だ。葉が派手なだけに地味な印象だが、よく見ると白い小さな花が球状に固まって咲いており、なかなかかわいい。
 その花の散るさまを楽譜の音符が散るようだ、と表現した。実際に楽譜の音符が散るなんてことはないけれど、音楽が生まれ出る様は、確かに“音符が散る”ようだ。
 出勤する途中にある八つ手が、音楽を奏でているように見えてきた。掲句初出『颱』(1941)。