この週末、東京がクリエイティブ一色に染まる! 街へ出よう!

(2010.10.27)
ハンナ・フシハラ・アーロンがキュレーションをした若手アーティストの作品をチャ
リティTシャツに。原宿ラフォーレ『WALL』にて開催。
『Bazar et Garde-Manger』のバイヤー、マルトさんイチオシのアーティスト、Aurelie MATHIGOTのニット作品。
注目の若手アーティスト大矢加奈子さんの作品は、『hpgrp GALLERY 東京』にて展示。
『装苑』などでも知られる奥原しんこさんの作品は、『H.P.DECO 東京』で展示。

TOKYO DESIGNERS WEEKは今年で25周年。デザイン関係者以外にも広く浸透し、イベント名は知らなくても、ショップに行ったら偶然、特別展示があってデザイナーに会えた!という経験をされた方も少なくないはず。10月から11月にかけて、東京国際映画祭やJapan Fashion Weekも開催され、まさに芸術の秋。新しいイベントも次々立ち上がって、東京がクリエイティブ一色に染まる! この時期、家で休んでいる時間はないかも。

近年始まった現代アート関連のイベントは、大きなものに絞っても、『青参道アートフェア』『ULTRA003』『YOUNG ARTISTS JAPAN』『クンスト・オクトーバーフェスト』と4つ。10月28日(木)〜11月3日(水・祝)まで一気に開催される。

2007年に先駆けて始まり、今年で4回目を迎える『青参道アートフェア』はいつものショッピングに現代アートを気軽にプラスして楽しんでもらおうという試み。『H.P.DECO東京』を中心としたショップがアートを飾るスペースとなる。「敷居は低く、クオリティは高く」がモットーで、フィーチャーされるアーティストも逸材揃い。2008年群馬青年ビエンナーレ大賞を受賞し、近年海外のアートフェアでも注目を集める28歳の新進アーティスト大矢加奈子(hpgrp GALLERY 東京)、本の装丁やTV CM等でイラストレーターとして活躍中の奥原しんこ(H.P.DECO東京)、1960年代現代美術界を席巻した「ネオダダ」の旗手でありボクシング・ペインティングで知られる篠原有司男(H.P.DECO東京)などなど。10月29日(金)夜には各ショップにて、誰でも参加できるレセプションパーティがあり、初心者にアートを「購入する」楽しみを知ってもらうコレクターツアーやトークショーも行われる。
 

ショップ展示の一例。
『Bazar et Garde-Manger』の店内。

『soup of he(r)art』には、スペインを代表するファッションデザイナーMiriam Ocárizの作品。原点はアーティストで、服作りもドローイングから始まり、それをスキャンして独創的なパターンを組み、コレクションが作り上げられる工程が展示される。期間中、限定プリントのバッグや洋服が登場。

 

そこで、青参道アートフェアのフェアディレクターであり、『hpgrp GALLERY 東京』ディレクターの戸塚憲太郎さんにお話を伺った。

「日本人は世界的に見ても本当にオシャレで、知識も多いし、美意識も高い。なのにアートとなると急に敷居が高く感じられてしまい、なかなか気軽に親しんでもらえない。それぞれの業界の中で収まってしまっている感じなんですよね。海外ではファッションもデザインもアートも、大きなひとつの文化として根付いています。美術館やギャラリーに行くのは週末の気軽な楽しみのひとつだし、大きなアートイベントには世界中から人が集まってくる……。そんな風に日本でも、国や業界、関係者、一般などの垣根を越えた大きな流れを作りたい」。

ご自身も元々彫刻家で、大学で教鞭をとるなどしてニューヨークに7年在住されていた戸塚さん。アッシュ・ペー・フランスの社長との出会いをきっかけに帰国し、今ではディレクターとしてアーティストの作品を見せる立場に変わっている。けれど一作家として表現することとの違いはないそう。ニューヨークで世界を肌で感じながら学んで来られた視野に、頼もしい可能性が感じられる。

「様々なアーティストの作品を集めて見せることも、ひとつの作品と考えているんです。多くの人との関わりの中からより大きなことを表現できたり、より広く伝えていけるんじゃないかと思うんです」。

そんな想いで青参道アートフェアから今年創刊したのが『TOKYO OCTOBER』。アート、映像、デザイン、ファッションをつなぐカルチャーガイドで、Japan Fashion Weekの公式ガイドも兼ね、各イベント会場やショップで無料配布されている。これを見れば東京各所で行われているイベントが一目瞭然。東京国際映画祭で映画を観た帰り、アートのレセプションに寄って帰ろう!なんてこともサックリ 検索できる。

現代アートというと難解な気がしたり、アート作品なんて高くて買えないと思いこんでいたりする人は多いかもしれない。けれど少し足を突っ込んでみると、同時代を生きる自分と同じ問いや葛藤が作品になっていることに気づいたり、若手アーティストの作品は案外手頃に手にすることもできたりする。国内アート市場はこれから成長が見込まれる段階なので、日本のアートはクオリティが高い割に安価で売買されているそう。海外のコレクターからは、すでに日本の現代アートが注目を浴びているが、情報が少なくて隠れた未来の世界的アーティストがたくさん眠っているような状況。そんな今のうちからアートの楽しみを覚えたら、いつの間にかアナタもアートコレクターの仲間入りをしているかも!? まずはこの秋、気になる会場に足を運ぶことから始めてみては?

 
 

『第4回 青参道アートフェア』

2010年10月29日(金)~11月3日(水・祝日)
オープニングレセプション/参加各店にて 10月29日(金) 18:00-21:00

昨年のレセプションの風景。

 

エマージング・ディレクターズ・アートフェア『ULTRA003』

10月28日(木)~30(土)、11月1日(月)~3日(水)
40歳以下の若手ギャラリスト個人を出展単位とする新しい形のアートフェアです。60名の若手ディレクターのセレクトによる、コンテンポラリーなアート作品が集結!
 

『ULTRA002』の会場風景。

 
 
『クンスト・オクトーバーフェスト』

10月30日(土)
10月といえば芸術の秋も真っ盛り、ならばビールとアートを一緒に、それもテンコ盛りで楽しんで頂こうと、最近盛り上がりを見せる中央地区の現代アートギャラリーが「クンスト・オクトーバーフェスト」と名付けた、ビール付きシャトルバスの運行を企画しました。今年はその3回目です。
 

昨年の模様。
ギャラリーマップ。(クリックすると拡大)

 

『YOUNG ARTISTS JAPAN』

10月30日(土)、31日(日)
タグボート主催の新進アーティストの登竜門イベント。