カメラボ – カメラ研究室 –世界最高のデジカメがライカから。
ライカM9と憧れのレンズをお試し!
(2013.02.26)
世界最高のデジカメが、あの”LEICA(ライカ)”から発売されています。LEICA M9と、LEICAファン憧れのレンズ ズミルックス-M 50mmF1.4、 スーパーズミクロンーM 28mmF2. スーパーエルマーM 21mmF3.4を検証。
●第1章●
カメラというよりも、芸術品に近いLEICA製品。
そのデジカメ登場で……。
世界一のフィルム・カメラと問われたら、好き嫌いは別として「LEICA M3」と言って反対する人はいないのではないでしょうか。それくらい、完成度が高いカメラです。あまりの完成度に、メーカーであるLEICA自身が、このカメラを超えるカメラをなかなか作り出せずに苦悩してきたとも言われています。
実は、私は昔LEICAを嫌っていました。
理由は単純。
おじさん達がみな「ライカ、ライカ」と呪文のように唱えることに反発を覚えていたからです。そして、もちろん日本にも、ニコンを始め、素晴らしいカメラはたくさんあると感じていたからです。
しかし、そんなある日カメラ屋でLEICAを見つめていると、理由も無く、何かに憑かれたように(笑)、突然M3が無性に欲しくなりました。お金を作る為にNIKON Fのセットを売り払い、銀座の『三共カメラ』にLEICA M3とズミクロン50mmF2を買いに行ったのです。そして、それ以来LEICAのファンになりました。
使ってみて「なんという質の高さ!これは、ひとつひとつのパーツからして、芸術品に近いものなんだ……」と実感したからです。
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余談ですが、以前僕が本を出した時に、BRUTUSフクヘン・鈴木芳雄さん(現在はフリーで活躍されています)にお話をうかがっている中で、彼がLEICAの工場を訪ねた時の話をしてくれました。
「ひとつひとつを手で、丁寧に作っていましたよ」と聞いて「そうだろうなあ」と、あの第一印象の強烈な感動がよみがえったものです。
しかし!
芸術品でもあるLEICAは、正直、高い。
「デジカメ発売!」と聞いていても、見に行くこともためらわれていました(見に行ってまた魂を奪われても、なかなか手が出ないですからね……)。そんな折、ご縁があって、銀座の『LEICA JAPAN(ライカジャパン)』さんのワークショップを担当させて頂く機会に恵まれたのです! そして、このLEICA M9のデジカメをテストさせていただくことができました。
テストさせていただくレンズは、ズミルックス-M 50mmF1.4、 スーパーズミクロンーM 28mmF2. スーパーエルマーM 21mmF3.4、の3本。全てLEICAファンにはおなじみの、超有名、憧れのレンズです。
●第2章●
自分以外は乗りこなせない
じゃじゃ馬なのさ!と思わせる逸品。
LEICA M9はデジカメでフルサイズ、しかも他には無いレンジファインダー式のピント合わせ!
ここで、第一の難関。
レンジファインダーというのは、実際見ている対象に直接ピントを合わせている訳ではなく、ファインダーの中で、二つの像を合致させてピントを合わせる方式です。いわば、ファインダーの中で自分が「これで合っている」と信じてピント合わせを行う方式。
他社の一眼レフを使うとき、自分のピントがあっているかどうかがよくわからない人には、かなり高度なテクニックを最初から要求されるものだと言えます。
僕自身は、M3やM6を現在も使っていて、M2 .ⅢF.ⅠFなどを使い慣れているので、違和感なく使いこなせるこのピントですが、初めて使う初心者の方や若い人には、少し難しいかも?と感じました。
しかし、大変性能が高いカメラなので、少し頑張って慣れれば、素早いピント合わせが可能ですし、一眼レフの精密ピントにこだわってチャンスを逃す事も、かえって少なくなると思います。まずは「自分感覚を覚えること」。LEICAは、パーソナル使用のカメラ。自分を信じてシャッターを押せることは、大きな快感に繋がります。他の人が「貸して」と言って撮ろうとしても、簡単にはいうことを聞かないのです。自分以外は乗りこなせないじゃじゃ馬なのです。
また、FILM感覚で撮影出来るのがこのカメラの大きな利点で、”シャッター音も まるで旧LEICAを彷彿させる”メカニカルなサウンドになっています。
●第3章●
写真を撮る喜びを、
LEICAでもう一度!
そればかりか、M9は、昔から有る数多くのLEICAレンズを使ってもデジタル撮影が可能です。古いレンズは経年で着色している場合が有り、FILMでは色がついてしまいますが、DIGIならば自動で補正が出来るので、現代の画像を楽しむ事も出来るのです。
では、お借りした個々のレンズについて。まず、一番気になる21mmF3.4のスーパーエルマーです。
これは、ファインダーが対応出来ない超ワイドなので、別売りの21mmファインダーを上部のシューに装着してフレーミング。
当然ピントはボティのファインダーで確認ですが、21mmはピントが深いので目測で十分。F8に絞ればパンフォーカスでの撮影も可能です。ピントを気にしないで済むので 風景でもスナップでも軽快に撮影出来て、しかも非日常空間な面白い画像が撮影出来ます!気持ちのよい抜けと、色再現。ゆがみもほとんどありません。広い風景を撮影する際は、空ばかり写ったつまらない絵にならないように、手前に表現したい物を持って来て画面構成するのが成功の秘訣です。
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最後におなじみの最高級標準レンズ、50mmF1.4ズミルックス。これだけ明るいレンズにもかかわらず、さすがの性能で、今回夜間・ノンストロボでモデル撮影をしてみましたが、ピントもシャープで、とてもF1.4解放の画像とは思えませんでした! ただし、暗い場所での解放撮影をレンジファインダーで、しかも近接では、かなりピント合わせがつらいです。モデルさんも動くので、ばっちり撮影できた画像は、ほんの少しでした。でも、ジャストの画像が撮れた時の喜びは格別で、LEICAらしい、味がある人物写真が撮れるのです。
この50mmと、21mmまたは28mmの組み合わせがあれば、大半の撮影が可能。使用していない一眼ボティとレンズを処分して、M9+レンズ2本の組み合わせに替えれば、写真を撮る喜びが再燃しそう。撮影中、すれ違った紳士が思わず「ライカ……」とつぶやいた永遠の憧れを、貴方もデジタルM9で!
今日の1枚
千葉県いすみ市のライステラスCafeでの一枚。マクロビオティックで有名な中島デコさんのお店です。おしゃれな室内のもようを21mmで撮影!LEICAで撮り、おいしいランチもいただいた、至福の一日。
撮影日:2013年2月6日 曇り
撮影カメラ:LEICA M9
レンズ:スーパーエルマー21mmF3.4
絞りF6.7 1/15秒 ISO200で撮影
LEICA M9 スペック
総画素数:1850万画素
シャッタースピード:絞り優先モード 32〜1/4000、マニュアルモード 8〜1/4000、バルブ 240秒まで
ISO感度:160〜2500(PULL 80)
記録画素数:NG(RAW)36MB(圧縮なし)18MB(圧縮あり)JPEG 約2〜10MB
ファイル形式:DNG、JPEG(fine / basic)
インターフェース:USB2.0 High-Speed対応の5ピンmini、USBポート
HDMI出力:無し
使用電池:充電式リチウムイオンバッテリー(公称電圧3.7V、容量1900mAh)
寸法(W×H×D):約139x80x37mm
質量:585g