籾山由美の東京-島根 小さな暮らし緑でつやつやの夏草摘み 草色で涼しさを部屋に。

(2016.06.13)

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日に日に暑さが迫る季節になりました。外を眺めると勢いを増す緑の草木が目に入ってきます。汗かく暑さでも勢いのある植物の緑は目に涼しいものです。部屋に涼しさを呼ぶために緑でつやつやの草を活けることにしました。散歩も兼ねて空き地や街路樹の脇に生える雑草を摘みに行くことに。

暑い季節の草摘みにはいくつかのコツがあります。
1、早朝に草を摘みます。
夕方の涼しい時間も悪くはないのですが、早朝の方が水揚げも良く草がしおれにくいように思います。草が夜露を浴びているからかもしれませんね。早起きは三文の得と思い、前の晩から草摘みプランを立て見てはいかがでしょうか。
2、草を切る鋏を持って出る。

夏草は見るからに瑞々しいのですがその分、折ったときに汁もたくさん出ます。黄色など色の強いの液も多いので服に染みをつけないためにも鋏で切る方が良いと思います。乾いたシミはなかなか洗濯では落ちませんよ。

3、レジ袋に濡らしたティッシュを2〜3枚袋に入れて、それも携帯してください。

夏場の切った植物は全てしおれやすいのです。特に自生する植物は切った途端にしおれるものが多いですね。切ったら袋の中にすぐに入れて持ち歩いてください。濡れたティッシュがしおれないようにサポートしてくれます。
4、摘み草は、活ける分量の2倍から3倍の分量を持ち帰ってください。

一輪挿すつもりなら3輪。だいたい1輪だと水も上がらずしおれます。夏場は特にそうなります。水上げとは、切った花に水を切り口から吸わせることです。これでしゃっきりとします。

5、草を持ち帰ったらすぐに大きな器やバケツに水を張って浸け置きします。

その時はシャワーや霧吹きで草全体に水をかけておくのもポイントです。
くたっとした草の先や葉が持ち上がったら草を活けます。持ち帰ったまま活けると1時間もするとしおれることが多いですね。

さあ、それでは摘み草を活けてみましょう。

まずは2種類の組み合わせで

落としを入れずに自宅の鉢物のアロエを器に入れて背の高いタケニグサを支えています。落としとは器の底に入れて花を支える道具のことや、水が漏れる器のために水を貯めておく一回り小さい器の事です。口元のアロエは道具に見えないところが活け込みのポイントです。どんな花でも2種類の組み合わせはスッキリとまとまりますので初心の人にはお勧めです。ここから草を足して行き、夏の景色を表現したいと思います。

夏になると棚の奥から出す花器です。夏の花がよく似合います。
夏になると棚の奥から出す花器です。夏の花がよく似合います。
夏の思い出。夏草色で浸る。

茅と白いドクダミソウをたしました。彩はありませんが夏らしい組み合わせにしています。本当に挿して足すだけです。支えるアロエがしっかり器に入っているので奇麗に夏草の立ち姿を表現できます。

ここまで活けると夏の匂いが部屋中に広がり、夏休みの景色が自然と浮かびます。川の瀬の音、蝉の声。楽しい思い出も広がります。口元のアロエ、タケニグサ、茅、白い花がドクダミソウ。

きりっとする夏の川辺をイメージしています。寝かせずしっかり立ち姿に活けましょう。
きりっとする夏の川辺をイメージしています。寝かせずしっかり立ち姿に活けましょう。
視線をそそぐ。路傍の草に。

摘み草を入れ替えてみました。背の高いのがヤマゴボウ、口元のもしゃもしゃしているのがスギナに良く似たマオウ、白い花がドクダミソウです。数年前、マオウを摘んで帰ったことがあるのですが濡らしたティッシュとレジ袋を持っていないにも関わらず摘んで帰りしおれて全滅。嗚呼。

それ以来、濡らしたティッシュとレジ袋は散歩には必ず持つようにしています。いつ魅力的な草に出会うか解らないので。

草摘みを始めると止まらなくなります。多過ぎて活ける器がなくなる事がしばしば。
草摘みを始めると止まらなくなります。多過ぎて活ける器がなくなる事がしばしば。
風通す、虫食いの葉。中覗く。

紫色のガラスの器に活けてみました。タケニグサは虫食いだらけですがそれも私好み。ただし、虫が家までついてくる可能性が大きいので摘んだ先から目で虫を探す、振って落とすという作業は必須です。草によっては思いがけない所に虫がついています。特に葉の重なりの奥。振って落としてから持って帰るようにしてください。後からわさわさ出てこられると冷えます。夏向きのホラーでしょうか?

口が小さく花を合わせにくい形のガラスの器ですが、花2種で組み合わせれば、上手く活けられます。
口が小さく花を合わせにくい形のガラスの器ですが、花2種で組み合わせれば、上手く活けられます。
飾る小瓶に草一輪。

ジュースや佃煮の瓶に摘み草を一種類づつ入れています。向かって左からヤマゴボウの実、佃煮の瓶にマオウ、ジュースの瓶にはドクダミソウ。ドクダミソウは花が1輪ですが水の屈折で2輪にみえます。暮らしの中のささやかな発見と見つけた楽しさがあります。我が家では台所のシンクの上の辺りがガラス瓶定番の位置です。玄関にもぜひ。夏の匂いが扉を開けると迎えてくれます。

たまたま冷えた水を小瓶に入れたので水滴がつきました。不意に起こった出来事に小さく驚きました。涼しいですね。
たまたま冷えた水を小瓶に入れら水滴がつきました。不意に起こった出来事に小さく驚きました。涼しいですね。
涼しさは器から。

今回使った花器です。ガラスの器は重さがあり、形にもよりますが花を挿しても倒れることがほとんどないので安心して大振りの花が挿せます。もともとガラス瓶も好きでつい捨てずに貯めてしまいます。ちょっとした花を挿すにはちょうど手頃な器となり、ますます捨てられません。増える一方なのでしまう場所を決めて満杯になったら選んで捨てるようにしています。ガラスは夏の花器として涼を運んでくれます。夏を爽やかに過ごして欲しいですね。

ガラスは焼き物とは違って太陽光が入り、水が腐りやすい器です。こまめに水の入れ替えをしてください。
ガラスは焼き物とは違って太陽光が入り、水が腐りやすい器です。こまめに水の入れ替えをしてください。