籾山由美の東京-島根 小さな暮らし保存食、夏みかんマーマレード。
思い出と広がる食の楽しみ。

(2013.08.21)

季節を越えて楽しむ保存食。

今年6月、夏みかんマーマレードを作る会に参加させて頂きました。 場所は世田谷某所、イラストレーターのまゆみんさん宅。山口県のご実家で無農薬で栽培し育った夏みかんを使います。夏みかんは実をつけて冬を越し、しっかり陽を浴びた6月が食べ頃。冬を越す実が鈴なりの風景、素敵でしょうね。雪が舞う地域に育った私にはあこがれです。頂いた夏みかんマーマレードは我慢して保存し今食べています。出来立ても美味しいのですが時間が経って味が安定したマーマレードは別物に。混ぜて煮込んだ素材が引き立ちます。

私は無糖ヨーグルトに塩を混ぜ冷凍庫に入れて時々シャッフル。滑らかとは言えませんがこれに夏みかんマーマレードを乗せて食べるのがお気に入り。蒸し暑い日はすっきり。まゆみんさん宅で昨年の密閉したマーマレードを試食させて頂きました。冷蔵で1年間問題なく保存出来るとは思いもよりませんでした。すごいですね。

お家に伺うと夏みかんの総数20個。あるある。この数が一度にあるお宅はそうないはずさあさあ下ごしらえに入りましょうとみなさん、腕まくり。作業の手を止めることもなく、最後まで笑いの渦が絶え無い女子会。みんなで作ると言う過程が一人でする事より楽しくていつもより早く時計が動いたように思いました。作り方も細かいところに気を使い、材料もお庭で育てているものを用意。できるだけ身近で調達の方針が素敵です。自分で育てて食べる植物を植える庭がほしいなー。うらやましい限りです。

夏みかんの下ごしらえスタート。

夏みかんの厚皮を実と離します。剥くのは力も時間もかかる上に綺麗に出来ないので切るが一番です。ところが切るにもコツがある事を切って実感しました。自分流が通じない。大きく実を削いでしまいます。マーマレードの材料にはしてもらいましたが私は3個もぐじゃぐじゃに。切るだけなのに「あー、神様。」の心境。大失敗。

主宰者まゆみんさんが考えた切り方が一番スマート。上下も落として5角形の立方体に切れば良いのです。後で厚皮を刻むのも便利、実を深く削ぎ落とす事もありません。みんなは楽にサクサク美しく仕上げていました。最初から説明をちゃんと聴けということです。反省。


夏みかんは上下も落として5角形の立方体に切る。
夏みかんをもうひとつ細かく分解。

今度は実と一房ごとに実に被る薄皮を取り外します。果汁も大切。潰さず丁寧に外しましょう。実、薄皮、種それぞれ器にわけます。ここで大事なのが種。トロミとなるペクチンを出します。捨ててはいけません。驚きました。これも始めて知った一つです。薄皮もペクチンが出るそうです。種は苦みがでませんが薄皮が多いと苦くなるようです。好みに合わせて量を決めて下さいね。種と薄皮は水をひたひたにしてトロミがでるまで煮ておきます。大事な材料です。厚皮は長さ30㎜x幅3㎜を目安に刻む作業。なぜこのサイズかと言うとマーマレードになった時の食触が丁度良いのです。


細かく分けた夏みかんはそのままでは苦いので必ず水にさらして下さい。ここまで来ると一山越えた達成感が嬉しい。
味の引き立て役の食材を用意。

向かって左からショウガ、ドライマンゴー、スグリ。味を引き立てる役者に今回はこの3品が選ばれました。スグリはまゆみんさん宅の庭に育った物を一粒一粒摘んだものです。え、ショウガ?と思いましたがこれがいける。最後に感じるショウガの味が新鮮な感覚。ショウガは2㎜角、ドライマンゴーは5㎜角、スグリはそのままで。口当たりとしてこのサイズが良いようです。大きすぎない方が夏みかんの風味を邪魔しません。3品は砂糖の味に合わせて別々の鍋にいれます。事前に準備しておくと慌てなくていいですね。おしゃべりはアジアの珍しい食材について盛り上がっていました。


美味しさには味そのものだけでなく、口の中での感触もとても大事です。切ると言う作業を見直しました。
比較して知る食の経験。

下ごしらえを卒業していよいよ夏みかんを煮始めます。砂糖も白砂糖、香ばしく濃い飴色になる三温糖、自然派の人のためにサトウキビ粗糖が用意してありました。実、果汁、皮を入れ、砂糖を加えてから火にかけます。更にショウガ、ドライマンゴー、をそれぞれの鍋に入れます。煮詰まってきたら忘れずにペクチン水を入れます。苦みが出ますから味を確かめながら好みの苦みにして下さいね。一度に出来る味比べが楽しいですね。まゆみんさんお勧めが、仕上げにレモンの酸味を加わえる事。きりりとした味になります。鍋を囲い、誰かのお話にみんなが感心し話題が広がります。


参加の皆さんはイラストレーターでイラスト談義になった時は、「ほ~。」「そうなの?」と頷く私でした。
完成。夏みかんマーマレード。

一種類の夏みかんからいろいろな味のマーマレードが出来上がりました。密閉容器のガラス瓶は1年の保存を念頭にしっかり熱湯消毒をします。数量が多いので置き場所も必要。キッチン回りはいったん片付けます。これもコツのひとつです。最後の詰めはしっかりと。この後はワインも用意された試食です。夏みかんマーマレードを豚肉ソテーのソースに、カマンベールチーズ、ブラウニーチョコに添えての食べ方が目にも新しいメニュー。知る事の多かったマーマレード作りの会。ワイワイおっとりなおしゃべり満載の楽しい会でありました。詳しいレシピは下記のブログに入って下さいね。


お土産に2瓶頂きました。食べ方に報告出来る工夫をしたいなと考え、思いついたのがヨーグルトソルベに添える事でした。
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