土屋孝元のお洒落奇譚。たかが紅茶、されど紅茶……。

(2010.09.16)

朝に、何を飲むか
たいていの人は紅茶か珈琲でしょうか。
煎茶や番茶の方もいるのでしょうね。
僕はその日の朝の気分で紅茶か珈琲に決めることにしています。
比較的、冬の朝には紅茶。『フォートナム・アンド・メイソン(Fortnum and Mason)』のアールグレイクラシック(19世紀の英国首相、グレー伯爵にちなんで)の茶葉をティーポットに入れ、薬罐(ヤカン)で沸かしたお湯をポットに注ぎ最低でも3分待ち、お茶を飲みます。

もしも朝、余裕のある方ならポット内の紅茶の色を確かめて自分の好みの濃度で飲むのが一番です。

この時、ポットの中でジャンピングが起こらないと紅茶が美味しくはならないのです。(ジャンピングとは茶葉がポット内部で対流することです。) このジャンピングを起こすためには 必ず沸かしたての熱湯を入れること。(朝、浄水器から水をくみ、少しの間水を流します。これは浄水器内部の溜り水を流すためです。) お湯がポットに入り紅茶の茶葉の対流を促進し、茶葉が持つ旨みや味、香り、渋味、苦味などの複雑な味を引き出してくれるからです。

僕はこの「アールグレイクラシック」のベルガモットの香りが好きで、この紅茶を好んで飲んでいます。

最近のDNA鑑定によると、ベルガモットはダイダイとマンダリンオレンジの交雑種ではないかともいわれているようですが、昔、コロンブスがカナリア諸島で発見してヨーロッパへ持ち帰り、イタリア南部からスペインにて繁殖した突然変異種との説もあります。このアールグレイの香り(ベルガモットオイルの香り)には好き嫌いもあるのではないでしょうか。

夏の暑い時期には「アールグレイクラシック」はアイスティーにしても美味しく飲むことができ、少し濃いめに入れた紅茶を氷を入れ冷やしたグラスに一気に注ぎます、そうすると濁らない綺麗なアイスティーが出来上がるのです。
冷たい牛乳を入れても美味しいのですが、お好みで。

味覚の趣向には習慣性も関わると、なにかで読んだことがあります。
そういう意味ではカップの形状も味覚に関係してくると思うのですが……。
この『Fortnum and Mason』の「アールグレイクラシック」を飲むカップは、40年ぐらい前から家にある、大倉陶園の磁器のカップを選ぶことが多いですね。口が薄くて飲んだ時に飲み口が優しいからです。ウェッジウッドやジノリのものは比べると口が少し厚く感じてしまうので、反対にリモージュのものは薄すぎて口当たりの感覚がまた、違い……この飲み口の感覚は味覚に関係してきます、
たかが紅茶、されど紅茶です。

もう一言、紅茶について。フランスの『Mariage Frères(マリアージュ フレール)』ではアールグレイのようなフレーバーティーなどをいろいろと作っていて、その種類は35ヶ国500種類を超えています。
お試しになりたい方は、銀座にある『Mariage Frères』直営店へどうぞ。
『Fortnum and Mason』はティーショップと店舗が日本橋三越にあります。そこには、『Fortnum and Mason』が誇るマーマレードやプリザーブジャムの商品群もあります。

僕は「No.1 サーナイジェル ビンテージ マーマレード」の苦味が好きでよく購入します。たしかNo.104ぐらいまであると思いました、顧客の要望に答えての商品ラインナップは素晴らしいですね。

僕はある時期、アフリカ産の「モン・カメルーン」というミルクティー向きの味の濃い紅茶を飲んでいました。『Fortnum and Mason』にもミルクティー向きのイングリッシュブレックファーストやアッサムもありましたが、この「モン・カメルーン」独特の香りが好きでした。

 

フォートナム・アンド・メイソン
マリアージュ フレール