土屋孝元のお洒落奇譚。松坂縞と吉岡清十郎の関係は……。

(2011.04.06)

東北関東大震災で亡くなられたかたのご冥福と被災されたかたの一日も早い日常の生活への復帰をお祈り申し上げます。日本人みんなで助け合い、この困難を乗り越えましょう。心をひとつに。

3月11日。
この日を日本人なら、忘れない日になると思う。普通の日常が、一瞬にして非日常になり、テレビからコマーシャルは消え、特別番組の連続で地震、津波、帰宅難民、原発事故、計画停電、考えうる災害が全て一緒に起こり、地震や津波の映像をあれ程見たことはないだろうと思う。

自分には何ができるのか? と思いをめぐらしました。東京に居る僕たちが普段の生活に戻り、落ち着いて行動すれば、モノ不足とか、買いだめとか、少しはなくなるのではと思います。

普通に消費をして経済を元に戻す。
普段の生活に戻らなくてはと……そして前向きに生活していかないと、いけないと思うので春らしい話題をひとつ。

昨夜。
沈丁花の花の香りが夜の風に乗り、香ってきていました。

心なしかいつもより暗く、星がよく見える夜でした。春はもうすぐそこまで、来ています。なんだか、歌の文句のようですが……。

花粉症は今年、特にひどく、鼻が夜には詰って最悪な体調です。桜(ソメイヨシノですが、)はまだ咲きません、早い年にはもう咲き始めていたのですが、河津桜の満開を3月初めに見てきてからあの震災です、なんだか遠い昔に思えています。

 

松坂縞の風呂敷みないなモノを使っています。

さて、話題を変えて、昨年から、バックの中の仕分け用に風呂敷みたいなモノを使っています。

みたいなモノとは、簡単な袋仕上げで二辺を結ぶと手下げ袋になるように作られたモノだからです。エコバックの和テイスト版ですね。藍染木綿で出来た縞模様の柄です、この縞を松坂縞と呼ぶそうです。

いろいろな縞模様が組み合わさって複雑な模様ができていて、お店の人から聞いた知識ですが、昔、江戸時代、倹約令などが出て絢爛豪華な着物を着ることができなかった時代に、歌舞伎役者はこの松坂縞の着物を着たようです、一見すると地味で藍染の木綿生地ですから倹約令にはならっているという事で……。

でも、近くで見ると見事な仕事というか、粋な柄ですから。

歌舞伎役者好みですね、この事を、「歌舞伎役者が松坂を着る」と言いお洒落の代名詞の様な表現だったようです。

最近、松坂(三重県)の染物屋さんが復刻し、販売を始めたようで、手に入れたものです。
写真を添付しますのでご覧下さい。

 

お茶の稽古で使う布、「袱紗」について。

同じ布繫がりで、今、お茶の稽古で使う「袱紗」について。

「袱紗」を知らない方のために、簡単に説明します。

袱紗とは、お茶の道具、茶器や茶杓を使う前に清める布地です、埃がつく事はないのですが、客の前にて袱紗で清める動作がお茶の作法では重要で、袱紗さばきが上手いとなんだか特別な儀式の様にも見えるのです。

まあ気分が良いではないですか。
道具の拝見の前にも同じ様に清めます。

話を戻し、布。
京都の『染司 よしおか』のものです。この『よしおか』とは、剣豪 武蔵(宮本武蔵)と三十三間堂で果し合いをして、負けた吉岡道場の吉岡清十郎が始めた染物屋で今まで続く歴史あるお店です。確か、記憶が正しければ、吉川英治の武蔵では、吉岡清十郎が腕を切られたとか。その『染司 よしおか』の袱紗は、色々な色により、値段が変わります。たぶん、その染料が手に入りにくいとか、手間が特別にかかるとかでの変化かと思いますが。

この『よしおか』は御所や奈良のお寺などで使われる布地を天平、平安時代の故切れから、復刻して染めているのです。

特別の色がある様で色のグラデーションを見るだけでも楽しめます。もしも見る機会がありましたら、ぜひご覧下さい。

 

 
染司 よしおか

Tel. 075-525-2580
京都府京都市東山区新門前通大和大路(縄手通)東入ル
10:00~18:00