土屋孝元のお洒落奇譚。『ボルサリーノ』、映画ではなく……。

(2011.01.27)

『ボルサリーノ』という帽子ブランドがあります。
この存在を知ったのは、僕が芸大に入学してからのことでした。
父親が40年も前から被っていて、子供の頃には、まったく気づかないまま育ち、
大学2年の夏休みに父親が亡くなってから、遺品を整理していて、この『ボルサリーノ』の帽子を知ったのです。

『ボルサリーノ』あの、ギャング映画でよく見たソフト帽がこの『ボルサリーノ』とは、一致せずに。

ボルサリーノ社製:パナマ帽:オールダウンスタイル ©Takayoshi Tsuchiya

帽子といえば、『ボルサリーノ』の事を指すほど有名なイタリア製の帽子です。
昔は伊達男の代名詞、冬にはソフト帽、夏にはパナマ帽、
綺麗な帽子を見ていると本当にワクワクしてきます。
ある時期には、銀座に出るたびに『トラヤ帽子店』に出かけては、
ウィンドウを覗き、いい形の帽子が入ったか、
いつも、チェックしていた頃もありました。
だいぶ昔、パナマ帽に凝った時期があり、
オールダウン、コロニアル、プランテーションスタイル、
リボンにもこだわり、好きな柄のスカーフなど巻いた事もありました。

一昨年、たまたま出かけたオアフの『ロイヤルハワイアンホテル』のアーケードで
素敵な帽子店を見つけて入り、帽子を見せていただきました。
このお店『NEWT』には、パナマ帽だけでもかなりの数があり、
パナマ草の産地、エクアドル製の「モンテクリスト」の本物のパナマ帽、
ボルサリーノスタイル、プランテーションスタイル、コロニアルスタイル、と、
微妙なツバの違いや、パナマの編み方の違い、
リボンの違いと選べるようになっています。
僕はプランテーションスタイルの帽子が好みなので、
そのスタイルの帽子を見せてもらいツバや帽子本体のサイズ違いをいろいろと被り、
選び、また明日来ますから、と言ってお店を出ました。

その後、急に忙しくなり、お店には行けないまま帰国したのです。
今でもかなり後悔しています。
道具でも、絵でも、何でも、出会った時が買い時とはよく言ったものですね。

もしも、女性がパナマ帽を被るのでしたら
僕のお薦めはプランテーションスタイルのツバの広いタイプのモノですね、リボンは基本の黒で。
リゾートらしいスタイルのプリント柄のワンピースやキャミソールドレスなどはいかがでしょうか。
あくまでも個人的な趣味ですから、あしからず。

ボルサリーノ社製野ウサギのフェルト製帽子、ボルサリーノスタイル ©Takayoshi Tsuchiya

自分で持っているボルサリーノの中でも、
よく使っているのは野うさぎのフェルト製の帽子で、
これは折りたたみが出来、旅行には大変重宝します。
小さく丸めて鞄に入れておくと、急に寒くなった時や雪の時などには使い勝手が良いのです。

本パナマのパナマ帽も、お気に入りの一つです。
この帽子は非常に軽く、被っていることを忘れるくらいのモノです。
オールダウンスタイルの帽子で、リボンはオフホワイトのシルクでした。
被ると探検家らしいスタイルになり、
シャツは『ウィルス&ガイガー』のカーキのハンティングシャツ、
パンツは『バリー・ブリッケン』のチノか、『ラルフローレン』のショートパンツにハイソックス、
鞄は『グルカ』、靴は『エイグル』の登山用シューズで撮影などに出かけた時もありました。