Porter des boutons, boutonnéぼくの伯父さんを着る!? ジャック・タチのエスプリがファッションに。

(2014.10.09)
  • 0_1__IMG_6804
  • 0_2__IMG_6754
フランスかぶれの3人の女性がつくるPorter des boutons

恵比寿にあるショップのトビラを開けたとたん、流れてくるのはサウンドトラック『ジャック・タチ/ソノラマ』。見上げるとムッシュー・ユロと映画の登場人物(ときどき犬)たちが切り絵になって壁に並んでいます。

ジャック・タチの映画の中に入り込んだようなわくわく気分にさせてくれるのは、「Porter des boutons(ポルテ・デ・ブトン=つぼみをつける)」というキュート名前のブランドのアンテナショップ『boutonné』。

「今シーズンはジャック・タチをテーマにコレクションを展開しました。このテーマ選びのきっかけは3年前にフランスに行ったとき、シネマテークで開催されていたジャック・タチのレトロスペクティブ。もともと60年代のフランス映画が好きなわたしたちは、いつかタチ・コレクションをしようと決めたんです」と話すのはポルテ・デ・ブトンのデザイナー鈴木愛さん。今年4月、日本でジャック・タチ映画祭が開催されると決まり、その計画が実現。映画祭とのコラボレーションだけでなく、90年代から持っていたポスターなども展示して、コレクションと一緒にショップをタチ・ワールドにしたのだという。

ポルテ・デ・ブトンのメンバーは前出の鈴木さん、岡本美幸さん、城井幸子さんの3人。みんなで一緒に企画&制作をしています。3人はもともとアパレル会社で同じブランドの企画をしていた仲間で、同時期に会社を辞めることになったので、大好きなフランスへ卒業旅行さながらに女子旅をすることに。パリでいろいろなものを見て、いろいろな話をするうちに、3人で一緒に新しいことを始めたいね!という夢物語がスタートしたのだという。帰国した3人は、まず1枚のリネンコートをつくることから、つぼみづくりを始めました。

「最初は何もわからない状態だったので、このコートを量産するところからものづくりを始めました」と9年前を振り返る鈴木さん。うれしいことにそのコートはとても人気が出て、それからは季節ごとにテーマを決めて、ちょっぴり遊び心のあるコレクションをつくり続けてきたのです。2009年には恵比寿にアトリエ兼ショップをオープン。シーズンごとに展示も変え、楽しいショップづくりをしています。

  • 90 年代に手に入れたトラフィックのポスターがデコレーションのアクセント
    90 年代に手に入れたトラフィックのポスターがデコレーションのアクセント
  • 梁に並ぶ、ムッシュー・ユロと映画の登場人物(ときどき犬)の切り絵
    梁に並ぶ、ムッシュー・ユロと映画の登場人物(ときどき犬)の切り絵
  • 『boutonné』は、木曜から土曜日まで、週3日だけ営業しています
    『boutonné』は、木曜から土曜日まで、週3日だけ営業しています
ジャック・タチ・コレクションってどんなもの?

ところで今回のテーマ「ジャック・タチ」は、いったいどのようなコレクションになっているのでしょうか?

まずはテキスタイルからタチの世界がいっぱい。ムッシュー・ユロをイメージする小道具、パイプや帽子、靴や傘などのモティーフを立体的な生地として制作。その生地を使ってつくったベーシックなアイテム。『プレイタイム』でドアに写るエッフェル塔をイメージしたスカーフとその記事を裏地にしたダッフルコート。さらには、ムッシュー・ユロが映画の中で身につけていたアイテムそのものをイメージした、キャスケットとAラインのコートなど。

「毎回コレクションは生地づくりから始めます。トラフィックのラストシーンをイメージした雨粒と傘のモティーフを刺繍したものや、ムッシュー・ユロの蝶ネクタイの襟元をデザインパターンとしてフロッキー加工でつくったテキスタイルなど、いくつもの生地を一からデザインしてつくっています。今回はいつもよりちょっぴり多いかもしれませんね(笑)」。デザインはその生地を活かしたものやタチのイメージのフォルムのもの、そしてタチ・コレクションと合わせるためのアイテムなど、組み合わせていろいろなコーディネートを楽しめるフルラインナップ。

いままでに取り上げたテーマは、アンナ・カリーナ、ピクニック、秋冬マリン、柔らかい光り―など、枠に捉われないセレクション。そのときどきに表現したいもののアイデアを出し合って、自由な発想でつくってきたと言います。フランスへの女子旅で、3人で一緒に感じて楽しんだすてきな企みごとが今もずっと続いている……それがPorter des boutonsです。まずはジャック・タチの世界から、そのキュートな世界を覗いてみませんか?

  • ムッシュー・ユロをイメージするパイプや帽子、靴や傘などのモティーフにした生地
    ムッシュー・ユロをイメージするパイプや帽子、靴や傘などのモティーフにした生地
  • 『トラフィック』のラストシーンからイメージした傘と雨粒の刺しゅう
    『トラフィック』のラストシーンからイメージした傘と雨粒の刺しゅう
  • ムッシュー・ユロの蝶ネクタイをモティーフにフロッキー加工でつくった生地
    ムッシュー・ユロの蝶ネクタイをモティーフにフロッキー加工でつくった生地
  • 『トラフィック』刺しゅうのストール。19,000円
    『トラフィック』刺しゅうのストール。19,000円
  • 『プレイタイム』でドアに写るエッフェル塔をイメージしたスカーフ。3,900円
    『プレイタイム』でドアに写るエッフェル塔をイメージしたスカーフ。3,900円
  • ダッフルコートの裏地は『プレイタイム』エッフェル塔スカーフの生地。各62,000円
    ダッフルコートの裏地は『プレイタイム』エッフェル塔スカーフの生地。各62,000円
  • 毎コレクション登場するトロンプルイユ衿デザインのアイテム。左からジャケット49,000円、ブラウス21,000円、ワンピース22,000円
    毎コレクション登場するトロンプルイユ衿デザインのアイテム。左からジャケット49,000円、ブラウス21,000円、ワンピース22,000円
  • 今シーズン人気の衿付きボーダーニット。各18,000円
    今シーズン人気の衿付きボーダーニット。各18,000円
  • スウェットのワンポイントもムッシュー・ユロのトレードマーク。各12,000円
    スウェットのワンポイントもムッシュー・ユロのトレードマーク。各12,000円
  • 蝶ネクタイ柄フロッキー生地はこんなスカートにも展開。各23,000円
    蝶ネクタイ柄フロッキー生地はこんなスカートにも展開。各23,000円

Boutonné
住所:東京都渋谷区恵比寿1-16-26 協和ビル202 TEL:03 6277 2973
営業:木・金・土曜13:00〜20:00
Porter des boutons ホームページ