オリンピック開催に湧くブラジル。発表の日、その瞬間!?

(2009.10.21)

ブラジルのリオ・デ・ジャネイロが2016年オリンピックの開催都市に選ばれました。ブラジルは21世紀の新興国BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の筆頭にも挙げられる注目の国。

『H.P.FRANCE(アッシュぺー フランス)』では表参道ヒルズの人気ショップ『OSKLEN(オスクレン)』のほか、『HERCHCOVITCH;ALEXANDRE(ヘルコビッチ・アレキサンドレ)』『OESTUDIO(オ・エストゥディオ)』『mellisa(メリッサ)』など多くのブラジル発ブランドを手がけています。
 

 
サンパウロファッションウィーク『OSKLEN』コレクションより。

 

毎日ブラジルのクライアントとスカイプや電話でやりとりをしているのですが、リオが開催国に選ばれた瞬間、それはすごかったと現地スタッフに聞きました。日本では夜半の2時に決定が発表されましたがブラジルは午後の2時。その瞬間からブラジルは祝日になったそうです。ブラジルでは今回のように急遽祝日、というのがよくあって金曜日に「来週明けの月は祝日だから工場はお休みだよ。」というメッセージを受け取ることも少なくありません。

ブラジルファッションの魅力は、80年代「黒の衝撃」と呼ばれ、一世風靡したという『COMME des GARÇONS (コム デ ギャルソン)』『YOJI YAMAMOTO(ヨウジヤマモト)』の盛り上がり、まさにそれと同じように、ファッションを変えるまったく新しいデザイナーが出現してきていることです。

ファッションだけはないと思いますが、情報が北半球に集まっていて南半球には伝わりにくかったので、すべてのデザインのアイディアにオリジナリティが溢れています。最近はコレクションの傾向を積極的にリサーチして取り入れていますが、ベースのアイディアが独特だと思います。

柄物のテキスタイルを上手に使ったものが多いのです。それはもともと彼らの身近にある花やフルーツの色、街の樹の色だったり、空や海の青色だったりが反映されていて、あいまいな色を使うことはあまりないようです。特にリオのデザイナーはそうだと思います。柄と柄を組み合わせるところなどは日本の着物の合わせと通じるものがあるのではないか、日本にブラジルのファッションがすんなりと受け入れられているのはそのような潜在意識が働いているのかもしれない、と思います。

 

 
サンパウロファッションウィーク『OESTUDIO』コレクションより。

 
リオに対してサンパウロには、直線的なモードやコレクションを意識したデザイナーが多いかもしれません。それはリオとサンパロの都市の性格の違いから。サンパウロはリオに比べてエグゼクティブ層が多いのです。「南米のへそ」と言われるほど世界各国の金融機関や企業が集中しています。その影響でカクテルドレスや、最先端のモードを取り入れて発信するデザイナーが多い。

対してリオはリゾートの場所です。気候も一年中暑く、リゾートファッションが欠かせません。

北京ブラジル代表のユニフォームをデザインしたのは、リオ在住『OESTUDIO』の緒方伸行氏です。19歳でイタリアの『FABRICA(ファブリカ)』に史上最年少で招聘され、24歳で渡伯、『FABRICA』のブラジルスタジオを設立。デザインスタジオ『OESTUDIO』を立ち上げた日本人デザイナーです。2016年のブラジル代表のユニフォームをデザインするのは……楽しみですね!

筆者プロフィール

長井 美樹(ながい・みき)

H.P.FRANCE(アッシュぺー フランス)国際部
アカウントディレクター

H.P.FRANCE入社後、アルゼンチンブランド『Joana de Arco』『Tramando』担当を経て『OSKLEN 』『OESTUDIO』ブラジルを中心とする海外ブランド担当。昨年はブラジルへ飛ぶこと8回。サンパウロ、リオデジャネイロ、ブラジリアへ。現地スタッフと日本のスタッフとの掛け橋となっている。学生時代より異文化間コミュニケーションを学び、ブラジルだけでなく各国の文化を日本に伝えることに仕事の醍醐味を感じている。ファッションはもちろん、その背後にある文化も伝えたいと考えている。趣味は読書、映画鑑賞。最近は『ブラジル映画祭』へ出かけ『星の導き』に感動。『ウェルカムバックトゥアマゾン』には、ディレクターとして参加。
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