村上由のフーディーズ・ナウ - 4 –  米国最大級の国際料理会議に日本人トップシェフ39人が集結を変えて行く!

(2011.01.12)

11月米国カリフォルニア州ナパの料理大学The Culinary Institute of America(CIA)にて、 米国最大級の国際料理フォーラム『ワールド・オブ・フレーバー(WOF)』が開催された。今年13回を迎えタ今回のテーマは、「日本の味と文化」。一国の料理文化をテーマにしたのは、2006年のスペインに次ぐ2回目。どれほど、全米の料理関係者が日本料理に感心を寄せているかが理解できるだろう。3日間のフォーラムには、日本からの料理人に加え、米国で最も有名な料理人、トーマス・ケラー氏やデイビッド・キンチ氏をはじめ、食のプロ達850名が参加した。

Photo The Culinary Institute of America

このフォーラムに先立ち「日本食文化を世界に伝えよう」と日本のトップの料理人たちによるチーム・オブ・ジャパンが結成。チームのリーダー『菊乃井』の村田吉弘氏率いる、『嵐山吉兆』の徳岡邦夫氏、『瓢亭』の高橋義弘氏、『久兵衛』の今田洋輔氏に代表される和食の料理人から、『オテル・ドゥ・ミクニ』の三國清三氏、『キハチ』の熊谷喜八氏ら39名。

400人もの参加者を収容できるジェネラルセッションでは、初日の開会式に続き、辻調理師専門学校の辻芳樹校長が、「日本料理における伝統と革新」と題し、東京、京都、大阪の地域性、歴史からなる料理文化の特異性を流暢な英語でレクチャー。

Photo The Culinary Institute of America

60以上のセミナーやワークショップでは、近年世界の料理界で注目されている「うま味」や「だし」を論理的に解説するワークショップや、鮨の仕込みから握りまでを手際よく披露し解説する江戸前にぎり寿司のレクチャー、伝統的な茶懐石と懐石料理の違いなどの純日本料理の神髄を伝えるセミナーから、日本で注目されるラーメンの進化系、米国にとっては新しい鮨の形として大阪鮨に代表される箱鮨のテクニック、「ヘルシージャパニーズピッツァ」として人気があったお好み焼きなどの、カジュアルフードまで幅広く日本料理の「今」が伝えられた。

Photo The Culinary Institute of America  

これまで、料理会議や料理イベントは国内外で数多く開催されてきたが、今回の様に、懐石、すき焼き、焼き鳥、鮨、ラーメンといった全くことなるカテゴリーの料理人が「日本料理」を軸として海外で集結したのは、今回がはじめてだろう。日本料理が米国で注目されているのは、米国の深刻な成人病問題に伴い、脂肪分控えめで野菜を多く食す様に即されるヘルシー志向と食育的な意味合いにも起因している。だが、これが単なるブームに終わるのではなく、日本の伝統食の奥深さや和食材の魅力を継続的に伝えていくことが必要。日本料理のあり方を知ることは、欧米人だけではなく、我々日本人にとってもとても重要なこと。今後のチーム・オブ・ジャパンの活躍に期待したい。

Photo The Culinary Institute of America