土屋孝元のお洒落奇譚。プレゼントに添えるカードに
スイーツの絵はいかがでしょうか。

(2011.12.16)

スイーツの絵を描くのに
お勧めは厚口の水彩紙。

今年も12月に入り、慌ただしくなってきました。
「師走」師匠も走るとは良くできた漢字だと思います。
クリスマスや年末も近いので街はイルミネーションに輝いています、これでも例年より節電や植物保護のためLED電球などに変わっているようですが……。

季節がらスイーツ、ケーキなどを絵にしてカードを作っているのですが、いろいろと描いてきてなんとなくこの描き方がよいのでは、と、思う事を簡単に…。

スイーツの絵は誰にでも喜ばれると思いますから、
描きためておくとクリスマスカードやプレゼントカードにいつでも差し上げられ重宝します。
それでは、まず、ベリー類、イチゴやブルーベリー、ラズベリーなどの赤を基本とする果物を描く事をわかりやすく説明いたします。

これは 余談ですが、イチゴは農水省の基準では果物ではありません、野菜に入るようですね。昔、アメリカでそれを知った時に不思議な感じがしました。

描くための紙を選びましょう。水彩紙、お勧めはファブリアーノ、ブレダン、アルシュなどの厚口の紙です。画材店、ITOYAさん、ハンズなどでA2ぐらいの大きさの一枚を手に入れて下さい、耳付きのものがありますから、ぜひそれを、自分が使いたいサイズにカットします。これでオリジナルなカードに一歩近づきます。これは一般的ではない特殊な描き方ですが、鳩居堂の特製かな用半紙に描いても面白い効果がでます。あとは、普通のケント紙に水彩で描くのも水彩絵の具のたまりの部分が面白い効果を生み、完成度が高くなります。

鉛筆は、メーカーによって
色味が違います。

それでは描きましょう。
簡単に輪郭を鉛筆やペンにて描き、線描を生かしたい時は耐水性のペンを使用して下さい、僕が多用しているのは、コピックの0.1mmから0.3mmの耐水性ペンです。いろいろな耐水性のペンを使ってきましたが、このペンが一番描きやすいと思います。

水彩を主にしたい時には鉛筆で十分です。鉛筆にもこだわりたいという方には、今まで自分で使用してきた印象ですが、

STEADLER Mars(ステッドラー マルス) 青味を感じ、硬い表現には向いていると思います。

FABER=CASTEL(ファーバーカステルカステル9000番) 今の鉛筆を作った一番古い鉛筆メーカーでバランスが良いですね、クロッキー用の芯の太い鉛筆が自分的には描きやすいので多用しています。

三菱 UNI 普通に使いやすいですね。

STABILO Opera Pencil(スタビロ オペラ鉛筆) 若干ですが赤味を感じる鉛筆です。柔らかい表現には向いていると思います。

などいろいろとありますから自分のスタイルに合わせて選ぶのが良いでしょう。だいたいの輪郭を描いたら水彩の絵の具の黄色、パーマネントイエロー、オーレオリン、レモンイエローなどの色をわざとむらを作りながら乗せます。絵の具が乾いてから赤、ウィンザーレッド、僕が勧めるのはこのウィンザーレッドですね、下地のイエローとの作用で特にイチゴなど輝いて見えるのです。

ブルーベリーの時にはウルトラマリン、ペルシャンブルーを重ねるとブルーベリーらしくなります。
仕上げにはこの赤いイチゴの影になる部分に反対色のブルー系の色を入れていきます。そうすると赤いイチゴが生き生きと見えてくるのです、すべての果物にはこの技法が有効で反対色を差すことで色相対比により隣の色を際立たせるのですね。

決まりはないので自由に楽しんで描いて。

スイーツには生クリームですが、この生クリームなどの白い色の表現は、紙の白地を生かして描かない事が基本です、油彩やアクリル絵の具と違い、下の色が透けて見えてきますから、どんなに濃い白を重ねても下地の色を感じます。それを狙いに描く場合には良いのですが、この生クリームの白さを活かすのにも影の表現です、薄いブルー系の色で陰影を描いていくと白さを引き立せて、生クリームらしい表現になります。

タルト生地の焦げた色の表現は、イエローから茶色までのグラデーションを利用します、この茶色は反対色の二色を混ぜて作ると深みのある茶色になります。最後の仕上げにはオレンジ色を焦げた部分にのせるのです。本物のスイーツでは、仕上げの照り出しにアプリコットジャムを塗りますから同じような事ですね。水彩的にはこのオレンジ色の作用により美味しそうに見えてくるのです。茶色だけでは彩度が低いので沈んでしまい、輝いて見えないのです。

背景などの広い面積には胡粉を混ぜた薄い色を使うと彩度が落ちず、まとまりやすくなります、胡粉の白を混ぜて綺麗に見える色、薄いベビーピンクとかライトブルーとかブルーグレー、これはお好みで選んで下さい。

これはあくまでも個人的な技法ですから参考までに、決まりはないので自由に楽しんで描くことですね。