籾山由美の東京-島根 小さな暮らしお雑煮食べて初詣。いざ行かん、縁結び神社 鏡の池!

(2011.01.06)

実家では昔からお雑煮を2種類作ります。父方の習わしの小豆雑煮、母方の醤油雑煮。小豆雑煮はこってり甘く小豆を煮たものに少しの水をたして焼かないお餅をいっしょに入れて煮つめます。醤油雑煮は生醤油に水を足して素のままのお餅を入れて煮るのみ。出汁などいっさい使いません。ほんとにシンプル。そのかわり、お醤油が味の決め手です。両方ともお餅は杵づきが原則。どうしてかというと焼かないままでお餅を煮ますから、その間に溶けてしまうからです。お餅の歯ごたえが好きな私と妹は溶けたお餅が不満でふくれっ面で食べた思い出があります。

お雑煮を食べた後は、神社詣でがお約束。近所の八重垣神社へお参りです。松江では神社は全て「さん」付けで呼びます。これから詣でる八重垣神社も「八重垣さん」。「八重垣さん」はスサノオノミコトとイナダヒメを祀る縁結びの神社です。その境内の奥にある鏡の池で縁を占うのがとても楽しいのです。雪をかき分けいざ行かん、縁結び!
 

母方秘伝(?)の醤油雑煮。黒豆だけをのせていただきます。
父方の小豆雑煮。早朝の小豆雑煮はいまだに慣れません。

 
家族にとって餅つきは年末の大イベントです。外にある竃(かまど)で餅米を炊いて土間に置いた臼と杵で餅つきです。おばあちゃんは小豆絞りの手ぬぐいを姉さんかぶり。妹と私は打ち粉をした粉の前で熱々のお餅がつき上がるのを腕まくりして正座で待ち受けます。ドンと熱いお餅が目の前に来ると食べやすい大きさにちぎり、小さな手でくるくると回して丸餅を一生懸命作りました。

雪が降ると全ての景色が枯山水の画。いきなりの非日常となります。

毎年、雪が降る中をお参りします。雪が積もるといつもの景色が見渡す360度、水墨画に大変身します。この景色を楽しみながら、今年のおみくじは何かなと思いを馳せて歩いて行きます。

 

八重垣神社には重要文化財指定のイナダヒメの壁画があり、壁の裏には昔の参拝者の落書きもあるとかないとか、なーんて話より楽しいのはなんといっても縁を占う鏡の池です。その昔、1シーンですが人形師ジュサブローさんのデザインで作られたNHKの連続人形劇『新八犬伝』の中で鏡の池が出てきた回があり、子供心にけっこう嬉しかったのを覚えています。さて鏡の池は境内の奥まった所にあります。池の水辺から指定された紙の上に硬貨を乗せてその紙の沈み具合でその人の地縁、良縁を占います。小さな池にもかかわらず、浮かべた瞬間に沈んでしまう人、池の中を浮かびながらぐるぐる回って沈む人、いつまでたっても沈まぬ人、それぞれです。

学生時代、友達と浮かべました。友達のK子ちゃんは北向きにぐるりと半周してささっと沈みます。同時に紙を浮かべた私は東に向かって動いたまま沈みません。待つこと15分。
「嫁に行けないってことですか〜!」
「私は、北海道にお嫁?」などとおしゃべりしながら帰路に。で、現在、K子ちゃんはN.Y経由で北の国 スウエーデンにお嫁に行ってしまい、私は島根から東の東京を拠点に未だにひとりのいかず後家。(イケズではありません、イカズです!)ひゃ〜、当たっちゃいました。すぐには結果のでない悠長な占いですが、今になって思う楽しさがあります。出雲においでの際は、八重垣サンの鏡の池まで足を伸ばしてみて下さい。おもしろいですよ。笑)

八重垣サンの鳥居前。観光の若い女性が多くなりました。

怪獣のキングキドラに似ている大蛇(オロチ)を退治したスサノオウノミコトと大蛇から助けられたイナダヒメが祀ってある神社です。二礼(拝)二柏手、一礼(拝)が正式な参拝方法。お守り購入や鏡の池占いは、しっかり参拝してからの方がいいらしいとの噂。

社務所の鏡池占い用の紙を200円にて購入。手書きの教え入り。

占い用の紙には手書きの教えが書いてあり、透かして見たり水につけると読めるようになっています。写真のように硬貨の十円か百円をひとつ乗せて池の水に浮かせます。30分経っても沈まない場合は縁遠いといわれています。30分も沈まないってありえないと思いがちですが、あるんですよ~。私は友達のK子ちゃんと浮かべたとき、私たちよりずいぶん前から沈むのを待っている若い男女がいました。私たちが帰る時もまだ沈みません。無言のふたり。あ〜あ〜あ……。カップルで行ってはいけません、2人の間を占う場所ではありませんから。間違えないでくださいね。
 

大人5人が並ぶと浮かべるのに順番待ちとなる小さな池です。
若い女性の占いを撮影。ご協力、ありがとうございます。