イシイリョウコさんは、子ども向けの愛らしいものから大人向けのシックなものまで自在に絵を描き分けるイラストレーターで、作品には独特の世界観があり、強い意志を持っていそうな奇妙な生き物がところどころで登場します。私は以前からそんなイシイさんの画力と作風に憧れていて、いつか一緒に展覧会をしたいと考えていました。

もともとイシイさんとは面識があったのでそんな話をしたところ、私のアンティークやヴィンテージのジュエリーを選ぶ仕事と結び付けた今回のスタイルでやりましょうということになりました。つまり、私がヨーロッパで探してきた、場合によっては製造から百年以上もの年月を経た品々を、イシイさんが「Rosa」という名の女の子を主人公にした絵の中に描く、という試みです。

会場を訪れた方々は、私が選んだ物とイシイさんの絵を見比べて楽しんでいただくこともできれば、それらをその場で購入することもできます。

なお、今回イシイさんと一緒に制作した図録は展示内容を凝縮したものになっていて、当展のコンセプトを知らずに手にした方は、きっと絵本だと思って読み進む一方で、各ページに添えられた実在する品々の写真を見て不思議に感じることでしょう。実は物語の文章は絵が出来上がってから加えたものなのですが、絵と物語は先につくられたような印象を受けるところも、ある意味この図録の見どころのひとつです。
（文／イセキアヤコ）