表参道eco日記 - 3 - マルシェと食いしん坊の素敵な関係。

(2010.02.11)

パリに住んでいた時は、ほとんど毎日マルシェ(=市場)に通っていました。学校が早く終わる時は夕食の材料を買って帰るのが習慣だったから。

小鳥のさえずりみたいに、フランス語が飛び交う賑やかな場所。スパイシーなハーブの香りに包まれて、野生のベリーを味見して、森から届いたばかりのキノコをそっとつまんでカゴに入れる。そうだ、今夜は野菜たっぷりのリゾットにしよう! ワインは軽めの赤で、デザートはベリーたっぷりのフロマージュブラン。シチリアの蜂蜜を添えたら美味しいだろうなぁ……。マルシェのおばさんは「まぁ! フランス人並みの食いしん坊ね! 」と笑っていました。

日本に戻ってからも、おいしいものへの探究心(←食い意地とも言う)は相変わらずですが、少し「旬」の感覚がぼんやりしてきたのを感じています。仕事の忙しさを理由に、スーパーで調理しやすいものばかりを選ぶようになって、季節の食材が持つ力強さを感じる余裕を忘れていたみたい。食いしん坊として、ちょっと反省。あらためて、食べることをもっと真剣に楽しみたい! ……そんな気持ちになっていた時に、偶然見つけたのが、『表参道市場 伝(でん)』でした。和のたたずまいにつられて中に入ると、そこには、レンゲの花を肥料にしたお米やアイガモの卵、生で食べられるゴボウや東洋ほうれん草など、初めて見る美味しそうなものがいっぱい! 素敵なプチ・マルシェとの出合いです。
 

「表参道に野菜!?」道行く人が次々立ち止まります。

『伝』が目指しているのは、「作る人と食べる人をつなぐ透明な存在」。農薬の使い方などお互いにとって大切な情報はきちんと伝えるけれど、単純なブランディングや、頭でっかちなイメージづくりはしない。そこには、きちんと栄養がある美味しいものを食べてほしいという、シンプルで骨太なメッセージが込められています。だから、売るだけではなく、素材の持ち味や美味しい食べ方もちゃんと教えてくれます。「じゃがいもは、実は芽が出た頃が美味しいんです」「冬のほうれん草はビタミンたっぷりでおすすめ。お鍋はどうですか」なんてアドバイスをもらいながら野菜を選んでいると、どんどん料理のイメージが浮かんできます。
 

見るからに美味しそうな「にんじんジュース」。隣のおしょうゆも気になる。
2Fにはこんな素敵なスペースが。野菜ソムリエによるミニレッスンが開かれることも。

表参道のお気に入りスポットにマルシェを加えてから、暮らしに季節の色と香りが戻ってきました。食べ物がカラダを変えるように、マルシェが暮らしを中から変えてくれる、そんな感覚。新しいバッグを持ったり流行のレストランに行ったりするより、もっとずっと、毎日が新しくなった気がします。
 

期間限定入荷の「アイガモの卵」。大ぶりでコクのある、初めて食べる味でした。

これからの季節は、若松葉ガニや小松菜が美味しいそうです。週末は、マイバッグを持ってマルシェに行こうと思います。今だけの「旬」をつかまえに!

 

表参道市場 伝(でん)

Tel: 03-5937-4342
東京都港区北青山3-10-15 
11:00~19:00

http://www.omotesandoichiba-den.com/about/

不定休

*毎週木曜日には野菜ソムリエによるアドバイスも受けられます。
*商品は季節によって異なるため、詳細はお店にお問い合わせください。