Brooks Brothers × magazineworld.jp セレモニーからカジュアルまで。着こなしの要、ボウタイ・クロニクル。

(2011.01.17)

Brooks Brothers × magazineworld.jpボウタイ特集
オレに着させろ! 蝶ネクタイぐらい結べなくちゃね!
Brooks Brothers スタッフがお手本! ボウタイの着こなし。
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ブルックス ブラザーズ定番アイテム
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プロポーション、ディテールの美しさが際立つ『Brooks Brothers』のボウタイ。趣向を凝らした装飾、柄は単に生地の表面にプリントされているのではなく、色違いのシルク糸で布に織り込まれている。下から手で結ぶタイプのボウタイを平置きにした状態、剣の一番太くなっているところを折り曲げ、蝶の袋を作った状態、結んだ状態。photo / MACH

紳士の襟元を飾るネックアイテムのうち、ひときわ目を引く「ボウタイ(bow tie)」。英語の「bow」は弓という意味もありますが、日本語では結んだ形から「蝶ネクタイ」と一般に呼ばれています。言葉の響きから「棒タイ」と勘違いする人もいるそうですが、歴とした英語です。

男性の正装にはボウタイが似合います。男性のフォーマルウェアには、正装の「ホワイトタイ(white tie)」、準礼装の「ブラックタイ(black tie)」があり、ボウタイはどちらにもマッチします。ホワイトタイは原則として昼はモーニング、夜は燕尾服(テイルコート)に白いボウタイ。先のノーベル賞授賞式でも受賞者は皆、白いボウタイ姿でした。ブラックタイはタキシードに黒のボウタイがルールです。

舞踏会をはじめとする社交ダンスの場にボウタイは欠かせない存在。その優雅なイメージを世に広めた立役者の1人が、ハリウッドのミュージカル映画全盛期を支えた名優フレッド・アステア。映画『トップ・ハット』『有頂天時代』などで圧巻のダンスを見せつけたアステアはシルクハットとボウタイを最も鮮やかに着こなしたアイコンでもありました。そのアステアは「Brooks Brothers(ブルックス ブラザーズ)」のネクタイの顧客としても知られ、ベルト代わりに腰に巻いたという逸話すらあるほどです。
 

『スイング・タイム』よりエレガントさにかけては当代随一といわれたフレッド・アステア。


 
映画「007」シリーズのジェームズ・ボンド役ではボウタイ姿がお約束。初代のショーン・コネリー、3代目のロジャー・ムーアはもちろん、最新のダニエル・クレイグまで凛々しく頼もしいタキシードルックが見せ場の1つになっています。英国男性の正統派スタイルを印象づける演出として、ボウタイが選ばれているのでしょうが、時にボウタイをほどいて首から垂らすシーンもあり、ボウタイのワイルドな表情も見せてくれます。

ボウタイは欧米ではかしこまったセレモニーでしばしば目にします。例えば、米アカデミー賞のようなレッドカーペットでは有名俳優がボウタイを締めた着こなしを見事に披露しています。でも、ボウタイは必ずしもフォーマルだけの装いではありません。

近頃はボウタイを普段使いするようなスタイリングが世界的に人気を博しています。実際、ボウタイはカジュアルな着こなしにも意外となじみやすいアイテムです。通常のネクタイはオフィスルック風に見えてしまいがちですが、ボウタイは非日常のムードを醸し出せるのもいいところです。
 

6代目ジェームズ・ボンド、ダニエル・クレイグ。ボウタイを決めることができないと007にはなれない!? 『007 カジノ・ロワイヤル』より。Casino Royale ©2006 Danjaq, LLC, United Artists Corporation, Columbia Pictures Industries, Inc. 007 Gun Logo and related James Bond Trademarks © 1962-2006 Danjaq, LLC and United Artists Corporation.

 

 

有力なファッションブランドからもボウタイのデイリー使いが提案され始めました。代表的な例がフランスの老舗ブランド『LANVIN(ランバン)』。クリエイティブディレクターのアルベール・エルバス氏はボウタイを愛用していて、『H&M』とのコラボレートラインでもボウタイをラインアップしました。

ネクタイを締めるのを前提にしたシャツからネクタイをはずしてしまうと、襟元のバランスが崩れてしまいがち。とりわけ白シャツの場合、首周りが寂しい。でも、派手色のボウタイを添えれば、フロントに華やぎが加わります。

知性や才能を印象づけやすいのもボウタイの持ち味と言えます。小説『ティファニーで朝食を』『冷血』を書いた米国作家トルーマン・カポーティの知的な顔つきにはボウタイがしっくり来ていました。伝記映画『カポーティ』(2005年)では俳優フィリップ・シーモア・ホフマンが見事なボウタイ・ルックを披露して米アカデミー賞主演男優賞を受賞しました。

国際連合本部ビルや国立西洋美術館などの設計で知られる建築家のル・コルビュジエもボウタイを愛した著名人の1人。愛嬌たっぷりの丸眼鏡とのコンビネーションは彼のトレードマークとなりました。第2次世界大戦期の英国をリードしたウィンストン・チャーチル首相は水玉模様のボウタイを好みました。

マニッシュな装いを引き締めるのにも、ボウタイは生かせます。映画『カサブランカ』でのハンフリー・ボガートは白タキシードに黒いボウタイという出で立ちで、伊達男を演じました。英国ロックバンド「ロキシー・ミュージック」のボーカルを張ったブライアン・フェリーはタキシードとボウタイの崩しダンディーをはやらせました。マイケル・ジャクソンはアルバム『オフ・ザ・ウォール』のジャケットでアフロヘアにモノトーンの若々しい黒ボウタイ・ルックを披露しました。

 

世界的にボウタイが復活するきっかけを作ったのは、『ブルックス ブラザーズ』の新ブランド『BLACK FLEECE(ブラック フリース)』のデザインを手がけているThom Browne(トム・ブラウン)。『ブルックス ブラザーズ』が初めて外部から招いたゲストデザイナーです。

『ブルックス ブラザーズ』は伝統的にボウタイを得意としてきましたが、トム・ブラウンはさらに大胆にボウタイを「ブラック フリース」に取り入れています。襟なしジャケットのようなラフめのトップスに、あえてクラシックな黒ボウタイ、白シャツを合わせる斬新なコーディネートは、アメリカンクラシックを身上とする『ブルックス ブラザーズ』らしさを引き出してくれています。

アメリカントラディショナルな装いを、節度を保ちつつ着崩すプレッピーが復活めざましい今、ボウタイは全体をカジュアルにアレンジしながらも、襟元で品格をアピールできる格好のアイテムとして再評価が進んでいます。最も目立つポジションを占めるだけに、着こなしの要としてテイストをコントロールしてくれるボウタイはメンズ、ウィメンズ両方で重宝がられる存在です。ウィメンズではボウタイ・ブラウスもヒットアイテムとなっていて、ボウタイのカップルコーデも楽しめそうです。

もともとの正統派フォーマルのイメージから、敬遠してしまいがちな人もいるでしょうが、むしろアクセサリー感覚でまとうと、普段のコーディネートにもうまく収まるもの。ネックレス気分で襟元に動きを出してみてはいかがでしょう。サイズが大ぶりで丸みを帯びたタイプは愛くるしいイメージを寄り添わせてくれるので、くだけたパーティーのムードメーカーになってくれそうです。

ジーンズとジャケットのようなカジュアルな装いにも、カラフルなボウタイは馴染みます。でも、そんなリラックスした装いだからこそ、ボウタイは生地や織りがしっかりしていて、結んだ姿に張りのあるいい品を選びたいものです。

服は気持ちを高ぶらせてくれるもの。せっかくボウタイを身に着けたのであれば、しっかりドレスアップしてクラシックコンサートや観劇、ディナーに出掛けてみては。成熟した大人を感じさせてくれるボウタイの装いはあなたと同伴者に別格のもてなしを約束してくれるはずです。そして、それが『ブルックス ブラザーズ』なら、アメリカンクラシックな品格が自然と寄り添うに違いありません。

 

 

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古典的なボウタイ・ファッションの参考にしたいDVD

『スイング・タイム』

シルクハットに白い蝶ネクタイ、燕尾服とキメキメで華麗にダンスを披露。とぼけたキャラクターとの落差がたまりません。出演:フレッド・アステア、ジンジャー・ロジャース、監督:ジョージ・スティーブンス 1936年、アメリカ
DVD:1890円、発売:アイ・ヴィー・シー

『007 カジノ・ロワイヤル』

初代ジェームズ・ボンド、ショーン・コネリーの同名作品をリメイク。なんといってもカジノのシーンの着こなしがクール。出演:ダニエル・クレイグ、エヴァ・グリーン、マッツ・ミクルセン、ジュディ・デンチ、監督:マーティン・キャンベル、2006年、イギリス=チェコ=ドイツ=アメリカ、発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

 

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