岡部朋子のくつろぎマタニティヨガ寒い季節に身体を動かしやすくする工夫。

(2011.01.28)

今年の冬はずいぶんと冷え込みますね。(WEBスタッフ田代さん/現在妊娠8ヶ月)

今回は「寒い季節に身体を動かしやすくする工夫」をお送りします。

 

寒いとどうしても身体が丸まり、呼吸が浅くなります。呼吸が浅くなると、赤ちゃんに新鮮な酸素、血液が届きにくくなるばかりか、妊婦さんの心も塞ぎ気味になります。身体を温めるには適度な運動が一番とはわかっていても、どれぐらいが妊婦さんにとって適度な運動がわからないから、ついついこもってしまうという方も少なくないのではないでしょうか。目安は「何かするのがおっくうだと思わないぐらいの体調」をちゃんと維持できているかどうかです。
 

冷えにもむくみにも。ひたすら揉んでまわしてみる。

まずは日頃からウォームアップを心がけましょう。ウォームアップというとスポーツ選手がやるものというイメージがあるかもしれませんが、読んで字のごとく「あたためて調子を上げる」ことなのです。習慣にすることで、妊娠期間を驚くほど快適に過ごすことができますし、臨月近くまで続けることができます。

第3回「赤ちゃんに新鮮な酸素を届ける」
でご紹介した
腕の前を揉む
脇の下を揉む

に加え、今回は
足首を回す
膝の裏を揉む

をご紹介しましょう。

この4つだけで、関節の可動域は大幅にアップします。冬に身体を動かすのがおっくうになるのは、肩甲骨と股関節まわりを動かしにくくなっているからです。ですので、この二点に特化してほぐしてあげるだけで、日頃のちょっとした動作が苦でなくなります。股関節を直接揉みほぐしてもいいのですが、ちょっとデリケートな場所ですから、代わりに足首と膝の裏をほぐすのです。足の筋肉、関節は全て隣り合い連動しているので、たったこれだけで脚が軽くなりますよ。むくみがある方にもお勧めです。
 
 
心と身体、閉じていませんか?

最近最後に身体が開いたなーと感じたのはいつだったでしょうか。妊娠してお腹が大きくなってくると、どうしても赤ちゃんをかばうような姿勢が多くなり、いつの間にか日常生活でもそのような筋肉しか使わなくなってきます。

思い切って、そして無理なく安全に身体を開く時間をとりいれてみましょう。
 
「イスやベッドを使ったトライアングルのポーズ」

片手をイスやベッドについて、同じ側の足先を手の方向に向けます。後ろの足の踵と、前の足の踵を一直線に揃え、後ろの足の踵は前の足と90度に開きます。後ろ足の角度は厳密でなくて大丈夫、お腹の大きさに合わせ、楽な方向において下さい。前の手をしっかりついて、転ばないように注意しながら、ゆっくり後ろの手を天井に上げていきます。写真はイスの座面に手をかけていますが、イスの背もたれに手をかけるとポーズはより楽にできるはずです。
トライアングル(三角のポーズ)はヨガでは代表的なポーズで、足の位置を決めてから手をゆっくり前の足先に近づけていくのですが、そのやり方では妊婦さんには転倒の危険が伴います。安全のためにも、手をおく位置をできるだけ高くし、後ろの手もゆっくり上げるようにしましょう。そしてなにより、ポーズから解放されるときにも膝を軽く曲げることでバランスをとりながら普通の立ち姿勢に戻ってきて下さい。ポーズの維持時間は、身体を開いて気持ちいい~と感じるぐらい ( 2~3 呼吸 )にとどめましょう。無理をしなくても、そしてこんなに短い時間でも、身体にとってはとても気持ちいい記憶が残るはずです。そして身体の開きは心の開き。妊婦生活がマンネリしてきたとき、えも言われぬ不安に襲われたとき、やりたいことが出来ずにフラストレーションがたまったときなど、行き詰まった時の第一歩として、このポーズで突破口を見いだしましょう。産後のブルーな気持ちにも役に立つポーズですので、この簡単なやり方で覚えておくとずいぶん使い勝手がいいですよ。

 

究極のアンビバレント:身体を開いて気持ちは内に

さて、ヨガの醍醐味はなんと言ってもリラクゼーションです。せっかくですからオープンな状態のままリラックスしましょう。 お母さんのリラックスしている時間こそが赤ちゃんにとってはもっとも居心地のいい時間。そして、この「合踵(がっせき-本来踵同士を合わせるのでこういう名前がついてます)のポーズ」は骨盤内の血流をアップする効果があると言われています。妊娠期間のみならず、生理痛やPMS(月経前症候群)、更年期障害の緩和にもよく使われます。

横置きしたブロックの上にボルスターをたてかけます。ボルスターが床に着いたところに、仙骨がボルスターにあたるように後ろ向きに座り、静かに背中全体をボルスターにゆだねていきます。 踵は無理に合わせなくて大丈夫です。 両足の踵同士を重ね、膝を外側に広げます。膝の下には丸めたバスタオルを差し入れて、股関節が開きすぎないようにしましょう(大切です)腕はふんわりと股関節におきましょう。背中が斜めになっているので、とても気持ちいいこのポーズ、背中をゆだねた瞬間自然とまぶたが閉じ、身体の力が抜けていくのがわかります。15~20分ぐらいこの姿勢を維持しているうちに、胸もお腹も開き開放感に溢れていきます。一方心はどんどん自分の内側とつながっていきます。人生で最もアンビバレント(二律背反する)な心の状態に悩まされる妊婦期間を表現しているようなポーズですが、開きながら閉じている、不思議な感覚を味わってみましょう。6ヶ月以降の方にとっては胎動を感じやすい姿勢でもあります。赤ちゃんに新鮮な酸素を届けながら広いスペースを作ってあげることで、お腹の中で赤ちゃんが気持ち良く動いている様子を頭に思い描いてみましょう。お母さんがちゃんとリラックスしているので、自ずと顔から笑みがこぼれてくると思います。

 

このポーズ、本当に不思議な感覚です。心と身体が解放されているのに、頭の中はとても穏やかにお腹の赤ちゃんに想いを馳せることができますね。

私もずいぶんこのポーズには助けられました。胎教の音楽をかける前にボルスターを引っ張りだしてきていそいそと土台を作るんです。ちょっとしたひと手間で、至福の一時です(笑)

 


 
 
 
 
 
妊娠期間も健やかでいたいですが、出産後もできれば楽しく過ごしたいもの。私は最近ではこんな感じで息子と戯れながらヨガを楽しんでいます。

お母さんの気持ち良さは子供にしっかり伝わるみたいです。
 
 
自宅でも無理なくできる
「イスやベッドを使ったトライアングルのポーズ」

 

次回は「マタニティブルー、産後うつを予防する」をお送りします。
 
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