岡部朋子のくつろぎマタニティヨガ赤ちゃんに新鮮な酸素を届ける。

(2010.12.22)

今回も妊婦さん代表として、WEB戦略室の田代さんと一緒に、「赤ちゃんに新鮮な酸素を届ける」をお送りします。

【質問者】 WEBスタッフ・田代沙知さん

『マガジンワールド』のWEB担当。現在妊娠6ヶ月。酷暑&つわりを乗り越え、ようやく安定期に。「いまは、日々食欲&体重増加との戦いです。でも空腹を我慢しすぎて貧血を起こして以来、夕方にコンビ二でおやつを調達して、“ちょい食い”するのが日課に。『マタニティリストラティブ』に興味津々です!」

 

Q. お腹が大きくなってきてから、息苦しくて……。

A. 子宮が横隔膜を圧迫し始めているのですね。

妊婦さんにはごくある症状ですがつらいですよね。呼吸が浅くなると集中力も低下し、お仕事にも支障をきたされると思います。何より、赤ちゃんに新鮮な酸素を届けられないのが心配です。前回も書きましたが、妊娠することで多くの矛盾に直面します。
この浅い呼吸もその一つです。呼吸は浅くなるけど、赤ちゃんのためには深呼吸が必要。

 

Q. ヨガの呼吸とか、深呼吸、うまくできないんです。

A. こんなに違うものかとびっくりしますよ。

実際、深呼吸をしようとしても身体に空気が入ってこないと思います。ならば、普通の呼吸で楽に空気が入ってくるようにちょっとしたコツを覚えましょう。
椅子に座り姿勢を正します。そのまま普通に呼吸してみます。そんなに空気、入ってきている感じがしないと思います。それでは、こんどは椅子の背もたれをもって呼吸してみます。どうですか?単純に入ってくる空気の量が全然違いますよね?

深呼吸をする際に人間の肺からプロスタグランジンI2という物質が生まれ、血液中に分泌されます。このプロスタグランジンI2は、

(1) 血圧を下げる
(2) 血栓を増やさない

という効果があり、まさに「妊娠高血圧」「妊娠血栓症」のリスクを下げるにはもってこいなのです。

また、人は呼吸をするたび、脳の「扁桃体」というところで不安や恐怖などのネガティブな感情を認識しています。そのため深い呼吸をすることで呼吸のペースを落とせば、脳が不安を感じる回数を減らすことができ、ネガティブな感情を軽減することができると言われています。つまり、呼吸はうつ病などの原因となるストレスの根本は取り除けないにしても、起こりうる症状を和らげることはできるのです。

また、深い呼吸は妊娠初期でもできるヨガの一つです。呼吸で流産することはありません。むしろ、妊娠初期こそ積極的なリラックスが必要です。赤ちゃんの脳や臓器がつくられる大切な時期、深呼吸の習慣で、赤ちゃんにたくさんの酸素を届けてあげましょう。

Q. 呼吸が深くなるといいことづくめですね!他にできることはありませんか?

A. 肩や腕周りを軽くすればいいんです。

上半身が硬くなると呼吸が浅くなります。妊娠という人生の大イベントで、現代の女性たちはリラックスするどころかますます緊張を募らせてしまっているようです。戦後、性差のない自由な社会を目指しながら、私たち女性には社会で活躍するチャンスが与えられてきました。しかし、まじめに頑張りすぎてしまい自分を追い込み、女性としての弱さをうまく表現できずにガチガチになってしまっている女性が少なくありません。妊娠してもその癖は治らず、本当はゆっくりとしていくべき時間、肩に力が入ったまま過ごしていがちです。
腕の上げ下げがおっくうなくできますか?両腕を天井に向かって上げてみましょう。腕が重く感じられたら危険信号です。では、片方の脇の下を優しく揉んでみましょう。

私、妊娠してから脇の下が痛いんです。

脇の下はリンパ節が集まっているから、疲れていたりすると痛く感じるかもしれません。決して力を込めず、痛気持ちいいぐらいの力に加減して下さいね。片方を揉んでみたら、両腕を上げてみましょう。どうですか。腕の重さが違いませんか?

揉んだ方の腕は軽くあがります。腕の可動域も広くなったみたいです。

身体が硬い、と思っていてもこれぐらいのことで軽く感じられるんですよ。同じように、自分でできる肩まわりのゆるめ方を覚えておきましょう。
ひたすら腕の前を揉むんです。片方だけ腕の前を揉んでから、両腕を斜め上にあげ、肘を引き下げ、を繰り返して肩甲骨の滑りを比べてみましょう。肩が凝っている人は、腕の前がぎゅっと縮んでいる人が多いんです。パソコンとかを長時間使う人にも多いです。 実は肩甲骨の端は肩関節を介し、腕の前の筋肉と繋がっているんですよ。だから腕の前側を緩めてあげましょう。肩を誰かに揉んでもらうのは大変ですが、これなら自分で気がついたときにできますね。脇を揉んで、腕の前を揉む。肩甲骨の滑りが良くて、腕が軽く感じられるようになると、それだけで肩の力が抜けてリラックスできてきます。普段の睡眠の質も上がりますよ。お母さんがずっと緊張していると赤ちゃんも心配します。

でも、これってヨガなんですか?

ヨガとは自分を許してあげることです。妊娠中、どうやったら自分に優しくしてあげられるかを考えられるのはたった一人、自分しかいないということを忘れないで下さい。他人の優しさが身にしみるときだからこそ、自分の役割も再認識しましょう。赤ちゃんはお母さんに疲れてほしくありません。疲れていたら休む勇気を持ちましょう。肩周りがガチガチになっていたら、できることから自分を緩めてあげましょう。

それから、シングルタスク、という考え方も大切です。私たちはいつも何か「しながら」何かをしています。マルチタスクの情報処理では心が休まる暇がありません。時には手を休め、一見非効率に思える方法で、自分に手をかけてあげる。自分に声をかけてあげる。そのようなシングルタスクの時間をちゃんと取ってあげる、そういう気持ちを今から育てておくことで、子供がお母さんに話しかけたとき、ちゃんと子供の目を見て向き合ってあげられるのではないでしょうか。大人も子供も、何かしながら相手をされるととても寂しい気持ちになります。ヨガは究極のシングルタスクです。ヨガをしている間は他のこと、できませんから。アメリカでも多忙なビジネスマンがヨガに走るのは、なかなか普段シングルタスクの時間が取れないからです。

自信を持ってしっかり休み (リラックス)、元気な自分に戻る(リニュー)ことがリストラティブ・ヨガの練習です。

 
 

次回は「誘惑の年末年始をすっきり乗り切る方法」をお送りします。