籾山由美の東京-島根 小さな暮らし節電の夏、クーラー無しで花稽古。
真剣な汗がにじみます。

(2011.08.12)

夏には夏の花があります。

さっさと暑い夏がやって来て、並んでお稽古も夏花となりました。節電の今年は、窓を開けて入ってくる風だけを頼りにレッスンです。扇風機もありません。事前にエアコン、扇風機無しと生徒さんに宣言。みんな心得たもので文句も言わず活け込みです。稽古中、一筋の風が入ると涼しい〜!と生徒さんの歓声。そんな環境なのになぜか集中するらしく、思いのほか良い仕上がり。暑さに負けない心持ちが教える側には嬉しいですね。

夏には夏の花があり、花の組み合わせで涼しい気持ちになります。熱帯を思わせる組み合わせもあり、異国のジャングルをイメージさせる活け込みもあります。出来上がった活け込みを前に生徒さんとあんな風に見える、こう思えるとおしゃべりをしているといっときですが現実の暑さを忘れます。生徒さんの額に汗がにじんできました。カランコロと鳴る氷を浮かべて麦茶を出してあげましょう。私の精一杯の心づくしでありました。

細かくチリチリと咲くアジサイと青が涼しいアガパンサスの組み合わせ。今回は剣山を使っています。ピンクのナデシコ、オレンジのコレオプシスが脇役です。私はコレオプシスとイシイモをよく間違えます。イシイモの方が葉が固くざらざらしていますので触るとすぐにわかります。丈夫そうなのに少しの接触で傷みの出る花があります。イシイモの葉がそう。触わる時は必ずお花屋さんに一声かけて下さいね。コバンソウは野原の端の方にそっと咲いています。散歩のときに目を凝らして見て下さい。

写真は正木さんの作品です。写真を撮った後、少しお直ししましたが珍しく華奢な作りのアガパンサスを主役に仕立て涼しげに活けてくれたのでアップしました。

アジサイ、アガパンサス、コレオプシス、ナデシコ、テッセン、コバンソウ。


花を見て、驚いたり感心したり。

八重のトルコギキョウは今までにない大振りです。園芸種は、1回市場に出たからと言って2度目の年に同じ花が出回るとは限りません。このアジサイもトルコギキョウもそうでしょう。結構長く花に関わってきましたから何となく勘で2度目がないというのがわかってきました。そんな花は出来るだけお稽古に使うようにしています。花を見て、驚いたり感心したりする生徒さんの顔を見るのが楽しみな私です。

アジサイ、トルコギキョウ、アスチルベ、ミント、ニューサイラン。


湿気の強い暑い夏のイメージ。

麻の紐玉のように咲くのはウイキョウです。中を割っていくと中に向かって花が咲くのだなとわかります。この花は既に枯れている状態。切り花になる前の形はどんな風なのでしょう。私は初めて見るウイキョウです。葉物は全てタイからの輸入で、お花屋さんではタイの花とタイトルをつけてブースが作ってありました。もちろん、初めて見る花ばかりです。この回では湿気の強い暑い夏をイメージして組み合わせてみました。写真は町山さんの作品でお直しなし!

トラノオ、ウイキョウ、葉物は全てタイからの輸入で名前わからず。

剣山へ活け込みに挑戦。

活ける前に軽くブーケを作ってくれたのは、生徒の鷲津さん。生徒さんが忘れかけた頃、活け込みの前にブーケを作る指令を飛ばします。この後、鷲津さんは剣山に活け込みです。この花に当たった生徒さんたちは悪戦苦闘にもかかわらず、全て抜いてお直し。残念。この花組は暑い夏のイメージですが、すっきりと活けるようにするといい感じにまとまります。その手があったかと思わせる作品に仕上げることが一番新鮮に映ります。私自身も作品を作るときに心がけるのは、固定されたイメージを壊して新しい自分を生み出す事です。出来上がるまで決してあきらめず粘ります。なあんて、偉そうですね。(笑)

シュロ、アンスリウム、パープレア、グラジオラス、斑入りニューサイラン、アリウムアスパラガス。

初級のクラスは花を可愛らしい系で。

初級生徒さんの2回目のレッスン。中級のどの生徒さんも初級の花を見ると必ず可愛い花でいいな〜、とため息をつきます。そう、上手く出来たと思えるように初級のクラスは花を可愛らしい系でまとめているのです、いつも。比べて中級クラスの花組は可愛いだけでは収まらない花組なので手強いのです、べらぼうに。ところで、薄ピンクの花は薔薇に見えると思いますが、カーネーションです。母の日の花の形だけがカーネーションではないのです。今や花の色も幅広く、花実もどんどん変わっています。こういう変化を見るのが楽しいですね。

カーネーション、ルリタマアザミ、エゾギク、ベンケイソウ、オーニソガラム、ヤブラン。