籾山由美の東京-島根 小さな暮らし『まねき屋』で見つける年末年始を祝う京小間物。

(2015.11.18)
着物好きや着物初心者には足を運んで欲しいお店『まねき屋』の小物より。
着物好きや着物初心者には足を運んで欲しいお店『まねき屋』の小物より。

年末年始は晴れやかな着物でお洒落してみませんか? 向島にある和装のための京小間物店『まねき屋』は可愛らしい小間物を見るだけでも楽しく、必要な物が楽に探せるおすすめのお店です。

着物のお洒落
『まねき屋』で焦ることなし。

早くも年越しを迎えます。年末年始は晴れやかな着物でお洒落してみませんか? 今年初めて着物を用意するという方、いつも組み合わせが同じという人に是非行って欲しいお店があります。それは向島にある和装のための京小間物店『まねき屋』です。

向島に常磐津の稽古に通うようになり、だんだん道にも慣れて時間があると向島を散策するようになりました。そんな時でした。帯揚げや帯締めもあるし、だいたいの物が並んでいて必要な物が楽に探せて便利よ。可愛らしい小間物を見るだけでも楽しいお店よ、と姉弟子に教えられ行ってみたのがきっかけです。

ちょうどその頃、常磐津の発表会を控えていて着物に困っていました。発表会用の着物はなんとか用意したのですがそれに合わせての帯揚げと帯締めがない。困った。お師匠さんは浴衣以外ならなんでもいいですよとおっしゃる。

姉弟子も紋が付いてなくても大丈夫、気軽にと言います。私は新参者の弟子。そうもいかない。とんちんかな組み合わせはお師匠さんや姉弟子に恥をかかせる。派手すぎても駄目、地味過ぎても気がきかない。悩むくらいならと急いで『まねき屋』に走りました。

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お店の方に発表会で締めるからと着物の様子を相談しながら最低限必要な帯締めを購入。お店の方のセンスに間違いはありません。相談して大正解。安心して発表会に臨みました。しかしながら常磐津の力量はご想像にお任せします。笑。

『まねき屋』は品揃えのセンスが良い上、え? この品でこの値段? と値札を見返すほどリーズナブル。確認のためにお店の方に聞いて確認するほど。それほど品物の仕立てが良いのです。2~3軒の和装のお店を回った人ならすぐに気がつきます。品物が上等で購入しやすい値段ですから迷わずお店に入ってくださいね。
 
着物は帯揚げや帯締めで印象が大きく変わります。そこがセンスの見せ所。着物を一枚増やすより小物をひとつ増やしましょう。ずいぶん立ち姿が変わりますよ。雨にあっても気にしなくてもよいバッグやお楽しみの根付け、奥ゆかしいお祝い袋や文セットも並んでいます。着物好きや着物初心者には足を運んで欲しいお店です。

『まねき屋』
Tel.03-3829-088
住所:東京都墨田区向島2-9-14 
営業時間:12:00~19:00 
定休日 日曜・祝日

*来年2月はお店の改装予定です。お休みかもしれませんので、年末年始の来店には電話で確認してくださいね。

帯締めと帯揚げでめでたさを。

帯締めの組み方は組む人によって無数にあります。写真のふたつはどちらも平たいタイプです。丸く仕上がる帯締めもあります。平たい帯締めの方が軽い感じの着付けになりますから今風の着方に似合っていると思います。帯揚げはふたつともに古典柄。めでたい文様の刺繍です。年末年始の着物や婚礼などの祝いの席で使いたいですね。帯揚げの柄は表からはほとんど見えませんが、心からのお祝い事にはお勧め。着物は見えないところに洒落と心意気を挟んで欲しいものです。帯締め/ピンク2万1600円 赤2万9160円 ピンクの帯揚げ/笹蔓文様 白の帯揚げ/宝尽くし 共に2万1600円  

めでたい柄の帯締め、帯揚げ。年末年始に使いたいデザイン。
めでたい柄の帯締め、帯揚げ。年末年始に使いたいデザイン。
 
古布で作る細やかな手仕事。

寒い時期、愛らしい姿が暖かい気持ちにさせる正絹押絵の根付け。根付けはポケットを持たない着物のために煙草入れや巾着を帯に挟んで留める実用的な道具です。もちろんお洒落度を上げる小間物のひとつ。お洒落の競い合いで今となっては値段の付けられない象牙の細工物もあります。根付けは和装用でなくても携帯電話やキーホルダーのストラップとして選ぶのも素敵ですね。根付けの裏も是非見てください。ひとつづつ手作業で作っていますから裏の生地も違います。同じ柄はありません。中には鶴亀の縁起の良いものに当たることもありますよ。裏にも注意して選んでください。雪だるまなど顔のある物はそれぞれはっきり表情があります。少しおこりんぼだったり、優しい顔だったり。好みでしっかり選んでくださいね。上から向かって左より椿、真上から見るとこうなる鶴、駒、子供のこっぽり、来年の干支の申、姫だるま、雪だるま、べっぴんさん。各1080円。

お洒落着をもうひと味レベルをあげる冬の根付けのお披露目です。
お洒落着をもうひと味レベルをあげる冬の根付けのお披露目です。
 
入れて安心、折りたたみ傘。

このお店でお揃いを探すのは実は大変。これ切りです。オーナー曰く、布を持って来てくださればバッグとポーチをお揃いで作ることができますとのこと。お揃いで欲しい方、お気に入りの生地のある方は問い合わせを。このバッグは踊り用の大きな扇子が横にするっと入るのが特徴です。扇子が必要なくても折りたたみの傘が難なく入り、突然の雨や雪をしのげるということです。不安定な空模様の昨今、安心ですね。ファスナーの口がふたつあり、入れる物を整理するのが簡単。ファスナー付きポケットを使えば長財布の出し入れもシンプルです。ポーチ大1512円、中972円、小756円、Wファスナーバッグ1万7280円。

オーナーデザインの横長のバッグです。珍しい形。踊り用の扇子をすっぽり入れるために考案されました。
オーナーデザインの横長のバッグです。珍しい形。踊り用の扇子をすっぽり入れるために考案されました。
 
ひとつのバッグに荷物はまとめて。

こちらのバッグは両方の持ち手の内側にファスナーがそれぞれ付いています。両側のファスナーを景色に中をのぞくと底のマチ分が広く空いて見えます。ここに出先で頻繁に出し入れする物を入れると便利です。ガサゴソと肘を曲げて探ったりしなくてよろしい。つまり仕草がスマートになるということです。お洒落を気取るなら仕草からです。持ち歩きのバッグは何を持って歩くのか、突然物が増えても対応できるかよく考えてからバッグを決めましょう。スッキリとした立ち姿を想像してください。何個も手提げ袋を持たないように。着物にはとても重要項目です。Wファスナー付きバッグ1万7280円。

容量が大きいバッグ。見た目に大きく感じさせないところが粋。
容量が大きいバッグ。見た目に大きく感じさせないところが粋。
 
うら若き乙女仕様、手鞠袋と髪飾りです。

向かって左の手鞠袋は、薔薇の花を模したちりめん細工です。薔薇でいうなら花びらが重なり合うオールドローズに見えて香りを思い出します。手鞠袋に香袋を忍ばせてもお洒落ですね。右はつまみかんざしという作りです。職人さんならではの一押しです。これも複雑な色が重なり合って美しい仕上がりです。かんざしが揺れるのを想像すると華やかな気分になります。姉妹のように育った従姉妹とお揃いのかんざしを思い出しました。手鞠袋もつまみかんざしも思い出に残ります。お店でゆっくり選んで欲しいですね。薔薇の手鞠袋1万800円、かんざし8640円。

複雑な色が重なり合って美しい仕上がり。
複雑な色が重なり合って美しい仕上がり。
 
クスリと笑えるデザインに一目惚れ。

縁起物ばかりが描かれたハンカチのシリーズ。初めて『まねき屋』に来た時、すぐに買ったのが下に並ぶお相撲さん。ひょうきんな絵図に一目惚れしました。最初、汗を吸い取りにくいかとも思いましたが、一枚くらい失敗してもいいやと購入。ところが使ってびっくり。薄地の割に汗を良く吸い取ります。私は汗っかき。頭の上から汗が噴き出しますがこのハンカチで拭くとスッキリ汗が消えます。大げさではありません。柔らかい肌触りも私好み。洗っても肌触りが変わりません。このシリーズを少しづつ買い集めようと思っています。とても買いやすい値段なのでちょっとした心付けに使うのも気が利いていると思います。上段の鶴と梅は50㎝ x 50㎝ 、下段は大判の58㎝ x 58㎝ 各594円。

薄手ですがしっかり汗を吸い取ってくれるハンカチです。
薄手ですがしっかり汗を吸い取ってくれるハンカチです。
 
扇子は優雅に、が合理的。

扇子と言えば全部開いてばたばたと煽ってしまいます。これはあまりお行儀がいいとはいえません。少し開いてゆっくり動かすのが優雅。実際に全部開かなくても風の量はほとんど変わりません。ならばお行儀の良い方法で煽ぐ努力をいたしましょう。

この扇子は店主自らの手描きを型起こししています。ぼかした色合いが上品ですね。毎年そのデザインを増やしているそうです。今回は椿とやぶこうじ。雪の景色には欠かせない花です。閉じた扇子の形も先細りの奇麗な線を描きます。帯に挿した時にその美しいラインが映えます。ビルの中、電車など冬でも暑く感じる場所があります。冬場にもひとつあると嬉しい小間物ですね。扇子 各4860円

毎年、季節の変わり目に新しいデザインのものがお目見えします。
毎年、季節の変わり目に新しいデザインのものがお目見えします。
 
マジカルな金襴の箱。

金襴の帯生地だけを使って作るアクセサリーケースです。ワイヤーは全く使っていません。布の張りだけを利用してケースが作ってあります。丸い蓋の部分を軽く上に引くと自然にひねり上がり、中央の口が丸く開きます。蓋を下げなければずっと立ち上がって口が開いたままで動きません。帯生地の特徴を知り尽くした職人さんでなければ制作できないひと品です。本当に不思議。口の開け閉めに何度もひねっては開き、また閉じてを繰り返してしまいました。開け閉めに夢中になります。アクセサリーケースですが、香を入れて少し口を開いて玄関先に置いておくのもいいですね。手の平サイズなので場所を取りません。直径7㎝、口を開いて高さ約5㎝になります。各1836円。

生地の特徴を生かし切ったアクセサリーケースです。
生地の特徴を生かし切ったアクセサリーケースです。